“クールで美人”女子射撃銀メダリストの影響で韓国の射撃場が大盛況?「イーロン・マスク氏に感謝」
パリ五輪の女子射撃10mエアピストルで銀メダルを獲得した韓国のキム・イェジ。試合中に銃を構えるクールな表情と姿勢から湧き出るオーラが「あまりにもカッコよすぎる」と話題になり、SNS上で大きな話題となり、一躍時の人となった。
イーロン・マスク氏も彼女の試合中の動画に反応し、「彼女をアクション映画にキャスティングしなければならない。演技は必要ない!」と「X(旧Twitter)」に書き込んだほどだった。
今回、パリ五輪射撃で韓国勢は金メダル3つ、銀メダル3つを獲得して帰国。キム・イェジのほか、16歳の女子高生のパン・ヒョジンは韓国で五輪最年少の金メダリストで、歴代五輪女子射撃の最年少優勝者となったことも大きなインパクトを与えた。韓国メディアも「歴代最高の成果」と称えるほどで、過去にこれほど射撃の選手たちが注目を浴びたことはなかったと言える。
その中でも、やはりキム・イェジの注目度と貢献度は高いようで、さっそく韓国内ではその影響が出始めている。
五輪後に韓国では射撃場を訪れる人が1.4倍に
韓国メディアの「ノーカットニュース」は「14日のソウルの弘大(ホンデ)のある射撃体験場には平日にもかかわらず、銃を打ってみようと訪れる人たちであふれていた。店主は『確実に五輪以降、射撃場を訪れる人たちが増えた。昨年の同じ月と比べて、1.4倍以上はお客さんが増えた』と話した」と伝えている。
射撃場を訪れた客は家族連れが多いそうで、子どもを連れてきた親は「キム・イェジ選手の試合を興味深く見た。子どもが才能があるのか気になって来てみた。才能があれば射撃選手になってもいいかも」と話している。また、子どもも「五輪を楽しく見ていて、射撃をしてみたくなった」と言う。
五輪での選手の活躍やメディアの露出がきっかけで、競技人口が増えるというのはどの国も同じのようだが、実際に韓国でも射撃に関心が注がれているのは間違いない。
ちなみに2012年ロンドン五輪のあと、13年の韓国射撃選手の登録者数は3380人から3609人に増えたという。現在はこれよりもさらに増えているだろうが、こうした影響は一時的なもので長続きするのかどうかは未知数。それは射撃がマイナースポーツの枠を越えられていないからだ。
マイナースポーツの枠を越えて人気を持続できるか
その上でキム・イェジは帰国後の空港での会見で、こんなことを口にしていた。
「努力した分、いい結果を出すことができました。みなさんが射撃に対して大きな関心を持ってくれた。イーロン・マスク氏が射撃をたくさん広めてくれたことに感謝しています」
帰国した選手や監督は「非人気種目(マイナースポーツ)」との言葉を会見で何度も口にしていたそうだが、普段からメディアのニュースが出ることはなく、試合のテレビ中継も皆無。これは射撃だけでなく、ほかの競技も抱える共通した悩みだ。
それでもキム・イェジもこのフィーバーぶりをどうにか持続させたいと思っているに違いなく、空港での会見でも話題になった立ちポーズを披露するなど、リップサービス満点だった。
余談だが、韓国には一般人が気軽に楽しめる実弾の射撃場がいくつかある。日本人に人気の観光地でもある明洞(ミョンドン)にも射撃場があり、14歳以上なら体験が可能。予約も必要ないので気軽に楽しめる。
もし韓国に行く機会があれば、キム・イェジや「無課金おじさん」ことトルコ代表のユスフ・ディケチュ(混合エアピストルで銀メダル)の気分を少しでも味わうのもいいかもしれない。