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働く女性の「専業主婦願望」保有者は3割強

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 就業上の立場、専業主婦への憧れ。色々と想いを馳せる就業女性

就業女性の7割は「女性は働くのに不利」と実感している

共働き世帯が1000万世帯を超えた昨今、女性の負担や家事育児の問題も合わせ、就業女性の心境、願望に注目が集まっている。彼女らの胸の内をソニー生命保険が2016年3月に発表した調査結果「女性の活躍に関する調査2016」(2016年2月5日から6日にかけて20歳から69歳の女性に対し、インターネット経由で実施。有効回答数は1000人。20代から10歳区切りで均等割り当て)から確認していく。

今調査対象母集団のうち有職者(未既婚を問わず。兼業主婦以外に独身者の就業者も含む)に対し、生活や仕事に関する問いを行い、その内容に対し「非常にそう思う」「ややそう思う」(以上肯定派)「どちらともいえない」(以上中庸・意見留保派)「あまりそう思わない」「全くそう思わない」(以上否定派)のいずれかの選択肢で回答してもらい、そのうち肯定派の値を累積した結果が次のグラフ。

↑ 生活や仕事に関する内容について、そう思うか思わないか(女性回答、有職者限定、思う派、2016年)
↑ 生活や仕事に関する内容について、そう思うか思わないか(女性回答、有職者限定、思う派、2016年)

有職女性の7割近くが「女性が社会で働くには不利な点が多い」と実感している。これが自分の経験を元にしたものか、それとも周辺で見聞きしたものを起因としているかまでは問われていないが、多分に実体験によるものと考えた方がよさそうだ。一方、「現在の生活に満足している」との回答も半数近くに達しており、就業女性の皆が皆、不平不満に満ちあふれた日々を迎えているわけではないことが分かる(ちなみに否定派は25.0%)。

また、約7割が不利な点が多いとする状況下でも、約1/3の人は「今後(も)キャリアを積み、高みを目指したい」としている。さらに2割近くは管理職への機会があればチャレンジしたいとし、意気盛んであることがうかがえる。

不遇な環境下におかれていることを自覚しながらも、現状に満足し、さらにステップアップしたいとの意向も少なくない就業女性だが、同時に専業主婦になりたい人も3割に届いている。今件は独身就業者も回答に含まれており、その場合は仕事を辞しても専業主婦になるわけではないので、今項目では回答そのものが元々「どちらともいえない」としか選択しようがないことから、数字上にぶれが生じている可能性もあるものの(あるいはその場合、「結婚した上で」も自動的に条件設定として加わるのかもしれない)、少なからぬ有職女性が専業主婦への憧れを抱いていることになる。

専業主婦を希望する、その理由

就業女性のうち3割は専業主婦への転身を望んでいるとの結果が上記で明らかとされている。その理由を尋ねたのが次のグラフ。ほぼ同率で「仕事の人間関係」「専業主婦が向いているとの自覚」「プライベートの時間確保」が並んでおり、この3項目が就業女性における専業主婦への憧れの主要因であることが分かる。

↑ 働く女性が専業主婦になりたいと思う理由(複数回答、専業主婦願望がある有職女性、上位陣、2016年)
↑ 働く女性が専業主婦になりたいと思う理由(複数回答、専業主婦願望がある有職女性、上位陣、2016年)

「仕事の人間関係」は専業主婦に限らず就業者に係わる調査では必ず上位陣に挙がる「就業が辛い」「辞めたい、転職したい」の理由の一つ。該当者本人だけの力では解決しえないケースも多く、今項目が最上位につくのも仕方がない感はある。他方、家事や育児との兼ね合わせが難しいなどではなく、個人としての時間を持ちたいがために仕事を辞めたいとの意見も多い状況は、専業・兼業主婦に係わる問題が単純な構造では無いことを示唆している。

中には「専業主婦を体験したい」「仕事が難しそう」「専業主婦の友達かうらやましい」などの意見もあるが、一方で「家事に注力したい」「子育てに注力したい」のような家事と仕事の両立が難しい現状から、専業主婦を望む声も少なからず見受けられる。単純に時間が足りない以外に、就業を始めた時と比べ家事や育児への回答者が感じるウェイトが、より大きなものとなってきた場合もあるのだろう。

これらはあくまでも調査対象母集団の対象属性の平均値ではあるが、働く女性の心境の一端をかいま見れるとの観点では、色々と考えさせられる結果に違いない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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