雪国の温もり!日本有数の豪雪地帯にある湯治宿は2食付き1万円以下で心も体もリフレッシュ
旅行・グルメ・おでかけライターのsatochinです。
2025年のお正月は山奥のレトロな温泉街「肘折温泉」にある湯治宿「三春屋」でのんびりと過ごしてきました。しんしんと雪が降る寒い季節ですが、温泉と人の温もりに癒されパワーチャージ完了。冬にぜひ出かけて欲しい温泉を紹介します。
1200年の歴史を持つ肘折温泉
山形県大蔵村にある肘折(ひじおり)温泉。1200年以上の歴史を持ち、湯治場として古くから愛されてきています。車で1時間程の場所には有名な銀山温泉がありますが、こちらはインバウンドの姿を見ることがない静かな温泉街。願わくばこのまま日本人だけの穴場温泉であって欲しいと思ってしまう筆者です。
4月から11月、温泉街の狭い小路に地元のお母さん達がお店を出す朝市は、肘折温泉の名物となっています。
冬は山奥に位置するため積雪が3メートルを超える日本有数の豪雪地帯。でも、冬だからこそ行きたい温泉でもあります。アクセスについては最後に詳しく紹介します。雪道の運転に慣れていない人も大丈夫ですよ。
自家源泉を持つ「三春屋」
今回利用したのは現在の御主人で15代目となる歴史の古い三春屋。温泉街の中心にある本館は木造の湯治宿、歩いて4分の銅山川を望む別館は鉄筋の旅籠。コスパと旅情を楽しむなら本館。目の前で朝市も開かれます。快適さを求めるなら別館でしょうか。
筆者は本館に宿泊しました。宿帳を記入したらお部屋に案内してもらえます。
2間続きの広いお部屋
本館は3階建ての建物で各階に客室があります。通されたのは1階玄関入って右手の8畳2間続きのお部屋でした。
2面が障子になっていて、お部屋に鍵はありません。各部屋に石油ファンヒーターとテレビがあり、人数によっては間の襖を閉じて利用するようです。
障子を開けると窓との間に廊下があり、タオルかけなど置いてあったので、廊下も利用して良さそうでした。寒かったのでタオルかけもお部屋にいれちゃいましたが。
春から秋にかけては目の前で朝市が行われるので、ちょっと買い物に行くのにも便利そうです。
布団は既に敷いてありました。昔ながらのお布団を見て、これはもしや夜寒いのでは?と危惧しましたが、毛布と掛布団で朝までぐっすり眠れました。
アメニティは浴衣、半纏、バスタオル、タオル、歯ブラシセット。体格ブラザーズならぬ体格ファミリーな我が家のために、大きめサイズの浴衣を持ってきてくれました。最大3Lまであります。でも、LLでもかなり余裕がありました。大きめサイズの浴衣は三春屋別館のロゴ入りです。
お着き菓子にお煎餅、お茶は茶葉で淹れます。
共同設備や漫画など
トイレは各階に男女共同のトイレがあります。ウォシュレットつきの洋式トイレでありがたかったです。ただ、扉を開けてすぐ男性用小便器があるのは、女性はちょっと気になるかもしれません。トイレの扉にすりガラスの窓があり、中に人がいるかどうかはなんとなくわかるので、誰かいるようなら時間をずらして利用しましょう。
共同の冷蔵庫も利用できます。洗面所兼炊事場には長期滞在の人用にコインランドリーもあります。
各階に本棚があり、たくさんの漫画本があります。特にグルメ系漫画が多く、読んでみたいと思っていたグルメ系漫画がほとんど網羅されていて、ひたすら漫画を読んでしまいました。漫画以外に小説や音楽CDもあり、CDはかなりマニアックなものが多かったです。
コスパの良い湯治宿ということを忘れずに
クチコミでお部屋に鍵がないこと、トイレが男女共同ということに低評価をつけている人がいましたが、本館は湯治宿です。
それでは落ち着かないという人は別館に宿泊すると良いでしょう。
スタンダードプランで1泊2食付き税込8,800円。お正月ということで税込9,800円でした。夕食時の生ビール代込みでこのお値段。お正月にこの料金は破格ですよね。
筆者は1階に他のお客さんがいなかったので、トイレで他の人に会うこともなく、お風呂も目の前で、とっても過ごしやすかったです。
2つの源泉を楽しもう
肘折温泉の源泉はナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉。三春屋本館には1階と3階に温泉があり、それぞれ違うお湯を楽しめます。
3階は組合3号源泉と組合5号源泉の混合泉。
湯船のお湯は43度と少し熱め。少し緑がかった薄いにごり湯。ほのかな金属臭があり、口に含むと若干の塩気を感じました。少しとろみのある肌ざわりで、しっかり芯から温まります。
