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Googleが『Gemini(ジェミニ)』テレビCMでついに本気に! #Geminiになんでも相談だ

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:YouTube Google Japan

KNNポール神田です。

ついに、Googleが、『Gemini(ジェミニ)』に本腰をいれてきたようだ…。
パリ五輪をテレビで視聴していると、大量に『Gemini』のテレビコマーシャルが流れ始めたからだ…。


■Google の AI、Gemini(ジェミニ)登場!2024年7月29日  #Geminiになんでも相談だ

これは、まさしく、Googleが、『検索』から『相談』というメタファーによって、ユーザーの『生成AI』の活用を考えている動線設計のようだ。

しかし、CMのように『パシャーーーーンを描いて』の画像の描画には、対応できていなかった。
このように、『こちらの言語での画像生成機能に向上に取り組んでおります。まもなくご利用いただける予定です』とある。

出典:Gemini
出典:Gemini

しかし、テレビCMの動画をよくよくめをこらして見ると…。小さく小さく見えない文字で『サブスクリプションが必要な場合があります。利用可能な国や言語は異なります』とあった。これはすこし姑息な演出ではないだろうか?
CMでは、日本語で『もちろんです。こちらがパッシャーーーンです。』と日本語で画像入りで表示されているからだ。

出典:YouTube  Google Japan
出典:YouTube  Google Japan


■Geminiに『相談』というメタファーは秀逸!

生成AIの『Gemin』に『プロンプト』を思考して、打ちこむというよりも、『相談』という思考上のメタファーをそのままプロンプトとして打つことによって、『回答品質』の期待にそった答えを返させるという発想は見事で秀逸だといえる。

『検索』行動は、物事を調べるので、常に『確実性』が求められる。しかし、Geminiのような対話型の生成AIは確実性は期待できない。むしろ、『相談』となると多少の『ハルシネーション(幻覚)』が混在していたほうが良い場合さえもありうるので、的確な答えというよりも、『選択肢』の提供で問題がなさそうだ。これは、生成AIの弱みを強みに変えた扱い方だ。

CMのように『Geminiに相談』は画期的だ。『相談する』とそれなりの提案はかえってくるからだ。

■『ねえ、ジェミニ、部屋でできる軽い運動を考えて。』

Androidの方は『Geminiアプリ』から、それ以外の方は(iPhoneユーザーなど)『Googleアプリ』から。これも見事だ!
筆者は、おもわず、使っていなかったAndroidを引っ張り出してきて、『Geminiアプリ』をインストールをした。

しかし、iPhoneの『Googleアプリ』からなら、『Search』と『Gemini』をワンタップで切り替えることができる。

出典:iPhone Googleアプリ
出典:iPhone Googleアプリ

出典:iPhone Googleアプリ
出典:iPhone Googleアプリ



Androidのように『Geminiアプリ』と『Googleアプリ』をアプリが分けられたほうが不便ではないだろうか?


■『旅プラン』もGeminiに相談する!

出典:iPhone Googleアプリ
出典:iPhone Googleアプリ

『思い出が生まれすぎる究極の夏の旅行プランを考えて。

魚と泳ぎたい!

ご当地グルメを満喫したい!

虫が嫌だけどキャンプしたい!』

このような、具体的なアクションがおりこまれた『相談』はとても答えやすい。検索ではないので、可能な限り『選択肢』を提供し、そこからさらに目的がしぼられれば、『検索』すれば良いのだ。
そう、『検索』するには『行き先』を決めておく必要がある。『相談』であれば、行き先さえ決めなくて良いのだ。

こちらは、しっかりとCMと同等の回答品質を提供してくれた。

出典:iPhone Googleアプリ
出典:iPhone Googleアプリ

Geminiの公式noteも公開中

https://note.com/google_gemini

■『この絵に素敵なお話をつけて』。ファミリー編

Geminiの機能として、一番使えるのはこの『この絵に素敵なお話をつけて』ではないだろうか?
これは、スマートフォンで子供の絵を撮影し、読み聞かせをしてあげるという最高のファミリー時間となることだろう。
子供も自分の絵がストーリーとなることでさらに創造力を掻き立てられることだろう。
また、そのストリーをもとに、音楽生成AIの『Suno.ai』などで音楽のジャンルを指定して、歌詞としてストリーを盛り込むだけで、世界観はかなり広がるだろう。

