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「想像力かき立てられた“乳首相撲”」ABCテレビ・喜多ゆかりアナウンサーのラジオ愛

中西正男芸能記者
ラジオへの思いを語るABCテレビ・喜多ゆかりアナウンサー

 ABCテレビの看板番組「おはよう朝日です」で11年半アシスタントを務め、2016年12月には第一子となる長女を出産した同局の喜多ゆかりアナウンサー(37)。現在は「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」などラジオを中心に活動をしています。関西きっての人気アナウンサーとして知られる喜多アナですが、子どもの頃からラジオを聞き続けてきた筋金入りのラジオ好きでもあります。「大切なものは全てラジオから学びました」と言葉に力を込めました。

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ラジオで育った

 そもそも、私がラジオを好きになったのは母の影響でした。

 母はラジオが大好きで、台所ではずっとラジオが流れていました。特に永六輔さんや森本毅郎さん、大沢悠里さんが大好き。子供ながらに大沢悠里さんとさこみちよさんのペアは最高やなと思っていました。だいぶ渋い好みの子どもだったかもしれませんけど(笑)。

 わが家はテレビはリビングにしかなくて、子供部屋には置かない主義でした。というのも、「ラジオは頭が良くなるから」というのが母の考えだったようで。結果、頭は全然良くなりませんでしたが(笑)、想像、妄想することとおしゃべりの楽しさを大いに教えてもらいました。

 車の中でもいつもラジオが流れていて、塾帰りの私を母が迎えに来てくれた時は、私が車に乗り込むなり「ユースケサンタマリアって、おもろいわー」とか「岸谷五郎と寺脇康文がね…」とか、その日のラジオハイライトを話してくれていました。母は、関西出身で、結婚して埼玉に来たので本当に笑いに飢えていて、それを満たしてくれたのがラジオだったようです。

想像力かき立てられた“乳首相撲”

 私自身でいうと、中学生の頃は赤坂泰彦さん、斉藤一美さん、「爆笑問題」さん、伊集院光さんを聞いていましたし、はがきやファクスも出していました。今でもTBSラジオ「JUNK」が大好きです。

 思春期の想像力を最もかき立てられたのは、伊集院さんのラジオで、まだそんなに売れていなかった「アンタッチャブル」のザキヤマさんがスタジオで洗濯バサミの乳首相撲をした時ですかね。かき立てられましたねぇ(笑)。

大切なことはラジオから学んだ

 大沢悠里さんとさこみちよさんは、リスナーさんからのちょっとエッチな相談を大沢さんが読んで、それにさこみちよさんが大笑いしながらツッコミを入れていくのが秀逸でした。

 なので、私も今の仕事になって、鶴光師匠とラジオをさせてもらったときは、エッチだけどエッチにならないようにというバランスを意識しながら楽しみながらアシスタントをやらせていただきました。いまだに、タクシーの運転手さんに「あの鶴光さんの番組もうやらないのー?」と言われます。大切なものは、全てラジオから学んだ青春時代でした。

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授乳中に救われた

 産休から仕事に復帰して、今年4月から「ドッキリ―」をやらせてもらうようになりました。今、改めてラジオとしっかり向き合うようになって、聞いてくださっている方の年齢がどんどん高くなっていることは感じます。逆にいうと、若い人はなかなか聞くことがないんだなぁと。ただ、私の実体験から言うと、育児をしている若い世代のママさんにこそ、聞いてもらいたいと思うんです。

 というのも、もちろん子育てって大変だし、赤ちゃんの頃はママには寝る時間なんてないですから。しかも、夜中のダンナって本当に頼りにならない!「耳に何か詰まってんの?」というくらい、子どもが泣いてても起きない…。結局、こちらが1時間おきとか2時間おきにお乳をあげるんですからね。こちらが肉体的にも、精神的にも「モーッ!!」と限界になった時に助けてくれたのがラジオだったんです。

 テレビだと部屋が明るくなるので、それでまた子どもが騒いじゃう。ラジオは真っ暗なところでも大丈夫だし、聞いていると「この時間に起きているのは私だけじゃないんだ…」と心が救われる感覚にもなったんです。

 それでいて笑わせてくれますし。しかも、テレビみたいな爆笑じゃなく「クックック…」という面白さで、自分だけに話しかけてくれているような親密感も味わえる。深夜こそ、子育ての大変さが凝縮されるというか、より爆発しそうになるんですけど、そこで救ってくれたのがラジオだったんです。

ラジオを満喫

 最近の私のブームは、ラジオ番組にネタを投稿することです(笑)。学生の頃は頻繁にはがきを送っていたんですけど、当時の興奮を久々に思い出しています。この前も、ABCラジオ「よなよな...」で読まれたんです!ラジオネームは“おむすびころりんすっぽんぽん”でした。ま、ラジオネームはほぼ毎回変えるので私とは分からない形で送るんですけど「今回は読まれるかなぁ」とドキドキしながら聞いています。読まれた時の「キターーーーーー!」という感覚はたまりません!出る側としてもラジオに関わらせてもらっていますけど、リスナーとしても満喫しています。

