アウシュビッツ博物館のX、3月で4800人以上がフォロー解除:2か月で約1万人が解除
2か月で約1万人のフォロワーがフォロー解除
アウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式X(旧ツイッター)が、2024年3月の1か月で4800人以上のフォロワーがフォローを解除したことを報告していた。インプレッションやエンゲージメントなどは明らかにしていない。2024年2月にも5161人のフォロワーがフォローを解除していた。2か月で約1万人のフォロワーがフォローを解除している。
1月27日が国際ホロコースト記念日で、1945年1月27日はソ連軍によってアウシュビッツ絶滅収容所が解放された日である。国際ホロコースト記念日の前や当日にはイベント情報が多く発信されたり、世界中のニュースなどで多く取り上げられたことで1月のインプレッション数とエンゲージメントはかなり増加していた。だが、2月から3月にかけてホロコーストにかかわる大きなイベントがなくなったことが要因の1つだろう。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館はXで「アウシュビッツで起きた人類の悲劇の記憶は、より良い未来の創造につながります。私たちのオンラインでの活動のミッションはアウシュビッツで起きた悲劇を現在と未来に伝えていき、教育していくことです。私たちの声を拡散することに、引き続き協力をお願いします。」とコメントしていた。
160万超のフォロワーに毎日犠牲者の誕生日をお知らせ
アウシュビッツ絶滅収容所博物館ではX(旧ツイッター)で毎日情報発信を行っている。アウシュビッツ絶滅収容所博物館のX(旧ツイッター)では、毎日、アウシュビッツ絶滅収容所で犠牲になった方々の誕生日や殺害された日に、彼らの写真とともに生まれた場所、いつ殺害されたかをポストしている。110万人以上が殺害されたアウシュビッツ絶滅収容所なので、毎日誰かしらの誕生日である。ナチスドイツではヨーロッパ中のユダヤ人を絶滅することを政策として掲げていたので、支配した地域でもユダヤ人をリスト化していた。そしてどの地域で何人のユダヤ人をどこの収容所に送るという"ノルマ達成"を官僚主義的に行っていたが、その際にもきちんとユダヤ人の情報をリスト化していた。そのようなナチスドイツによるユダヤ人の徹底的な管理に向けた"まめな記録"が現在ではデータベース化されており、アウシュビッツ絶滅収容所博物館ではその日が誰の誕生日かがわかる。
写真が残っていない犠牲者の場合は文字だけで犠牲者の情報をポストしている。ユダヤ人にとっては家族や友人らとの幸せだった時代の写真は貴重なものでアウシュビッツまで持ってきたが、ナチスドイツにとっては全く価値のないものだった。そのためすぐにナチスドイツによって焼却されてしまったので、平和な時代の写真が残っているのはとても貴重である。だがアウシュビッツでは強制労働に適していると判断された囚人らは3方向から写真撮影されていた。それらの写真がデジタル化されて保存されており、3枚の写真が犠牲者の誕生日に掲載されることが多い。多い日には1日に10人くらいの犠牲者がポストされることもある。
さらにアウシュビッツ絶滅収容所博物館では、大量にある犠牲者の写真の他にも文書、遺品などをデジタル化して保管しており、それら貴重な歴史的コンテンツを毎日X(旧ツイッター)で世界中に発信している。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館ではフォローの呼びかけを積極的に行っていたのでフォローはしたものの、アウシュビッツ絶滅収容所での犠牲者の写真、小さな子供の写真、生々しい死体焼却の写真や残虐な写真などが毎日多数ポストされているので、見ているのが辛くなったり気分が悪くなったりしてしまいフォローを外してしまう人も多い。確かに見ているだけで辛い気持ちになるのは、ホロコーストを研究している欧米やイスラエルの研究者でも多い。また欧米では授業でホロコースト教育を行っている学校も多く、学生らが授業期間中やグループでの発表前、レポート作成時期などにはフォローしているが、授業期間が終わると解除してしまうことも多い。毎日このようなポストが多数流れてくると気分が滅入ってしまいフォローを外してしまうのも頷ける。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館では、2019年8月に「解放75年を迎える2020年1月までに、X(旧ツイッター)のフォロワーを75万人まで目指す」と掲げていた。当時は55万人程度のフォロワーだったが、2019年末には75万まで到達し、目標はクリアした。その後、アウシュビッツ絶滅収容所博物館では「フォロワーを2020年1月27日(国際ホロコースト記念日)までに100万人」と目標を上方修正し、この目標もクリアされ、2022年末までにフォロワー数150万の目標を掲げてクリアした。2024年3月末で160万のフォロワーがいる。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館のX(旧ツイッター)ではホロコースト関連のニュースや犠牲者の情報、生存者の体験など決して明るいニュースや情報ではなく、目を覆いたくなるような写真や生々しい情報も多い。
2023年10月に武装集団ハマスがイスラエルを攻撃してからは、様々な反ユダヤ主義に関する情報や陰謀論がSNSで多く拡散されているが、アウシュビッツ絶滅収容所のX(旧ツイッター)ではホロコースト時代の様子やニュースだけでなく、現代社会のヘイトスピーチや民族憎悪、欧米では根強く残っている反ユダヤ主義に対しても警鐘を鳴らしている。
▼平和な時代に撮影されたユダヤ人の写真を掲載するアウシュビッツ絶滅収容所博物館のX(旧ツイッター)
▼3方向から撮影された強制労働に適しているとされたユダヤ人