Yahoo!ニュース

「テレビ観ながらネットする」20代では観る人の最大約半数

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビを観ながらスマホ。誰もが経験はあるはず……

テレビ観ながらネットする人の行動実態

テレビを観ながら手元のスマホを操作し、ツイッターで実況をしたり、関連情報を確認する。誰もが一度ならずとも経験があるはず。テレビとネットの相性に係わる指標の一つとなる「テレビを観ながらネットする」の実情を、情報通信政策研究所が2015年5月に発表した「平成26年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の詳細版から確認していく。

今件において「テレビ(リアルタイム、生)」とはテレビ(テレビ受信機に限らず、パソコンのチューナー接続、モバイル端末でのワンセグ視聴も含む)で番組を放送中に観賞すること、「インターネット利用」とは機種・用途を問わずインターネットを使ったサービスを活用することを意味する。例えばパソコンのチューナーでテレビ番組を観ながら同一端末でネットにアクセスしてチャットをしても、それは同時行動に該当する。

前提となるテレビの利用性向だが、行為者(連続して10分以上の利用)率は朝食時、昼食時、夕食時とその後の3つの時間帯でピークが生じる。

↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率推移(2014年、平日、世代別)
↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率推移(2014年、平日、世代別)

それでは冒頭で触れたように、テレビ番組と相性が良いとされるインターネットの利用を「併用」している、つまり「テレビ視聴とインターネット利用の並行行為」者率、「テレビ番組を観ながらネットを使っている」人の割合はどのような推移を示しているのか。それぞれの時間帯の全体比を、世代別で見たのが次のグラフ。当然、テレビを観ていなければ該当しえないので、テレビ行為者率そのものの変移と大きな関係が生じる。

↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(平日、世代別、2013年)
↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(平日、世代別、2013年)
↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(休日、世代別、2013年)
↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(休日、世代別、2013年)

まずは平日。全体的なピーク動向に変わりはない。一方、テレビ視聴そのものは若年層よりもむしろシニア層の方が高い行為者率を示しているが、シニアはインターネットを利用する割合が低いことから、シニア層の並行行為者率は低め。むしろ若年層の方が高い値を示している。特に20代から30代がずば抜けて高く、若年層におけるテレビとインターネットの相性の良さがうかがえる。

また10代はお昼時は学校に居ることが多いために低めにとどまるが、朝と夜は高め、そして朝は30代が、夜は加えて20代と40代が高めに出る。

休日となると、就学・就業のしばりが無くなり、テレビ視聴そのものの自由度も高まることから、「ながら利用」の値も大きく変化する。午前中では朝食時のピークが1時間ほどずれ、さらにその後もお昼過ぎまでさほど下がらない。午前中はゆっくりとテレビを観ながらネットをする形で、のんびりと時を過ごすスタイルの人が一定率いるのだろう。

午後に入るとテレビ視聴そのものが減るため、並行行為者率も減る。ただし20代は引き続き高い値を維持しており、外にも出ずにテレビを見ながらネットをしている人が一定数居ることがうかがえる。そして夜半は夕食時とそれ以降に高い値を示すものの、10代は就寝が早いために早めにピークと減少を迎える。この動きは、テレビ行為者率の動きと変わらない。

テレビを観ている人における、ネット同時利用者の割合は?

それでは全体に占める「テレビ観ながらネット」率では無く、「テレビを観ている人のうち、ネットも同時にしている人の比率」はどれ位なのだろうか。いわばテレビ視聴の「ネットながら率」ともいえる値だが、インターネットを利用していなければ「ながら利用」は出来ないため、若年層の方が高い値を示している。またテレビ・インターネットそれぞれの行為者率が低い時間帯では誤差が大きくなるので、双方の値が高めに出る19時台から22時台限定での値が算出されている。

↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(平日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(平日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(休日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(休日、世代別、2014年)

「若年層ほど高率」「高齢層ほど低率」の傾向がある。10代がやや低めなのは、インターネット利用端末を有していない場合がある(今件調査の10代における下限年齢は13歳)のと、早めに寝てしまう場合があるため。インターネットの利用機会の多い少ないも一因だが、テレビとインターネットの相性は各世代の全体人数に占める割合だけでなく、テレビの視聴者に限った割合でも、若年層の方が相性は良いようだ。

中でも20代の高さには注目したい。平日ではテレビを観ている人の3割強から5割、休日でも3割から5割近くが、インターネットを併用している。ニュースやドラマが放映される機会が多い21時台・22時台に限れば、10代や30代も近い値を示す。いわゆるテレビ視聴の「実況」が若年層に流行るのも道理が通るというものだ。

■関連記事:

テレビを観ながらネットをする「ながら視聴」割合をグラフ化してみる

テレビはシニア、ネットは若者…主要メディアの利用時間をグラフ化してみる

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事