外食で焼肉を一番食べているのは高知県民? 焼肉の日なので外食による焼肉の秘密を大検証(2024年版)
8月29日は全国焼肉協会によって焼肉の日と定められている。月日の読み方と「焼肉」との語呂合わせに由来した記念日であり、焼肉を食べて夏バテを防いでほしいという思いが込められているそうな(【8月29日。今日は焼肉の日】)。今回はこの記念日にちなんで、外食での焼肉は一体どれだけ食べられているのか、総務省統計局の家計調査などのデータを見ていきたい。
家計調査の対象品目を見ると、外食での焼肉に該当するのは「焼肉(外食)」だが、言葉の定義は次の通りとなる。
・焼肉(外食)…原則、焼肉(自ら網で焼くもの)店での焼肉を伴った食事。
自宅で購入した精肉を焼いて食べることも焼肉と呼ぶが、この記事では外食における焼肉のデータを見ていきたい。
まずは焼肉(外食)業界の売上推移。こちらは経済産業省の経済構造実態調査の結果を用いている。またこの調査は2019年から開始され、不定期で実施されている調査のため、現時点では4年分の値しかない。
直近2023年では8923.7億円。前回年2022年の7149.1億円からはプラス24.8%。コロナ禍からの回復が数字に表れたのだろう。
続いて日本フードサービス協会が発表している外食産業の売上動向から。こちらは前年比のみの公開となっている。比較のため外食産業全体の動向もグラフに反映させる。
外食産業全体と比べ、おおよそ高い売上高の伸び率を示している。焼肉(外食)が成長株的な扱いを、日本フードサービス協会の発表している外食産業の月次売上動向内でしているのも理解はできる。他方2020年はさすがにコロナ禍の影響で、焼肉(外食)も売上高が前年比でマイナス10.9%を記録し、記録のある中では初めて前年比マイナスとなってしまった。もっとも外食産業全体ではマイナス15.1%なのだから、まだ穏やかな落ち込みには違いない。そして2021年では、記録のある期間では初めて、外食産業全体よりも焼肉(外食)の方が低い値となってしまった。これは前年の2020年における外食産業全体の下げ幅があまりにも大きかったため、その反動が生じてのことだと思われる。
直近2023年では焼肉(外食)の前年比は実にプラス18.0%。公開されている値の限りでは最大の上げ幅となった2022年よりは小さいものの、相当な上げ幅。コロナ禍からの回復の影響が継続しているものと思われる。
それでは焼肉(外食)の支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯で継続する形でのデータが取得できる2015年以降の動向を確認したのが次のグラフ。
企業の売上や業界の売上高がおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっとも2019年はいくぶんの落ち込みを見せ、2020年はコロナ禍によるものと思われる大きな減少を示してしまった。直近の2023年は2021年以降の戻しの動きを継続し、コロナ禍以前の値・2019年の6415円を超える6918円を示した。
続いて月単位での焼肉(外食)への支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できる二人以上世帯の最新分となる2023年の動向を確認する。
法則性のようなものは見出し難い結果が出ている。見方を変えれば、月を問わず焼肉(外食)は利用されているということだろうか。
次に焼肉(外食)への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。
焼肉(外食)支出金額のトップは高知県の1万8886円、次いで福井県の1万2186円、愛知県の1万2077円。ちなみに最低金額は山梨県の2461円。トップの愛知県と比較すると1/7程度でしかない。愛知県の支出金額が高いのは、高知県の和牛ブランド「土佐和牛」(高知県産の「褐毛和種高知系」と「黒毛和種」の和牛)が影響しているのだろうか。
地図化すると法則性のようなものは見出し難い。あえて言えば中部・中国・四国地方がいくぶん多めに見えるというところか。
コロナ禍で他の外食産業同様大きな売上減を記録した焼肉(外食)だが、元々市場は大きな成長の可能性を見せている。ちょっとしたイベントやご褒美感覚で、焼肉店で外食をするというスタイルは、今後も広がりを見せるだろう。一部店舗で導入されているランチメニューもまた、焼肉(外食)の広まりに一役買うに違いない。
コロナ禍後の焼肉(外食)の動向が大いに気になるところだ。
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