子供が書いた絵を撮影し、『Gemini』に『写真』として添付して『相談』すると…

出典:YouTube Google Japan
出典:YouTube Google Japan

はい、承知いたしました。この絵からインスピレーションを得て、いくつかのお話を考えてみました。

お話1:宇宙を旅するお魚さん
この絵には、緑色の大きなお魚さんと、赤いロケットが描かれていますね。このお魚さんは、宇宙を旅するのが大好きで、ロケットに乗って毎日冒険に出かけるのです。今日は、月までお友達の星の子を迎えに行くところ。宇宙には、キラキラと輝く星がたくさんあって、とても綺麗です。お魚さんは、宇宙の冒険が楽しみでしょうがありません。
お話2:願いを叶えるロケット
この絵のお魚さんは、実は願いを叶える魔法の力を持っているのです。赤いロケットは、その魔法の力を乗せて、宇宙のどこへでも飛んでいきます。例えば、お友達が悲しい時は、虹色の雲を作り、笑顔にしてあげます。また、お腹がすいた時は、たくさんの星形のクッキーを降らせてくれます。このお魚さんは、みんなを笑顔にするために、今日も宇宙を飛び回っています。
お話3:未来の宇宙探検
この絵は、未来の宇宙探検の様子を描いているのかもしれません。緑色の大きなお魚さんは、宇宙船になり、赤いロケットは、その推進装置。新しい星を発見したり、宇宙人とお友達になったり、たくさんの冒険が待っています。この絵を描いた子は、きっと未来の宇宙飛行士になる夢を持っているのでしょう。
これらの物語を参考に、あなたのお子様や、この絵の持ち主の個性に合わせて、オリジナルの物語を創ってみてください。
例えば、こんな質問をすると、より詳しい物語が浮かんでくるかもしれません。
* 絵を描いた人は、どんな気持ちでこの絵を描いたのかな?
* 絵の中に描かれているお魚さんは、どんな性格かな?
* ロケットはどこへ行くのかな?
* 宇宙には、どんな秘密が隠されているのかな?
この絵を見ながら、お子様と一緒に想像力を膨らませて、楽しい時間を過ごしてくださいね。
絵を見て、何か他に聞きたいことがあれば、遠慮なくお尋ねください。
(以下、補足事項)
* この絵は、クレヨンを使って描かれたようです。
* お魚さんの目は大きく、口角が上がっていて、楽しそうな表情をしています。
* ロケットは、煙を出していて、今まさに飛び立とうとしているようです。
* 背景には、星がたくさん描かれていて、宇宙を表しているようです。
(上記の情報は、絵から読み取れる情報であり、あくまで一つの解釈です。
(絵の持ち主の年齢や状況など、より詳しい情報があれば、よりパーソナルな物語を創ることができます。)



このように、Geminiはハルシネーションを含めていろんな物語を考えてくれます。


■AIで楽曲にしてもらおう! Suno.com

Geminiの相談にその後、
『この物語で歌詞にしてください。タイトルもお願いします!』とするとこのような歌詞を作ってくれた。
タイトルは『宇宙魚の冒険』だった。

『宇宙魚(ソラギョ)の冒険』
星空きらめく夜空の下
緑色の魚がロケットに乗る
月へ向かう夢を胸に
銀河鉄道に乗ってGO!GO!
(サビ)
宇宙魚(ソラギョ)宇宙魚(ソラギョ)
星を飛び越えて冒険だ
新しい友達もいっぱい
宇宙船で笑おう!

こちらを今度は、Suno.com で作曲する。
https://suno.com/create

コピー・ペーストしただけで、歌詞をさらに拡張させている。

出典:Suno.com
出典:Suno.com


1分もすると、楽曲が完成できる!
なんと、2曲も同時に作ってくれるので、気に入ったほうを選べばよい。

出典:Suno.com
出典:Suno.com

https://suno.com/song/56acbb1a-5bfd-455b-82c0-b3d6e3488094

今度は、動画に渡して…3D映像に…というように、生成AIを駆使すると、短編映画のようなこともできてしまうことだろう。

Googleとしては、ChatGPTやClaude Perplexityらの台頭で検索そのものが多大な影響を受けているのかもしれない。
むしろ、他社に『検索時間』を奪われるくらいならば、『Gemini』で取り返し、Geminiの選択肢の中から『検索』への動線を確保したくなったというように筆者は見立てている。
Geminiからは、有償のサブスクプションはあれど、マネタイズの匂いはまったく、してこない。

むしろ、Geminiの先にこそ、AIのマネタイズが見えるのかもしれない。
検索一強のGoogleといえども、AIでは、ワンオブゼムなのである。
まずはテレビCMでも、接点を保つ必要があった。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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