不祥事を乗り越えろ! ピンチの船出がチームをまとめた大阪エヴェッサの新シーズン
Bリーグの大阪エヴェッサが3日、JR大阪駅近くの展示スペースを使って2018-19シーズンの新体制発表会を実施した。
同チームには、日本代表として参加していたアジア大会開催中に売春行為が発覚し、日本バスケットボール協会(JBA)から1年間の公式戦出場停止処分を受けた4選手の1人、橋本拓哉選手が所属している。発表会には200名近い観衆が集まる中、約1ヶ月後に迫ったシーズン開幕を控え橋本選手以外の11選手が勢揃いし、“FIGHT TOGETHER!!(ともに戦う!!)”をスローガンに掲げシーズンを戦う覚悟を示した。
そして選手紹介で最初に挨拶に立った根来新之助キャプテンは、現在の気持ちを以下のように言葉にしている。
「橋本拓哉選手の件に関して選手を代表してお詫び申し上げます。今少しバスケットボールのイメージが悪くなってきていますが、それを払拭できるように僕たちが一から盛り上げて、大阪エヴェッサが皆さんに愛されるチームになっていけるように頑張ります。
大阪エヴェッサはまだチャンピオンシップに進出できていませんが、今シーズンこそ結果にこだわってチーム一丸となり、必死にがむしゃらに低姿勢で戦っていきますので皆さんも一緒に戦ってください。今シーズンも熱い応援よろしくお願いします」
とはいえ、今回の不祥事は橋本選手のみならず、チームに大きな代償をもたらしている。Bリーグは各チーム12人の選手登録が可能だが、橋本選手は選手登録された状態で出場停止処分を受けるため、とりあえずエヴェッサは11人で戦っていかねばならないのだ。しかも橋本選手はアジア大会日本代表に選出される実力を誇る選手だけに、チームにとっても大きな戦力ダウンを伴う。
それでもチームは橋本選手が戻るのを待つことで一致団結しているという。安井直樹代表取締役は以下のように説明してくれた。
「今回の件があってから2回ほどチーム全体の前で今後の方針について説明しています。彼らはいつでも(橋本選手が)戻ってくる環境をつくっておくと言ってくれています。
戻ってくるというのは練習に参加するということで、練習参加については処分を受けていませんので、彼らも(橋本選手が)戻ってくるところをきちんと準備しておくから、それまでは僕らでやっていくと言ってくれています。
今後の戦績を見て(他の選手を)補強せざるを得ない可能性が出てくると思います。仮に補強したい場合は(橋本選手を)契約解除せざるを得ないです。ただエヴェッサとしてこの1年間は彼の面倒を見るというのは決めています」
とりあえず橋本選手はJBAの処分が下った時点でチームからの謹慎処分は解かれている。だが当分はチーム活動には一切加わらず、減俸処分を受けた上で社会奉仕活動と教育研修に従事していくことになる。すでに教育研修の一環として、安井代表取締役と一緒に京都の寺で座禅に取り組んだという。代表取締役から見ても、現在の橋本選手は「何も言わなくてもすごく反省していると私は感じました」とのことだ。
エヴェッサはBリーグ屈指のスポンサー企業を集めるチームだが、今回の件でスポンサー撤退を申し入れてきた企業はいなかったようだ。
「済んでしまったことは仕方がない、今からどう取り返すかというのと、彼をどう教育するかをしっかりやってほしいという声がほとんどでしたね。処分の重さについてもご理解頂いたと思っています」
日本中を騒がせる不祥事が起こったことが、いい意味でチームをまとめるきっかけになったようだ。
“拓哉が戻るまで!”
チームとして一致団結した大阪エヴェッサの戦いぶりに注目したい。