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【泉南市】スーパーで「謎のカレー」を発見!240g中100g黒毛和牛とは驚愕。大盛況の工場直売日は?

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

ジメジメした季節は、「何が食べたい?」と聞かれたら迷わず「スパイスカレー!」と答えてしまうわたし。美味しいスパイスカレーを求めて日々奮闘するも、わたしたちの街にはスパイスカレー屋さんが少なくて、“カレー欲”が満たされぬまま秋へ突入するルーティンが、もう何年も続いています。

そんな中、行きつけのスーパーエバグリーン泉南店で「謎すぎるカレー」を発見。

うりゃー!! 黒毛和牛そして爆種のスパイスであなたを誘う” ???

なんともユニークなネーミングに目が釘付けになり、手に取って箱の裏を見てみると、なんと泉南市にある会社が作っているカレーではありませんか! 1箱900円(税別)というお値段に一瞬躊躇しましたが、早速カレーを購入し、この楽しいカレーを作っている会社に取材に行ってきましたのでご報告いたします。

泉南市りんくう南浜にある昭和54年創業の株式会社 キャニオンスパイスは、オリジナルブレンドのカレーパウダーを使用したカレールウと、レトルトカレーの製造、販売を手掛ける会社。近年、健康を害してしまうような添加物を使用した食品が増える中、アレルギーを持つ子どもでも安心して食べることができる“体に優しい”食品を提供し続けています。

まわりの建物とは一線を画した、スタイリッシュな外観とスパイスの香りが気になっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

現在キャニオンスパイスは、第一工場と第二工場がありますが、以前はカレールウやレトルトカレーの製造など、すべて第一工場のみで行っていたそうです。

社会情勢の急変によりレトルトカレーの需要が高まる中、“レトルトカレーの専門工場”として第二工場(写真上)を新設。建物の外観もおしゃれですが、若いスタッフの意見も取り入れたという工場内の設えにも期待感が高まります。

早速お出迎えしてくれたのは、第二工場入口に並べられたスリッパ。あまりのかわいさに、思わず感嘆の声をあげてしまいました。オフィスのスリッパといえば緑色かあずき色しか想像できませんが、スリッパにまで心配りがされているなんて、“人”想いの会社なのだと感じます。

ここが本当に工場なの? と目を疑うほどあっちこっちがかわいらしく、まるでレジャー施設のよう。3Fにオフィスがあるようですので行ってみましょう。

ここが本当にオフィス? 

一瞬、外国にでも来たのかしらと目を疑ってしまうほど、遊び心のある、明るく開放的なオフィスに胸が高鳴ります。

株式会社 キャニオンスパイス専務取締役 営業本部長の堺さんは、「海が近い土地柄もあり、カリフォルニアをイメージして内装を考えたんです。若いスタッフと色々アイデアを出し合い、このようなオフィスになりました」と話してくださいました。

休憩中のスタッフの方々。素敵な職場環境はうらやましい限りです。

アイデアをカタチにする会社は、自分たちの職場環境まで思い通りに作り上げてしまうんですね。年齢や性別、立場、職歴などの垣根を飛び越え、隔たりのない環境でなければ成しえないことをサラッと実現されているようで、理想のビジネスモデルなのではないかと感銘をうけました。

本のように大切に並べられているレトルトカレーの数々。そのほとんどは堺さんが手掛けたものだそうです。自社商品やOEM(他社ブランドの製品を製造すること)も含めて、作ったカレーはなんと500種類もあるそうですよ!「おそらく、作ったカレーの種類でいうと、うちが日本一です 笑」と堺さん。

旅行に出かけた際にレトルトカレーを見かけたら、箱の裏をそっと見てみましょう。

わたしたちの街の会社、“キャニオンスパイス”という表記を見つけたら、きっと誇らしい気持ちになるのではないでしょうか? 

