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整形告白や権威失墜に揺れる“ミス・コリア”の真実

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ミス・コリアがミス・ユニバースに出場することはないのか(写真:ロイター/アフロ)

韓国女性たちの美を競う“祭典”として知られるミス・コリア。韓国の大手新聞社『韓国日報』の主催で1957年にスタートし、日本でも韓国最高のミス・コンテストとして知られている。1位となるミス・コリア眞(ジン)は1人、2位となるミス・コリア善(ソン)は2人、3位のミス・コリア美(ミ)には3人が選ばれるのだが、その選定過程は長く厳しい。

まず全国各地で地区予選が行われ地区別代表が決まったあと、今度は地区別入賞者を集めた本選(「ミス・コリア選抜大会」)で優勝者を決めるのだ。フィットネスモデルで最近は女優としても活躍してさらに人気上昇中の“脱アジア級スタイル”と呼ばれるレイヤンも、実は2007年ミス・コリアの釜山地区入賞者だった。

そんなミス・コリアが7月にも行われた。今年は2000年のミス・コリア眞で女優に転身し、現在は俳優クォン・サンウの妻としても知られるソン・テヨンが司会を務めたが、やはり大会の“華”となったのは全国の地区予選を勝ち抜いた総勢34人の美女たち。水着やドレス姿を披露して審査委員たちにアピールする姿は今年も圧巻だったという。

(参考記事:一挙公開!! ミス・コリア2016選抜大会、総勢34人のプロフィール&特撮グラマラス!!)

ただ、今年のミス・コリアは「もはや権威が落ちた」と指摘されている。

というのも、これまでミス・コリア眞に選ばれた者がアメリカで行われるミス・ユニバースに、ミス・コリア善に選ばれた者がイギリスでミス・ワールドに韓国代表として出場してきたが、ミス・コリアはいずれの世界大会からも出場資格を剥奪されていたことが明らかになったのだ。

韓国メディアによると、ミス・ワールドからは常に二番手の“善”を送り込んできたことを理由に2011年をもって出場資格が停止され、ミス・ユニバースは『韓国日報』ではないほかの企画会社と今年4月にライセンス契約を交わしたことで、これまで続いていたミス・コリアの出場がなくなったという。

この事実が明らかなになったことで、メディアは騒然。今年は淑明女子大学の声楽科に在籍する身長177cmのスレンダー美人のキム・ジンソルさんがミス・コリア眞に選ばれるなど、「いつになく才色兼備の麗しき受賞者たちになった」と評判だったが、「国際大会に出られないミス・コリア眞」「世界から拒絶された韓国の美の頂点」と皮肉られている始末だ。

(参考記事:第60回ミス・コリア選抜大会の麗しき受賞者たち

もっとも、ミス・コリアが批判の的になるのは今回が初めてではない。90年代にはミス・コリア参加者の父兄たちの関係者買収が発覚しているし、90年代後半には採点ミス騒動や参加者たちの整形疑惑も後を絶たない。

特に最近は海外メディアからも「ミス・コリアの参加者は全員同じ顔で見分けがつかない。美容整形大国・韓国を象徴している」と指摘されている。

2012年のミス・コリア眞で現在はタレントに転身したキム・ユミが、「韓国を代表する美の使節団であるミス・コリアが自然美人ではないということに失望されるかもしれませんが、目と鼻を整形しました」と告白して波紋を呼んだこともあるし、ミス・コリア出身のソ・ヒョジンが「誰の目にも整形をたくさんしたとわかる人は、審査委員を含め大衆から無視される。ただ、(現状のミス・コリアには)整形に関して厳格な基準がない状態」と意味深なことも語っていた。

2015年はそうした論争を避けたかったのか、選抜大会にエントリーした全員がゴージャスな水着姿を披露する“ビキニ・パレード”も実施して華やかさを強調したが、「セクシーさばかり売りにして本来の美の基準が揺らいでいるのではないか」と非難もされた。

(参考記事:厳選30枚を蔵出し公開!! ミス・コリア2015を完全再現!!)

そんな中で今回は世界大会への出場資格剥奪が発覚してしまったのだ。『朝鮮日報』などは、「ミス・ユニバースとミス・ワールドに韓国代表を派遣できないということは、ワールドカップやオリンピックに選手を派遣できないのと同じこと。ミス・コリアは事実上終わった」と鋭く指摘しているほどである。

それだけに気になるのは、ミス・コリアの今後だろう。何かと批判や指摘があるもののその歴史は古く、ミス・コリアの過去の受賞者たちの中にはそのまま女優やタレントに転身する者たちも多い。かつては「ミス・コリアのタイトルは韓国芸能界で成功するためのブルーチップ」とさえ言われていたほどだった。

ただ、ミス・コリアの権威失墜は、韓国の美人コンテスト勢力図を変えるかもしれない。

実際、最近は“奇跡のDカップ女神”ユ・スンオクを一躍有名にした『マッスルマニア』など健康美を競うミス・コンテストも盛んであるし、夏本番の8月になると後姿美人を決める『ミス・セクシーバックコンテスト』なども行われている。ミス・ユニバースと権利契約した前出の企画会社も、今年10月に「ミス・ナショナルコリア(仮名)」を開催し、ミス・ユニバースとミス・ワールドに送り込む韓国代表を決めるという。

韓国代表の座をかけた“美の祭典”として今年で60回目を迎えたミス・コリアだが、今、その存在意義が問われているのは間違いないだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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