たかじん、復帰にここまで時間がかかった理由
食道がんのため昨年1月末から療養していた歌手・やしきたかじんが今月21日、関西テレビ「たかじん胸いっぱい」の収録で仕事復帰した。当初は、早ければ昨年夏に、遅くとも昨年末には復帰とも言われていたが、結果的に今の時期となった。
2つのキーワード
復帰までに1年2ヵ月を要した理由として、浮かび上がってくるのが2つのキーワードだ。
◆“たかじんであるがゆえに”
◆“関西の顔であるがゆえに”
まず、“たかじんであるがゆえに”のポイントになったのが体重だった。日頃から赤ワイン(カリフォルニア産)中心の食生活で、つまみ程度しか食べ物を口にしない生活が何十年も続いていただけに、術後、酒抜きでモリモリ食べるということがままならず、なかなか体重が戻らなかった。
昨年7月には、病前に75kgあった体重が50kg台前半にまで落ち込んだ写真が週刊誌に掲載され話題となった。
「パネルを前に、手にした指し棒が折れてしまうくらい激しく世相をぶった切っていくスタイルがたかじんさんの持ち味。いわば、攻めの芸です。それなのに、視聴者がハッとするくらい痩せてしまっていては、芸を楽しむ前に『体は大丈夫なの?』とそちらが気になってしまう。それを避けるために、違和感のないフォルムにまで体が戻るのを待っていたのです」(番組制作会社関係者)。
エースで四番の使命
続いて、“関西の顔であるがゆえに”という認識が、高いハードルとなった。現在、たかじんは関西テレビ「…胸いっぱい」、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」、テレビ大阪「たかじんNOマネー」にレギュラー出演している。いずれも、冠番組。すなわち、たかじんがエースで四番でなければならない番組だ。
「破天荒なイメージが強いかもしれませんが、実はスタッフとの和を尊ぶ人なんです。スタッフとの信頼関係があるかないかが、画面からもじみ出るもんやと。その一例として、休養中も番組収録の際には、必ず『やしきたかじん様』と書いた楽屋が用意されていました。いつフラリと現れてもいいように、そして、たとえ来なくとも、一丸となって番組を作っている表れとして、楽屋にはお弁当やお茶なども毎回、運ばれていました」(在阪プロダクションスタッフ)。
自分の番組が飯のタネになっているスタッフのためにも、一日も早く復帰はしたい。しかし、“復帰イコール3本の冠番組をまわす”という構図になる。当然、心身ともに、大きな負担がかかる。
「病気が病気だけに、もう一度休むことがあれば『無理をさせたんじゃないか』と批判の矛先が番組にも向かいかねない。いきなりフルスロットルでいっても耐えられる体調に戻るまで、万全に万全を期す必要があったんです」(同スタッフ)。
まさに、満を持して戻ってきたたかじん。1年2ヵ月の“仕込み”を経て、どんな包丁さばきを見せるのか、注目される。