利便性向上のためのキャッシュレス化の事例、開成高校の学食の支払いに活用
クレジットカードや電子マネー、QRコードなどの決済額が消費全体に占めるキャッシュレス決済比率が2023年に39.3%と過去最高を更新した(3月29日付日本経済新聞)。
25年までに4割という政府目標まであと一歩に迫ったことになる。そもそも日本がキャッシュレスの後進国であるかのような見方とともに、無理矢理にでもキャッシュレスを進めるかのような動きには、正直、疑問を持っている。
だからといってQRコードを使ったキャッシュレスなどに否定的なわけではない。それでも、単純に現金の代わりとしての利用は普及には限界があると考えている。そこにひと工夫加わると利用価値が出てくることもたしかである。
スマートフォン決済のPayPayは26日、開成高校(東京・荒川)の学食の支払いに自社の決済サービスが導入されたと発表した(26日付日本経済新聞)。
これはまさに利用者目線で生まれたものである。キャッシュレス化の促進というよりも、それを使うことによる利便性が意識されたものである。
食券購入や配膳の待ち時間が長く不満に感じている生徒が多かったことで、オンライン決済により食堂の混雑を改善することが目的となる。
日本でキャッシュレス化が進んでいることのひとつの事例として、交通系ICカード利用がある。電車などを利用している人は、ほぼ使っているといって良いのではなかろうか。これもキャッシュレス決済の普及のためというより、利便性が意識されてのものであろう。
開成高校の学食の支払い決済サービスは、同校の生徒が開発した。アプリ開発にはPayPayが開発者向けに公開するアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を活用した。
キャッシュレス化ありきというよりも、このような利用者目線での利便性向上のため、スマートフォン決済などを利用するということは今後も進めるべきものとなろう。