こちらにはシャワーがあり(シャワーも温泉)、シャンプーとコンディショナーもちょっと高級なものが3種類用意されていました。体や髪の毛を洗うなら3階がオススメ。
1階は肘折温泉では珍しい自家源泉。立ち寄り湯は行っていないので、宿泊者だけの特権です。浴槽まわりの床は温泉成分が沈殿して赤褐色になっています。これを見ただけでワクワクしてきますね。
お湯は3階よりはぬるめの41度前後。うっすらと、極うっすらと白濁。金気臭が強く、口に含むと鉄の味と塩気が広がって、決しておいしくはない。でも、体には良さそうな味。3階よりは長い時間入っていられるので、じわじわと体の中に浸透していく感じです。しっかり温まってお湯からでると、なぜか体はサッパリ。炭酸の影響なのでしょうか。
個人的には1階のお湯が気に入って、何度も入ってしまいました。
温泉の利用法ですが、男女別ということはなく空いていたら自由に入れます。女性が入るときは扉の前に「女性入浴中です」という板を出してから利用します。家族やカップルで利用したい場合は、2,000円で貸切にできます。
ほっこり癒される家庭料理
食事はお部屋に運んできてくれました。女将さんが作る家庭料理です。
夕食はこちら。
豚肉の陶板焼き
煮魚
お刺身
茶碗蒸し。茶碗蒸しには大きなホタテがごろり。
他は茸のお吸い物、なます、漬物、ご飯でした。お米がとにかくおいしい!
生ビールは550円。こちらも注文するとお部屋まで持ってきてくれます。
スタンダードプランで申し込みましたが、いろいろ食べたい人は品数多めのグレードアッププランでお願いすればよいと思います。筆者は十分スタンダードプランでお腹いっぱいになりました。
朝食もお部屋でいただきます。
焼鮭、温泉卵、スパゲティサラダ、キンピラごぼう、味付け海苔、お漬物、梅干し、お味噌汁
ご飯が本当においしくて、朝はなんとお櫃が空になってしまいました。
肘辻温泉での過ごし方
温泉街の中心にある「上の湯共同浴場」は通常大人400円ですが、お部屋にある入浴割引券を持っていくと100円で利用できます。組合3号泉と組合4号泉の共同泉。つるつるとした湯触りは、また宿のお湯とは違います。
湯上りは隣のカネヤマ商店で角打ちを楽しんで!
お酒のアテには、温泉街にある「さばね屋」の筋子を。店主が厳選した筋子を販売しています。粒がふっくらとやわらかく、箸で千切れるほど皮も薄くて繊細。ほどよいしょっぱさで、す~っと塩味が引いた後は、ほのかな甘味が。日本酒が進みすぎて困ります。
いろいろ買いこんで、お部屋に戻ってから部屋飲みするのもいいですよ。降りしきる雪を温かい部屋で眺めながら飲む1杯。最高です。
筋子は朝ご飯のお供にも!
新庄駅から村営バスでアクセス
肘折温泉までは舟形ICから車で35分ほど。でも、日本有数の豪雪地帯、慣れない車でのアクセスを不安に思う人もいるのでは?そんな時は新庄駅から村営バス「肘折ゆけむりライン」を利用しましょう。
新庄駅東口には1000台停められる無料駐車場があります。ここから新庄駅までは歩いて2分ほど。もし、駐車中に大雪になっても自由に使えるスコップが借りられるので、車を出せないということにはなりません。
村営バス「肘折ゆけむりライン」乗り場は新庄駅西口。片道600円ですが往復チケットを購入すると1,100円とお得。乗車時間は55分ほどです。
山形新幹線で来た人も新庄駅で降りて、村営バスを利用しましょう。
これなら真冬でも、安心・安全に肘折温泉まで行くことができます。
そして、私がこのバスをオススメしたい一番の理由が、帰りのバスに乗ると旅館やお店の人がみんな外に出てお見送りをしてくれるのです。降りしきる雪の中、みんながバスに手を振ってくれます。温泉街全体での送迎に感動して思わず涙、涙。心がじんわり熱くなって、すっかり肘折温泉のファンになりました。この感動はバスを利用しなければ味わえません!ただ、あまりに感動しすぎて写真撮り忘れました。
冬の温泉で心も体も健康に
静かな温泉街でただひたすら温泉に入って、おいしいご飯を食べて、だらだら過ごす。まるで田舎の親戚の家に来たかのような古い湯治宿で好きな事だけしていると、子どもの頃に戻ったような気がして、悩みや心配事がどこかに飛んでいってしまいました。
冬になるとウインターブルー(冬季うつ)に悩まされる人は、肘折温泉で数日過ごしてみてはいかがでしょうか?
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