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【橋本市(高野山エリア)】効果的なインスタグラム運用で「何にもない」地域を盛り上げるには?

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

今回は橋本市や高野町と直接の関係はありませんが、お隣奈良県の下市町役場で運用されているインスタグラム(以下、インスタと省略)が行政が運用しているにも関わらず、非常に為になるスゴイ発信を行っているのでご紹介。

赤枠囲いが下市町の位置、橋本市からとても近い。。ヤフー地図より。
赤枠囲いが下市町の位置、橋本市からとても近い。。ヤフー地図より。

下市町情報
奈良県五條市の東隣。橋本市役所から下市町役場まで車で約30分。
主な産業は、割りばし、木工品、林業、梅や柿栽培など
観光スポット:
丹生川上神社下社、波比売神社、龍洞院、願行寺、岡峯古墳、広橋梅林、下市温泉

インスタの運用といえば、何でも良いから写真を掲載するのではなく、全て統一した価値観の写真を掲載した方が良いと言われていて、「カワイイ」「美しい」「美味しそう」といったいわゆる映える写真の掲載が多い中で、この下市町は一味違います。

公式インスタグラムのプロフィール画面
公式インスタグラムのプロフィール画面

だいたいの市町村公式インスタや観光協会のインスタでは観光地や景勝地の風景の写真や動画、イベント情報が多い中で、下市町はメインが地域の住民!

しかも、観光関係者ではない一般の事業者をどんどん取り上げて、写真の中に文字入れして『一言で魅力を伝えて』一目でまず分かるような紹介をされていました!

はっきり言ってつまらない、一方通行の情報発信運用をしている組織が多い中で、ここは他と比べて中身が面白く、地域住民も見たくなるし、地域外の人も見たくなる仕掛けで、とても価値ある仕掛け!

去年5月からインスタは運用されたばかりで一年経ってないにも関わらず、お堅いイメージの行政がやっているにも関わらず、既にフォロワーは3000人越えて数字にも現れています。(下市町の人口は2024年で約4500人)

実際に私の担当しているエリア、橋本市と高野町のフォロワーと比較しても、

・橋本市公式インスタ 3727人(橋本市の2024年人口は約59000人。下市町の13倍の人口)

・橋本市のことを発信している高野山麓ツーリズムビューローは1829人 (橋本市・かつらぎ町・九度山町・高野町・紀美野町・龍神村・五條市エリアを包括している組織としての数字)

・高野町公式インスタ 4370人(高野町の2024年人口は約2600人。ただし有名観光地なので下駄を履いての数字)

・高野町観光協会公式インスタ 641人

大変失礼な言い方になってしまいますが、有名観光地でもなく、人口も多くはない下市町のインスタグラム運用がいかに効果的で、行政が発信力を持って地域のことを発信できており、地域にある仕事やプレイヤーを地元の方(や行政職員自身も!)が知る機会にも繋がっています。

※先にお伝えしておきますが、お金をかけてフォロワー数の表面的な数字だけ増やしている組織もありますが、そことも下市町は違います。

下市町がこんなインスタ運用になったのは、行政が副業人材と連携してSNS発信を強化しはじめることになってから。若い外部人材を活用して広報のインスタのコンセプトと運用を今までとは全く違うように変えてみたら反応が良くて今に繋がっているとのこと。(しかも、コンセプト変更したのが去年11月で、それからたった半年でフォロワーが一気に増えている)

下市町での運用当初のインスタ(よくある行政&観光系組織のやりかた。セレモニー、イベント、風景など)
下市町での運用当初のインスタ(よくある行政&観光系組織のやりかた。セレモニー、イベント、風景など)

コンセプト変化後の下市町インスタの画面。「なにこれ?なにそれ?」と読みたくなる、人をクローズアップした写真
コンセプト変化後の下市町インスタの画面。「なにこれ?なにそれ?」と読みたくなる、人をクローズアップした写真

文字のツッコミも楽しい。行政の公式インスタとは思えない
文字のツッコミも楽しい。行政の公式インスタとは思えない

フォロワー数が増えただけではなく、実際にインスタを見て(町のこと、人のことを多少分かった上で)町に来る人が増え、積極的に住民とつながり、「来てみたら面白い町だった」と外部に気づいてもらえるきっかけになっています。

また、地域にも還元され、お店や事業者から「インスタの反応あったよ」と声かけされることも増えたそう。

担当者の現場での聞き取り作業では、お堅い感じで話を聞くのではなく、笑顔で傾聴し、相手が話をしたくなるようにもっていくなど、色んな意味でノウハウが蓄積されている模様。担当者が住民に話を聞いていたところ、住民の皆さんが「濃い光るナニカ」「親しみやすさ」を持っていて、魅力が埋もれていたそうです。

今後はさらにSNS運用を拡大して関係人口作りに繋げて、下市町に来てもらう仕掛けを積極的に行うとのことで、今後が楽しみな町です。

今は行政も事業者も各種SNSを使いこなして発信していく時代。

ぜひ橋本市や高野町、並びにこの記事を読んで頂いている他の地域の方にも是非このような取り組みを参考にして盛り上がって頂きたく思い、記事にしました。

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「下市町公式インスタグラム」

https://www.instagram.com/go_shimoichi/

お問合せ

下市町役場 地域づくり推進課

住所:奈良県吉野郡下市町大字下市1960

電話:0747‐52‐0001

地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。社会教育士 (橋本市/高野町/かつらぎ町/九度山町 担当)

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