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独身がイメージしている「結婚の利点」とは

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 「結婚するとどんないい事あるのかな」想いを馳せる乙女心

実際には体験してみないと分からないがゆえに、憧れを抱く物事は多い。独身者における結婚もまたしかり。独身の人たちはいかなる利点を結婚に対してイメージしているのだろうか。その実情を国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に公式サイトで公開した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」の調査結果から確認していく。

次に示すのは調査対象母集団のうち18~34歳の未婚者に対し、結婚することのメリットとして、どのような事柄を見出しているだろうかを尋ねた結果。想定しうる選択肢を挙げ、最大で2つまで、回答者の思惑と合致するものを選択してもらっている。グラフ内の具体的数字は直近年調査となる2015年分のもの。

↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)
↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)
↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)
↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)

男女ともに「子供や家族」「精神的安らぎ」「愛情を感じている相手と暮らせる」など、内面的事柄が上位を占めている。外面的な話よりもまずは自分自身の気持ち・安らぎの面で、大きなメリットと感じているようだ。

逆に外面的要素は本人自身に対する項目よりも低めで、特に女性は「親や周囲の期待」以外は誤差の範囲内でしかないのが確認できる。そして「外面的要素」は「親や周囲の期待」以外、近年ますます低下する動きにある。

内面的要素のうち「子供や家族を持てる」は増加傾向を続けており、女性は直近ではついに5割に迫る形となった。「家族を持つこと」への大切さ・喜びを価値の高いものとして認識し、それを得るための結婚もまた魅力あるものとして考える人が増えているのだろう。

他に気になる動向をいくつかまとめておく。

・配偶者との同居を利点とする意見が減りつつある。

・女性は「経済的余裕」を結婚の利点としてとらえる動きが出ている。特に直近分では大きな上昇を見せ、2割を超えた。

・「親や周囲の期待」は前世紀まで減少していたが、今世紀に入ってから再び増加傾向に。

・「精神的安らぎ」は男女ともに減少の傾向。

・「社会的信用や対等な関係」は男性では今世紀に入ってから横ばいに推移しているが、女性はわずかながら増加の動き。

「経済的余裕が持てる」の項目では、男性はほとんど動きが無い(直近年では有意に上げているが)のにも関わらず、女性は確実に、そして大きな動きをもって増加している。この動きは報告書にも特記事項として「女性では「経済的に余裕がもてる」が増加傾向にあり、今回初めて2割を超えた」と記載されるほど。ソロバン勘定が上手になりつつあるとの判断もできるし、結婚に対する価値観の変化の表れの一端であるとの認識も可能となる。「配偶者との同居」を長所として挙げる人の減少スピートは女性の方が大きいことから、女性の結婚観がドライに傾いている、との見向きもできよう。

男女とも自分自身のメリットに重点を置き、周囲の人の意見にはあまり耳を貸さない部分は、「個人の自由だから結婚はしてもしなくても良い」の裏返しともいえる。つまり「結婚のする・しないは自分の自由意思で決める。周囲のことは(あまり)気にしない」。

また、男性は元々「(自分の)精神的安らぎが得られる」事を一義的に考えていたのに、昨今では「(自分自身以外の人間である)子供や家族を持てる」を結婚の長所と考える人が増加し、順位が逆転してしまっている。この動きは男性の結婚観が「自分中心」から、「自分と、自分を含むもっとも身近な人たち中心」に変わりつつあると読めよう。

一方女性は「子供や家族を持てる」との家族形成に強い憧れを抱くと同時に、「経済的余裕」への魅力も増すなど、人間関係・金銭関係双方を求める動きが強くなりつつある。全体的な回答率は女性の方が上なことも合わせて考えると、「独身者の結婚への憧れは女性の方が強く、そして心理的・経済的双方の充足をも考えた、現実的な結婚観を抱いていており、昨今ではその傾向が強まりを見せている」と解釈できよう。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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