ウィリアム皇太子に何があった?「プライベート」で名付け親の追悼式ドタキャンのなぜ
■家族に何かあった?
[ロンドン発]英王室のウィリアム皇太子が2月27日「プライベートな問題」を理由に自身の名付け親の1人であるギリシャ最後の国王コンスタンティノス2世の追悼式の出席を取りやめた。
昨年1月に亡くなったコンスタンティノス2世はウィリアム皇太子の祖父であるフィリップ殿下(故人)のセーリング・パートナー。チャールズ国王もコンスタンティノス2世と親しかったと言われている。
ウィリアム皇太子はコンスタンティノス2世の遺族に電話で出席できないことを伝えた。ウィリアム皇太子はロンドン郊外にあるウィンザー城聖ジョージ礼拝堂で執り行われた追悼式で朗読する予定だっただけに、ドタキャンに憶測が駆け巡る。
今年1月中旬に腹部の手術を受けて復活祭が終わるまで王室の公務から離れているキャサリン皇太子妃やジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子に何かあったのか。
■キャサリン皇太子妃は「元気」
英王室は詳細を明らかにしなかったが、キャサリン皇太子妃は「元気だ」という。チャールズ国王もカミングアウトしたがんの治療のため追悼式を欠席した。
追悼式では、米富豪ジェフリー・エプスタイン被告(故人)の少女に対する性的虐待事件に関連して公務から退いたアンドルー王子が前妻のサラ夫人、ベアトリス王女、アン王女、アン王女の娘ザラ&マイク・ティンダル夫妻を率いてバスで移動した。
ヘンリー公爵とメーガン夫人の英王室離脱、アンドルー王子の性的スキャンダル、チャールズ国王のがん治療、キャサリン皇太子妃の手術で、英王室は極度の人手不足に陥っている。2019年には15人の王族で年間に3567件の公務をこなしていた。
いくら人手不足でもアンドルー王子の公務復帰は世間の常識ではあり得ない。内助の功でがん治療のチャールズ国王を支えるカミラ王妃は黙々と公務をこなしている。「将来の国王」ウィリアム皇太子の負担も大きくなっている。
■「将来の国王がこのようなことをすべきなのか」
ウィリアム皇太子は2月21日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたことに端を発する戦争の終結を呼びかけ、親イスラエル派から「王室は政治に口出しするな」と批判を浴びた。
ウィリアム皇太子は「中東における紛争の恐ろしい人的犠牲を深く憂慮している。あまりにも多くの人々が殺されている。私も他の多くの人々と同様、一刻も早く戦闘が終結することを望んでいる」との声明を発表した。
その中で「ガザへの人道支援の強化が切実に求められている。援助が届き、人質が解放されることが重要だ。人間の苦しみの大きさに直面して初めて恒久平和の重要性が浮き彫りになることがある。最も暗い時であっても絶望に屈してはならない」と訴えた。
ウィリアム皇太子は外交顧問からアドバイスを受けている。皇太子の声明は「政府の外交方針と同じ」と首相官邸から歓迎されたものの、親イスラエルの強硬右派は猛反発した。英国でも親イスラエル派と親パレスチナ派は激しく対立している。
英国の欧州連合(EU)離脱を主導した強硬右派の論客ナイジェル・ファラージ氏は「将来の国王がこのようなことをすべきなのか私にはわからない。彼はBAFTA(英国アカデミー賞)での公務に専念すべきだ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
英王室は旧植民地国からも歴史の清算を求められており、内憂外患が続く。