先代がレトルトカレーの製造をはじめたのは約30年前のこと。香辛料の研究をしていた当時、お客様のほとんどがお肉屋さんだったそうです。日々、カットしたあとの端切れ肉を捨てていることをもったいないと感じた先代は、端切れ肉を使ってレトルトカレーを作るアイデアを思いつき、レトルトカレーを作っては、お肉屋さんへお返ししていたのだとか。その活動がスーパーや生協の関係者の目に留まり、「うちにもレトルトカレーを置いてほしい」とのお声掛けもあり、次第に発展していったそうです。一説によると、今でこそメジャーな「味塩コショー」は、キャニオンスパイスの先代のアイデアから生まれたそうです。一振りで、塩とコショーを同時にまぶせる画期的なアイデアは、当時のお肉屋さんは、さぞかしありがたかったことでしょうね。

「かぞくのためのカレーシリーズ」205円(税別)~
「かぞくのためのカレーシリーズ」205円(税別)~

この愛らしいパッケージ、一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

安心素材を基本に、スパイスの刺激を抑え、化学調味料不使用のカレールウをはじめ、りんごなどの果実や人参、淡路産玉ねぎなどの野菜を使用したまろやかで優しい味のレトルトカレーは子どもでも食べやすく、キャニオンスパイスの人気商品。「こどものためのカレールウ。」は1歳から食べることが出来るそうですよ。

バーコードを5枚集めると、抽選でオリジナル商品が当たるなど、ワクワクする仕掛けも心惹かれます。

かわいい! と好評のオリジナル商品♪
かわいい! と好評のオリジナル商品♪

「プラチナシリーズ」100g (4人前)520円(税別)
「プラチナシリーズ」100g (4人前)520円(税別)

最高の原料を惜しみなく使用し、製法にもこだわった“最高のカレールウ”

「おそらく日本一高級なカレールウですよ 笑」と堺さん。

“少量でも質の良いものを食べたい”シニアの方に人気なのだとか。

ご当地ものや、大学と共同開発したレトルトカレーなど、北海道から沖縄まで、堺さんの手掛けたカレーは数知れず。日本でトップクラスの種類を誇るというのも、この棚を見て納得です。ひとつ、ひとつ、カレーを手に取り、愛おしい目で見つめる堺さん。まるでわが子を見ているかのようです。

今回の取材で楽しみにしていたことの一つが工場見学。実は事前に「こっそり、見せていただけませんか?」とお願いしていたんです。

こちらが、1日20種類、3万個以上のレトルト製品を製造している工場です。

月にすると、なんと70万個もの数を製造しているとのこと。現在繁忙期のため、スタッフの方々の緊迫した様子も伺えます。

右奥に見えるのが、レトルトカレーのベースとなる“オリジナルのカレーソース”。

今回の取材ではじめて知ったのですが、レトルトカレーは、鍋で具材を煮込んで、出来上がったものをパウチするのではなく、「カレーソース」、「肉」、「野菜」を別々にアルミパウチへ投入し、“レトルトカレー殺菌機”で120度の熱を加えることで、“殺菌処理”と“圧力調理”を同時に行っているそうです。レトルトカレーって賞味期限が1年も2年もあるから、保存料や添加物も多いのでは? なんてイメージを持たれている方も多いと思いますが、「一概にそうではないんです」と堺さん。このお話を聞き、わたしもすっかりレトルトカレーの概念が覆り、日々の食卓にもっとレトルトカレーを利用したいと思いました。

こちらが、“レトルトカレー殺菌機”。

一度に1000個から1500個ものレトルトカレーを殺菌できるパワフルマシンが、キャニオンスパイスでは3機フル稼働しています。殺菌済みのレトルトは金属探知機を通過し、箱詰めされていきます。

清潔で明るい工場内で手際よく進められていく作業。キャニオンスパイスが掲げる「安心、安全」は素材だけでなく、現場風景からも伺えます。

株式会社 キャニオンスパイス 専務取締役 営業本部長 堺 政次さん
株式会社 キャニオンスパイス 専務取締役 営業本部長 堺 政次さん

今回の取材で、工場を案内してくださった堺さんは、500種類ものレトルトカレーを開発された凄腕とは思えないほど気さくで温和な雰囲気のお方。“堺さんなら何とかしてくれる”と、各地からレトルトカレーづくりの相談が殺到するのも納得です。