 今度、11月18日に大阪・万博記念公園で行われる「ABCラジオまつり2018」で「ドッキリ―」の企画として、劇団四季のミュージカル「リトルマーメイド」をモチーフに劇中歌を歌うことになりました。これも、本当にラジオならではの企画だなと。

 今年の7月に後輩の古川昌希アナウンサーが番組で歌を歌っているを見て「やっぱり歌はいいなぁ」としみじみ思いまして。「おはよう朝日です」を卒業する時にも私の希望でオペラを歌う企画をやらせてもらったんですけど、改めて、その時のDVDを見ていたんです。

 「あの時は本当にみんなにお世話になったなぁ」「仲良しのディレクターの荒木が後押ししてくれたなぁ」なんて、思い出に浸っていたら、横で娘が歌に反応して振り付けをやっているんです!歌の力をさらに痛感していた時に、劇団四季の「リトルマーメイド」の大阪公演が始まると聞いて「これはやるしかない」と思ったんです(笑)。

 それをメインの三代澤さんに話したり、プロデューサーさんに話したら、すぐに「やろう!」となりまして。このフットワークの軽さというか、このまとまりもラジオなんだなと痛感しました。

 しかも、これは番組として放送に乗せたりするわけではなく、当日、集まってくださった皆さまだけのお楽しみ。リスナーさんとのこの連帯感というか、近さというか、心が通い合っている感覚というのも、本当にラジオならではだと感じています。

 私は主役のアリエルが歌う曲を歌わせてもらいます。私がアリエルなんてアリエナーイとは思われるかもしれませんけど(笑)、元劇団四季の蓬莱浩代さんに指導していただいて、日々練習中です。

 …ただね、ラジオはとにかくお金がないですから。衣装もかつらも自分たちで探して楽天で買って。ラジオならではの手作り感、というか、正味、手作りです(笑)。劇団四季のアリエルは本当に海の中を泳いでいるような幻想的な雰囲気で出てきますけど、私は下に車輪がついたオフィスにある普通のイスに乗って出てきますんで、そのあたりもしっかり見てやってください(笑)。オンエアーに乗らないけど、本気でずっとまじめに練習してきたので!

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ラジオのぬくもり

 7月に豪雨で警報が出て保育園が休園になった時に、夫も仕事だし預かってもらう人もいなくて、困って、困って、ラジオの仕事場に娘を連れて行った時も、三代澤さんが「一緒に出たらエエやん」とポンと言ってくれて。職場に連れて行く申し訳なさでいっぱいだったところから、まさかの子連れ出演となり、それをニュースとしてヤフーのトップにもあげていただいた。

 そんなことがあって、その後、うちの会社でも警報が出た時に会社に子どもを連れてきている人がいたんです。ラジオならではの空気が、偉そうな意味ではなく、少しは良い流れを作ることができたのならこんなにうれしいことはないです。

しゃべることの奥深さ

 ただ、ラジオをやって、しゃべることの難しさも痛感しています。本当に。言葉を出すことって、こんなに大変なんだと。

 以前だったら「今後はラジオでメインができるように頑張りたいです!」だとか、スッと目標を掲げたりもしていたと思うんですけど、今はとてもじゃないけど、そんなことは言えないというか。

 三代澤さんも朝早くから準備をして正午まで生放送をやって、そこから観劇だとか、人に会ったりだとか、自分の中に“入れる作業”をしている。そうやって材料を集めて、言葉を紡いでいく。これは本当に大変なことだし、難しいし、今は簡単に「やりたい!」なんてことは言えなくなりましたね。改めてラジオの深さも知ったし、そこと向き合っている時期なんだと思います。

 え、私にとって「ラジオとは何か」ですか?う~ん、子育てのパートナーでもあるし、夜中の授乳という特に大変な場面の負担を和らげてくれましたからね…。そうなると、私にとってのラジオは…。「ラジオは私の搾乳機」。ま、そうと言えばそうだけど、かなり、かなり、間を飛ばしすぎですかね(笑)。

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(撮影・中西正男)

■喜多ゆかり(きた・ゆかり)

1981年4月28日生まれ。埼玉県越谷市出身。日本大学芸術学部を卒業し、2004年に朝日放送にアナウンサーとして入社する。05年4月から16年9月末まで11年半にわたり、同局の看板番組「おはよう朝日です」でアシスタントを担当した。大学時代には「いか天ピーナッツ」のコンビ名で「M-1グランプリ」に出場。3回戦まで進出する。幼少期には子役として活動し、テレビ東京系「大江戸捜査網」にも出演していた。 11年に同局社員と結婚。16年に第一子となる長女を出産した。産前産後休暇を取得し今年3月から、仕事復帰。4月からは、同局のラジオ番組「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」の金曜パートナーなどラジオを中心に活動している。11月18日に大阪・万博記念公園で行われる「ABCラジオまつり2018」では劇団四季の「リトルマーメイド」の劇中歌を「ドッキリ―」のメンバーで披露する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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