大学生の自宅通い、下宿住まいの現状と推移
大学に進学すると共に人生では初めての一人暮らしを始める人も多い。他方昨今では費用や日常生活のあれこれの面倒さから、実家通いを選ぶ人も増えているとの話。そこで独立行政法人日本学生支援機構が2016年3月に発表した「平成26年度学生生活調査」(2014年11月に大学院、大学学部及び短期大学本科の学生(休学者及び外国人留学生は除く、社会人学生は含む)の中から無作為抽出方法によって抽出された学生に対して調査票方式で実施)を元に、大学昼間部の実情について確認していく。
同じ大学生でも居住形態が異なると通学時間は大きな違いを見せる。さまざまな事情があるにせよ、一般的には実家通いの方が通学時間は長い。
そこで実際にどれ程の割合の大学生が実家通いなのか、それとも下宿通いなのかを見比べたのが次のグラフ。それによるとすべてを合わせた大学昼間部全体の推移だが、全般的には下宿と学寮が4割強、自宅が5割強との形になった。
全体の経年動向だが、少しずつ自宅通いが増え、下宿や学寮利用者が減っている。国立・公立大学生の自宅通い率は横ばいのままなので、私立大学生の自宅通い率の増加が全体にも影響を及ぼしている。直近年度ではいくぶん下宿率が上昇したが、これは国立・公立の大学生によるところが大きい。
そしてその私立大学生だが、直近の2014年度では6割強が自宅通い。下宿などの利用者は3割強に過ぎない。国立の下宿利用率7割近く、公立の6割強とは大きく差が開いている。これは大学の立地・地域性(私立大学は国公立大学と比べると数が多く、地域分散度合いが大きい)にもよるが、それ以上に学費負担の大きさが影響していると考えて良い(見方を変えれば、費用負担の面で公立・国立大学だからこそ、下宿などが許されやすいともいえる)。
私立大学生は元々自宅通いの比率は高かったが、さらに増加の動きを示している。公立・国立に大きな変化が見られないのと比べ、特異な動きといえる。
私立大学生の自宅通い率は2000年度から2014年度にかけて7.6%ポイントの増加。グラフ化は略するが(2010年度までは)学寮利用率はほぼ横ばいで、下宿利用率が確実に減っていることを合わせて見ると、実家世帯では学費などの負担が重く、さらに負担が予想される下宿での修学を断念し実家通いの選択をする事例が増えていることが考えられよう。
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