新社会人が思う「よい会社」の判断基準をさぐる(2019年版)
毎日長時間にわたり就業を行う場となる会社(職場)。新社会人は、自分の少なからぬ人生の部分をあずける場となる会社(職場)に対し、どのような希望を持っているのだろうか。ソニー生命保険が2019年4月に公開した、新社会人に対する意識調査結果「社会人1年目と2年目の意識調査2019」(※)から確認する。
次に示すのは調査対象母集団に対して「よい会社」と感じる条件を複数回答で尋ねた結果。上位陣のみをピックアップしている。無論業種をはじめとした就業環境、それぞれの度合い、回答者の認識によるところもあるが、あくまでも一般論、設問の文言からつかみ取れる認識における回答結果となる。
もっとも多くの人が「よい会社」だと認識する条件は「職場の人間関係がよい」。57.0%の人が同意を示している。少なからぬ他人が同じ環境下で長い時間を過ごし、やり取りも行われる。そのような環境で、仲違いばかりだったり、いつもピリピリした雰囲気では、まさに針のむしろ状態で仕事をするようなもの。仕事の効率以前の問題で、健康にすら影響を与えうる。
続いて「福利厚生が充実している」で53.4%。「福利厚生」と一言で表現されているが、実際には多様なものが該当する。どれほどのものを望んでいるかは人それぞれだが、例えばドリンクの無料サービス、法定健康診断以外のさまざまな健康サポート、休憩所の設置、美味しい食事を安価で提供する社員食堂、充実した休暇制度、育児や介護支援などが挙げられる。会社側にはコストの上乗せとなるが、就業者には就業時間を過ごしやすくなる、健康の維持が容易となる、余計なストレスをためずに済むようになる、就業し続けることへの不安が減るなど、メリットは多い。そして就業者にとってのメリットは、まわりまわって会社側にもメリットとなる。ここまでが過半数。
さらに「給与が高い」で46.3%、「残業前提の働き方で無い」が33.0%、「自分の持つ知識や能力を活かせる仕事に携われる」が31.1%、「能力を高める機会がある」30.7%。手取りが多いという現実的な話以外に、人材を使い捨てにしないのならば当たり前の方針が上位に連なっているのは注目に値する。見方を変えれば、少なからぬ企業(職場)でこの基本的な要素が無い、欠けているとも考えられる。
これを男女別で見たのが次のグラフ。
多くの項目で女性の方が回答率は高い。今調査項目は複数回答であるから、女性の方が会社(職場)に求める要望は強いことになる。特に上位陣の「職場の人間関係がよい」「福利厚生が充実している」は男女差が大きく開いている。また「通勤の便がよい」「柔軟な働き方ができる」でも男女差が大きいことから、女性の新社会人は就業時において安寧な時間が過ごせること、就業とプライベートの区分を明確にしたいとの思惑が男性より強いようだ。
他方「能力を高める機会がある」「事業・経営に将来性がある」は男性の方が女性よりも大きな差異をつける形で高い状態。長きにわたり同一会社(職場)で就業し続け、自身を磨いていくことを前提に考えているのかもしれない。
■関連記事:
※社会人1年目と2年目の意識調査2019
2019年3月15日から3月22日にかけて、「今春就職した社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対してインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。過去の調査もほぼ同様の条件で実施されている。
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