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2013年のインターネットはまさに『Twitter』炎上の年だった

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

今年の漢字が『輪』に決定したそうですね。「オリンピック開催決定でもう『輪』を使ってたら開催年どうするの?」とか思ってましたが、2013年のインターネットを振り返るとたしかに『輪』が広がっておりました。

そう、炎上の輪が。あまり手を繋ぎたくはありませんが……。

Twitterの人気アカウントが企業運営とバレて炎上→アカウント凍結

まずは1月。Twitterの人気アカウント『ワロスwwwBOT』が、企業が運営しているアカウントだとバレ、さらにツイートで広告収入を受け取っていたことが分かり炎上しました。2013年の火入れです。

ワロスwwwBOTはもともと著作権を無視したパクリツイートが問題視されており、「お金儲けをしている」という事実はネット住民にとって良い燃料となりました。結果として以前のアカウントは凍結され、現在は新規アカウントで出直しをしているようです。

美少女ゲームの違法ダウロードを公言→保護者交えて面談

3月。『ニコニコ動画』で生放送を行っているユーザーが、Twitterで「美少女ゲームをファイル共有ソフトで手に入れたから放送しようかな」などとツイートし、さらにそれをとがめた当該ゲームの制作会社の社員に対して煽るような発言を繰り返していました。

直後にすぐ炎上しましたが、身元が分かる情報がなかったためしだいに火は消えていきました。しかし、12月末に制作会社がことの顛末を発表。違法ダウンロード事件として福島県警により捜査され、その後保護者を交えての面談、および謝罪という“極めて穏便な処置”が取られたことが判明しました。

弊社ソフトウェアの違法ダウロード事件についての顛末

USJで大学生が迷惑行為→威力業務妨害容疑で刑事処分

4月。神戸大学、同志社大学、関西外国語大学、愛知淑徳大学の学生が、大阪市の『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』にて故意にボートを転覆させるなどの迷惑行為を行い、それをTwitterで自慢していました。

もちろん通報祭りとなり、各大学は謝罪と当事者への停学などの処分を発表。さらに世間の追い風を受けたUSJも被害届を提出し、学生らはいったんは家裁に送られたものの逆送致となり刑事事件として処分されることになりました。

本学学生の集客施設における迷惑行為について | 神戸大学

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)における本学学生の迷惑行為について(お詫び)|同志社大学

関西外大 / 本学学生によるUSJでの迷惑行為について(お詫び)

メディアで取り上げられている本学学生の行為について|愛知淑徳大学

乙武洋匡さんがTwitterでレストランを晒す→両者炎上の痛み分け

5月。著書『五体不満足』で有名な乙武洋匡さんが銀座のとあるレストランに「障害を理由に入店を拒否された」とTwitterで怒りのツイート。しかし、雑居ビル2Fの小さな店に対して、「事前連絡もせずにバリアフリー対応を要求するのはおかしいのではないか?」と乙武批判派と同情派に分かれて両者ともに炎上する事態となりました。

結局、レストラン側は謝罪記事を出し、乙武さん側も釈明記事を出すなどの対応に追われこの炎上は痛み分けとなりました。

岩手県議のブログが炎上→テレビが突撃→自殺

6月。岩手県議のとある議員が、自身のブログにて岩手県立中央病院へのクレーム記事を公開しました。しかし、その内容は番号で呼ばれたことに「ここは刑務所か。名前で呼べよ」と腹を立てたり、カウンターに呼び出しを受けたことに「こちらは15000円以上の検査料を支払う上得意のお客さんだぞ」「会計をすっぽかして帰った」といったものでした。

このあまりにも一般の常識とかけ離れた主張に、まとめブログやTwitterを経てもちろんブログは炎上。その後、フジテレビ『とくダネ!』やテレビ朝日『サンデースクランブル』が議員の自宅に突撃取材するなどし、同議員は6月25日に車内にて自殺しているのが発見されました。

ローソンのアイス用冷蔵庫に従業員が入り込む→閉店

7月。これをきっかけに類似の炎上がどんどん燃え広がっていったのですが、ローソンのアイスクリーム用冷蔵庫に男性が入り込んでいる写真がFacebookで公開され、それがTwitterに流出しました。

不衛生であったため普通に炎上。その後、男性はオーナーの息子であるなどの情報も流れ、ローソン本社にはクレームが殺到。当該店舗からアイス用冷蔵庫は撤去され、のちに店舗は閉店ということになりました。

そば屋店員が洗浄機に入る→そば屋倒産→損害賠償の交渉中

続いて8月。そば屋の店員が洗浄機に入り込み、「洗浄機で洗われてきれいになっちゃった(笑)(笑) 」といったコメントとともにTwitterで写真を公開しました。はいはい炎上炎上。

その後、店員は学生だったために学校から処分され、さらに被害にあったそば屋は倒産。12月、現在は学生に対して損害賠償の交渉をしているとの続報がありました。

「バイトテロ、一生許せない」 あのそば店社長からの手紙:日経ビジネスオンライン

その後もバイトテロが多発

そして9月、10月、11月もアルバイトが食べ物や店の設備で遊ぶいわゆる“バイトテロ”の写真がTwitterで公開される事件が続発。大きな炎上から小さなボヤまで、あまりにも数が多すぎて紹介できません。

“インターネットの炎上”は2013年以前もあったのですが、あくまでネットのなかの世界を中心に燃えるだけで、リアル世界にまで大きく燃え広がる事件は少なかったように記憶しています。

そのネットとリアルの境界を、2013年はTwitterというコミュニケーションツールがキレイに取り払ってくれました。それが良いとも、悪いとも言いません。ただ、そういう時代になってしまったのです。ボクらはこの世界を受け入れなければなりません。

2014年、皆さまがTwitterの用量、用法を守って楽しくお使いくださることを願っています。それでは良いお年を。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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