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前年比で78万部減…国内新聞発行部数は4700万部・1世帯あたり0.86部

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 新聞から携帯へ。すき間時間の消費対象は代わりつつある

新聞発行部数は漸減中、去年は78万部減

世帯人数の減少やメディアの多様化、特にインターネットの普及に伴い、紙媒体としての新聞の需要は減退を続けている。日本国内での新聞発行部数のピークは1997年における5377万部(一般紙、スポーツ紙合わせて)。それ以降は発行部数≒新聞需要は漸減し、インターネットの普及が本格化しはじめる2005年以降は下落幅が拡大。昨年2013年はスポーツ紙を合わせ4700万部にまで減少した。

次以降のグラフの値は社団法人 日本新聞協会の公開データを基にしたものだが、ピークの1997年以降における、新聞の部数減退ぶりが把握できる。朝刊と夕刊を共に取っている家庭においては双方を合わせて「1部」として換算していることに注意。

↑ 新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)
↑ 新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)

直近の2013年の4700万部は前年比で77.8万部減、マイナス1.6%という計算。1997年比なら677万部減、マイナス12.6%である。

中でも一般紙以上にスポーツ紙の凋落が著しい。一般紙と比べて通勤途中での購読需要が多く、携帯電話にその需要を食われているのが主要因。

↑ スポーツ紙発行部数(万部)
↑ スポーツ紙発行部数(万部)
↑ 新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)
↑ 新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)

この1年の減少部数は18.1万部・4.48%ほど。1997年との比較では263万部・40.5%の減少となる。

新聞を取らない世帯の増加、取る世帯の部数減少

紙媒体としての新聞の需要が減り、発行部数が減ったのはメディアの多様化などが原因で、その主要因はインターネット。少々データは古いが、2011年の情報通信白書には、それが如実に分かるデータが記されている。2005年と2010年における世代別の「新聞を読む時間」の変化を示したもので、全世代で購読時間が減り、特に若年層でそれが著しいのが把握できる。

↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)
↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)

これには「読まない人」も分母として含まれているので、ゼロ分の人も多分にいることは容易に想像できる(NHK放送文化研究所による調査結果でも裏付けが取れている。参考:「新聞購読率減退中、増えているのは高齢者のみ」)。

実際、世帯単位での月次新聞購入頻度(家計調査報告から)、そして日本新聞協会による1世帯あたりの部数を見ても、一様に減少を続けており、しかもこの数年は勢いを加速化しているのが分かる。

↑ 総世帯の平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)
↑ 総世帯の平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)
↑ 1世帯当たり部数(日本新聞協会発表)
↑ 1世帯当たり部数(日本新聞協会発表)

一般紙の部数は2005年以降は前年比マイナスのまま推移している。奇しくもこの「2005年」は、テレビCMの単価低迷傾向が始まった時期と一致する。同じタイミングで普及が本格化し始めたインターネットや携帯電話の影響が、少なからず及んでいることは間違いない。昨今では前年比1%強の減少が定番化しつつある。

他方スポーツ紙は2005年より前から部数減少を続けており、不景気になるとその下げ幅が拡大する動きを示している。内容・魅力の相対的・絶対的な劣化とそれに伴うコストパフォーマンスの低下、さらには携帯電話などの「すき間的な時間の暇つぶし」(例えば通勤時間帯)に使えるメディアが増えたことなどが大きな要因。その流れは加速化しており、今後も継続する事は間違いない。

いずれにせよ、紙媒体の新聞には辛く、厳しい時代が続く。業務の多様化、購読層拡大を図るための施策の実施、デジタルメディアへの進出と連動性の導入、ソーシャルメディアの活用など、多様な手立てを講じているのをうかがい知ることは出来るが、事態を好転させるまでには至っていない。

メディア市場において先行する欧米、特にアメリカの状況が見本となることを考えると、日本の新聞業界においては、さらに大胆な手立てと、誠実さを示すための改革が必要かもしれない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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