「大手メーカーに断られ、最後の砦として相談に来られる方は、それなりに熱量も高めで…。使命感と言いますか、ええ加減なもん、作られへんなってなるんです。大手メーカーと違い、小ロットだからこそ品質にこだわったものが出来る。試作、値段調整などをぎりぎりまで行い、喜んでもらえるものを作りたいんです」

スーパーで出逢った一つのレトルトカレーがきっかけで訪れて目にした風景は、とても温かさに満ちたものでした。

実は、取材終了後、一人のスタッフの方に「ぜひ、紹介していただきたいことがあるんです」とお声がけいただき、メールでやりとりさせていただいた内容をご紹介します。

今年の5月に亡くなられたパートタイマーの久保田 美穂さん(写真左)
今年の5月に亡くなられたパートタイマーの久保田 美穂さん(写真左)

抗がん剤治療で髪の毛が抜けていく美穂さんを励ますために、旦那さんと息子さんも坊主にされた感動のお写真。

以下、営業部 島岡さんからいただいたメッセージです。

亡くなった久保田美穂さんは、何をするにも会社の人間関係の中心であり、パートタイマーという立場でありながら誰よりも一番会社を愛していました。

本当に知り合いが多く、人脈もあるので、ある時僕が、「久保田さんは何でウチで働いてくれているの?久保田さんやったらどこでも働けそうやのに」と聞くと、しばらく考えてから、「私めっちゃアホやねん」と言ってから、「でも何より会社が大好きやねん」と付け加えていました。久保田さんには教えられることばかりで、社長の辻田誉も同様でした。

7月2日(土)に「久保田美穂さんを送る会」を会社主催で実施し、その際に社長が最後のスピーチで、久保田美穂さんに教わった二つの大事なこととして以下の2つを挙げていました。

1. 会社を想う気持ち、人を想う気持ち(久保田美穂さんは癌との闘病中でも、自分の同僚・後輩のことばかり心配して、特に入社間もない人達のことをいつも気にかけてくれていました)

2. 最後まで諦めない姿勢(ステージ4の癌の告知をされてからの明るく強い立ち振る舞い、そしてそこからの快気、その後転移が発覚してからも最後まであきらめずに生きようと闘い続けた)(ほぼ意識がなくなってからも、急に起き上がって着替えて化粧をして会社に行こうとしたらしいです(家族談))

今は多くの人が、久保田美穂さんに対して恥ずかしくないように、いつか胸を張って話せるように、仕事に励んでいます。

あと、会社だけでなく、この街(泉南)のことをすごく愛していました。

わたしは、このお話を聞き、久保田さんの素晴らしさはもちろんのこと、社長をはじめ、その想いを受け止めるキャニオンスパイスのメンバーが素敵だなと感じました。

人”を想う会社だからこそ、いろんな人の想いを受け止め、アイデアをカタチにし、人々に愛される会社に成長されたのだと痛感しました。

そして、久保田 美穂さんが家族のために作っていた“美穂さん公認のカレー”をレトルトカレーにして、販売されているそうです。

「久保田さんちのカレー」は、会社に電話(072-484-8820)もしくは、公式ホームページ(外部リンク)からお問い合わせいただくと、3個入り1080円(税込)でお買い求めいただけます。

売上金は、ご遺族へお渡しするとのこと。現在庫がなくなり次第パッケージを変えて引き続き販売し、売上金の一部を国立癌センターに寄付する形で継続していかれるそうです。

“うりゃー!! 黒毛和牛そして爆種のスパイスであなたを誘う”

心打たれる素敵なお話ばかりで、すっかり買ってきたレトルトカレーのことを忘れていました。胸はいっぱいですが、お腹はすいています。

「うりゃー!! 黒毛和牛そして爆種のスパイスであなたを誘う」(900円税別)の箱から取り出したものがこちら。なんて、ずっしり重たいのでしょう。一般的なレトルトカレーは180g~200g入りだそうですが、こちらのカレーは240gも入っています。そのうち100gが黒毛和牛(生換算)というから驚きと期待感が高まります。

