カープで5年プレーした京都国際高初のプロ選手 韓国での現役生活に32歳で幕を下ろす
韓国KBOリーグのトゥサンベアーズは22日、シン・ソンヒョン(申成鉉)内野手の現役引退を発表した。
シン・ソンヒョンは韓国・ソウルのトクス(徳壽)中を卒業後、2006年に京都国際高に野球留学。大型内野手として通算30本塁打を記録した。3年生だった09年9月に広島東洋カープの入団テストを受けると、53人の受験者中ただ1人合格。広島にドラフト4位で指名され、京都国際高初のプロ野球選手となった。
広島に在籍した5年間で1軍出場はなく、13年限りで戦力外となって帰国。帰国後は独立球団・コヤンワンダーズ(活動終了)を経て、15年に育成選手としてハンファイーグルス入り。韓国でもプロ選手となった。後に正式登録となって、17年から今季までトゥサンでプレーしていた。
シン・ソンヒョンは引退について球団を通して以下のようにコメントした。
「慣れ親しんだユニフォームを脱ぐという選択は、決して簡単ではありませんでした。第2の人生の準備をするために決断を下しました。良かった瞬間、悔しかった瞬間が思い浮かびます。誰よりも熱く応援してくれた、トゥサンベアーズのファンの期待に応えられなかったことをとても申し訳なく思います。今後、どのような道に進んだとしても、その応援を忘れません」
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シン・ソンヒョンは長距離砲として期待されるも、なかなか一軍定着には至らなかった。昨季まで直近3年間の成績は37試合に出場し、38打数5安打うちホームラン1本、打率1割3分2厘。32歳となって戦力外が予想されたが、昨秋就任の新監督が「ラストチャンス」を与えた。自身も日本でのプレー経験があるイ・スンヨプだ。
イ監督は就任直後にシンと面談。「自分で納得がいく結果を出して、後悔なく野球を辞めなさい」と伝えた。イ監督はシンと最初に会った時のことを覚えていた。
「私がオリックスにいた時(11年)、広島でやっているのを見たことがあります。いいものを持っている選手だと思いましたよ」
身長183センチ、体重92キロの恵まれた体格。21年には2軍で首位打者と打点王の二冠を手にした。日本で基礎を身につけたシンのスイングは、バランスが良くとても美しい。その姿に多くの指導者が期待を寄せた。しかしシンと同じユニフォームを着た日本人コーチたちは同じ言葉を口にしてきた。「あいつはもっと頭を使わないと」
イ監督に日本人コーチの感想を話すと、頷きながらスパッと「センスがないんです」と答えた。シンは2軍での結果が評価され1軍に上がるも、打席では簡単に追い込まれて最後は外への変化球で空振り三振。そんなシーンがよく見られた。
「シンのスイングを見る限り、きれいな当たりばかりを求めているのではないか?」とイ監督に尋ねると、「どうですかね、そこまで考えてないと思いますよ。混乱する頭もあるのかどうか」と厳しい目で見ていた。それでもイ監督はシンの飛躍を信じて、昨秋、今春のキャンプでチャンスを与え続けた。
なかなか結果が出なかったシン。しかし彼のことを悪く言う人はまったくいなかった。練習態度は真面目で人柄も誠実。成功のきっかけをつかむことを誰もが願っていた。
今季の成績は12試合に出場、打率0割8分3厘、0本塁打、1打点。一軍出場は4月28日のSSGランダーズ戦が最後だった。
トゥサン球団はシンの誰よりも熱心に練習に取り組んでいた姿勢を評価し、チームスタッフとしての研修を提案しているという。
◆シン・ソンヒョン
1990年10月19日生まれ
通算成績287試合、打率2割1分7厘、16本塁打、59打点