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集団指導体制は保たれるのか?――新チャイナ・セブン予測(4)

遠藤誉中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

 巷では、習近平政権二期目では果たして集団指導体制を維持するのか否かといった疑問が飛び交っている。憲法でも党規約でも明記されている「民主集中制」を中心に考察する。

◆民主集中制――ロシア革命からの伝統

 共産主義には、1917年にレーニンが起こしたロシア革命以来の伝統があり、ソ連共産党も途中からだが「民主集中制」という制度を採用していた。民主集中制というのは、数名の共産党中央書記処書記(現在の中央委員会政治局常務委員)が「集中して党を指導し、必ず“少数は多数に従がう”という多数決で政策を決議する」という大原則である。

 これを集団指導体制と称する。

 ソ連のコミンテルン(共産主義インターナショナル)によって誕生した中国共産党もまた、1928年から民主集中制による集団指導体制を採用してきた。

 その人数は5人であったり7人であったり、はたまた9人であったりなど、多くの歴史を経てきたが、奇数であるのは「多数決議決」をした時に、意見が半々に割れないようにするためである。

◆憲法にも党規約にも明記

 この「民主集中制」と「集団指導体制」という言葉は、モスクワで開かれた中国共産党第6回党大会において党規約に明記されたものであり、中華人民共和国誕生以降は中華人民共和国憲法にも明記されている。

 すなわち、党と政府の根幹を成す国家の背骨に相当する原則だ。

 これを変えて、「集団指導体制」から「習近平一人による独裁」に移り変わっていくというシナリオは、天変地異の大変動と言わねばならず、党規約だけでなく、憲法も改正しなければ実現できない発想である。

 もっとも、旧ソ連のスターリンや中国の毛沢東のように、民主集中制と集団指導体制という制度だけは条文上残しておきながら、実際は何もかも一人で決める恐怖政治を断行し、事実上独裁を徹底させた指導者もいるにはいる。

◆「習近平思想」を党規約に?

 現在、北朝鮮の金正恩委員長がまさにその一人で、習近平国家主席は、その独裁性によって核・ミサイル開発をやめない北朝鮮を非難し、それ故に一度も中朝首脳会談を行なっていない。その習近平が金正恩と同じように集団指導体制を事実上撤廃するようなことをできるのかと言ったら、まず、できないだろうというのが回答だろう。

 それくらい、集団指導体制を撤廃するというのは国家の根幹を変えてしまうほどの一大変化なのである。したがって、少なくとも習近平政権内に撤廃することはないと言っていいだろう。

 一期5年、最大二期という政権内では政治局常務委員(チャイナ・セブン)の数を変えることも考えにくい。考えられるのは、党規約の修正で、これは5年に一回必ず行っていることであり、政権終了時に書き入れる慣例ではあるが、二期目に入るときに「習近平思想」を記入するくらいのことはやるだろうと思われる。

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『中国「反日の闇」 浮かび上がる日本の闇』、『嗤(わら)う習近平の白い牙』、『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

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