カレーは、まず目で食べると言われていますが、ルーの色合いや粘度など、パーフェクトではないでしょうか。レトルトカレーとは思えないクオリティーです。

黒毛和牛の肉感、伝わりますか?トロトロのお肉がゴロゴロ入っています。

一口食べると、黒毛和牛の良質の油の甘さと野菜の滋味深い旨味が口いっぱいに広がります。辛さは控えめですが、ホールのままインされたクミン、マスタードシード、フェンネルのスパイスの香りが、良い塩梅で鼻から抜け、適度な粘度による濃厚感がより深いコクを感じさせます。複雑な味がきれいにまとまっている印象で、黒毛和牛のおいしさを最大限に生かせるように、野菜やスパイスが良い仕事をしてくれています。

見た目のインパクトとからは想像できないほど、まろやかで濃厚、そしてやさしいカレー。当然のことながら、レトルトカレーの限界を超えたレトルトカレーであることは、言うまでもありません。本当においしいです。

ホールのままインされたスパイス。百貨店のイベントで爆売れした「THE BEEF CURRY」を箱入りで復活させたのが「うりゃー!! 黒毛和牛そして爆種のスパイスであなたを誘う」なのだとか。販売当時は1袋1000円のカレーがなんと3日で1000食完売したそうです。

地域のみなさんに2つ朗報があります。

まず1つ目が、

「うりゃー!! 黒毛和牛そして爆種のスパイスであなたを誘う」(900円税別)は、エバグリーン泉南店でお買い求めいただけるのですが、もう少しお安いものを気軽に試したいという方へ、現在、キャニオンスパイスとエバグリーンがコラボしたオリジナルカレーが販売されています!(エバグリーン一部の店舗で購入可能)

「黒毛和牛と淡路玉ねぎの牛すじカレー」(298円税別)
「黒毛和牛と淡路玉ねぎの牛すじカレー」(298円税別)

こちらも食しましたが、オリジナルカレーソースをベースにデミグラスソースを効かせた老若男女に愛される味。お値段以上の本気デミグラスソースは、買ってよかった、食べてよかったと満足できるはず。現在「爆売れ中」というのも納得です。

こちらもエバグリーン泉南店で購入可能です。みなさんも食べてみてくださいね。

そして2つ目、キャニオンスパイスは、不定期で「工場直売会」を開催しています。

「工場直売会」とは、オリジナル商品をはじめ、普段お目にかかれない一部のOEM商品(ご当地カレーも含む)を購入することができる、またとないチャンスの日。

前回開催された「工場直売会」は、大盛況に終わったそうです。

なんと、次回の「工場直売会」の日程を、この取材がきっかけで決定していただきました。

キャニオンスパイスの「工場直売会」

2022年9月18日(日)9:00-13:00

場所:キャニオンスパイス第二工場 3F事務所

人気の「かぞくのためのカレーシリーズ」をはじめ、日本一高級なカレールウ「プラチナシリーズ」など。一部のOEM商品や、ご当地もののレトルトカレーキャニオンスパイス第2工場で販売

工場でしか買えない「創業者が作った、初代エクセレントカレールウ」も限定販売するそうです! ぜひ足をお運びくださいね。

工場直売会の情報は、営業部 島岡さんの公式インスタグラム“空想カレー男 島岡 祐輔”(外部リンク)でお知らせいただけるそうですので、カレー愛溢れる記事を読みながら、「工場直売会」の日程をチェックすると良さそうです。

秋には自社のECサイトを立ち上げる予定のキャニオンスパイス。

「今後も、みなさまに楽しんでもらえるような企画をどんどん考えたい」と堺さん。

インパクトのある工場内の設えとは異なる印象の、まったりと濃く優しいスタッフの方々。食べたレトルトカレーの印象と重なり、「子は親に似る」という言葉が脳裏をよぎります。

将来、レトルトカレーは一体どこまで進化するのでしょうか?

わたしたちの街にあるカレーの「キャニオンスパイス」から今後も目が離せません。

【基本情報】

会社名:株式会社 キャニオンスパイス
公式ホームページ(外部リンク)
所在地:〒590-0535泉南市りんくう南浜2-17
Tel:072-484-8820
取材協力 株式会社 キャニオンスパイス専務取締役 営業本部長 堺 政次様

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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