20歳の57.9%は「経済的余裕が無くて車を保有できない」
「若者の(自動)車離れ」が叫ばれる昨今、その若者自身は車にどのような気持ちを抱いているのか。新成人の人達の意見をソニー損害保険が2023年1月に発表した調査報告書「2023年 20歳のカーライフ意識調査」(※)から確認する。
昨今の「若者の車離れ」と呼ばれている状況に対し、若者自身の代表的な立場となる新成人にいくつかの質問を実施。それぞれに「とても当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5つの選択肢から自分の気持ちにもっとも近いものを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり「当てはまる」派の回答数をまとめた結果が次のグラフ。例えば「若者の車離れ」とは自分のことの項目では全体で32.4%なので、20歳の32.4%は「とても当てはまる」「やや当てはまる」のいずれかと答えている。掲載されている数字以外はすべて否定派ではなく、「どちらとも言えない」も含まれている事に注意を要する。
「若者の車離れ」を自覚している人は32.4%。微妙な値ではある。一方「車に興味あり」とする人は全体では45.6%だが、女性よりも男性の方が高い値を示している。自動車への必然性が高い立場にあることを考えれば、興味を示すのも当然。
注目すべきは「車保有の経済的余裕が無い」。こちらは6割近くの同意率。購入時の初期投資コスト、各種維持費、そして車検代と定期的に多額の出費を求められるため、自動車の保有にはそれなりの経済的裏付けが求められる。その裏付け(に自信)が無い人が、新成人の6割強もいる実態は、自動車関係者は大いに認識しておくべき。
一方、車そのものの魅力に関する話だが、「保有は格好いい」「保有している大人は格好いい」は全体で5割台、「メーカーにもっと若者向けの車を作ってほしい」との話は全体で4割台。
余談となるが、自動車保有関連で常に言及される、経済的余裕に関する視点においては、(少なくとも今調査項目の始まった2011年以降では)漸減している。なお2017年は該当項目の調査がなく、2018年以降は都市部・地方の区分における値が非公開のため空欄となっている。
経済的視点からの「若年層の自動車離れ」的な傾向は漸減している、特に男性においてその傾向が著しいと解釈してよさそうだ。
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※2023年 20歳のカーライフ意識調査
2022年11月17日から11月19日にかけて、2002年4月2日~2003年4月1日生まれの男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。
今調査は前年まで「新成人のカーライフ意識調査」として実施してきたが、2022年4月の成年年齢引き下げに伴い、「20歳のカーライフ意識調査」と名前を変えて実施されている。調査内容・対象はほぼ同一で、データの連続性もほぼ維持されているとみなしてよい。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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