インターネットでのニュースの閲覧実情をさぐる
・インターネットでニュースを毎日閲覧する人は4割強。まったく見ない人は3割足らず。
・少なくとも目を通す人は7割強。男女別では男性、年齢別では18~19歳がもっとも多い。
・毎日見る人は男女別では男性、年齢別では30代がもっとも多く7割近く。
紙媒体による新聞の需要が減少する大きな原因として、代替媒体となるインターネットが普及し、多くのニュースが配信される状況が挙げられる。インターネット上で多様なニュースを含む情報が取得できるので、わざわざ新聞を買わなくともよい、とするものだ。新聞社自身も一部分ではあるが、自紙に掲載しているニュースをインターネット上に配信していることもあり、複雑な想いを抱いていることだろう。今回は新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果を基に、インターネットによるニュースの閲覧状況を確認する。
調査対象母集団全体(インターネット利用者に限らず)に、インターネット上のニュース(特に定義は無いので、回答者が「ニュース」と判断できる情報はすべて。また文章に限らず、図面や動画も含む。インターネット上のニュース「サイト」の閲覧状況では無いことに注意)を閲覧するか否か、閲覧するのならどの程度の頻度かを聞いた結果が次のグラフ。43.4%が毎日閲覧していると回答した。他方「見ない」との回答は28.1%。
週一以上の頻度を算出すると66.8%。およそ2/3の人が見ている計算になる。最近では新聞社やテレビ局の公式サイトだけで無く、ポータルサイトや主要ソーシャルメディアでもコンテンツの一つとして通信社経由のニュースを転載の形で配信しており、さらに新聞社などが公式のアカウントを取得してソーシャルメディア上で速報などを流している(この場合はニュースサイトには該当しない)。目に留める機会が増えれば、当然気になって読んでしまう人も増えることになる。「見ない」はあえて読まない人に加え、インターネットそのものを利用していない人も含むと考えてよいが、全体から見た閲覧率はそれなりに高い。
これを属性別に仕切り分けし、毎日見る人、そして頻度はともあれ見る人の状況を確認したのが次のグラフ。インターネットそのものの利用傾向も影響することに注意が必要となる。
ともあれ目を通す人は7割強。男女別では男性が4.9%ポイント高く、年齢階層別では40代までが9割以上、50代でも8割後半、60代以降になると急激に値は落ちるが、60代でもまだ6割を超える。大よそインターネットそのものの利用性向に比していると見てよいだろう。
他方毎日見る人となると全体では4割強に留まる。年齢階層別では10代もあまり多くは無く4割と少々、20代以上40代までが6割台でボリュームゾーン、50代以降は漸減していく。30代は最多で、直近では実に全体の7割近く(インターネット利用者比では無いことに注意。30代全体の7割近くである)が毎日取得をしている。インターネットの利用傾向に加え、ニュースそのものの必要性、さらにはインターネットでニュースを取得する行動への慣れなどが大きく影響しているものと考えられる。
そしてここ数年の変移だが、大体の属性で増加傾向が見受けられる。特に50代から60代(「見る人合計」の40代まではほぼ天井だろう)。一方で若年層、特に10代の「毎日」の値が停滞気味の動きをしているのがやや気になる。
10代から20代においては伸び悩み、さらには減少の動きが生じている部分がある。回答用紙が非公開のため推測でしか無いが、若年層はソーシャルメディア上のみで閲覧し終えるニュースの類は「インターネットニュース」とは認識せずに回答している可能性がある。
つまりニュースのような情報はFacebookやツイッター、LINE、mixiのようなソーシャルメディアで口コミスタイルによるダイジェスト的なもの(電車内のつり革広告レベル)を取得しており、日々の情報はそれで十分とするものだ。あるいは友人知人からの伝聞で満足してしまう。気になるニュースがあれば、それらの口コミからリンクをたどってニュースとしての記事で確認するというもの。
今件調査ではソーシャルメディアの利用性向、ソーシャルメディアとニュースの関係については調査項目が無いので確認ができないものの、タイムライン上の情報を「インターネットニュース」として認識しているか否かも併せ、興味深い話ではある。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。