相場が気になる・賃貸住宅の敷金や礼金の現状は!?
全国平均では敷金は1.38か月分、礼金は1.02か月分
賃貸住宅で新規に契約をする際に必要となる敷金や礼金。各物件の状況はもちろんだが、市場全体の動向で大きく動き、そして地域的な差異も小さからぬものがある。その現状を賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が約半年の間隔で定期的に更新・公開している、協会員を対象としたアンケート調査結果「賃貸住宅景況感調査日管協短観」の最新版(2014年度下記・2014年10月~2015年3月)から探る。
まずは礼金・敷金の平均動向。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に、賃貸住宅業者に支払われる「お礼金」のこと。一方「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から退去する際に、次の借主が支障なく使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。ただし通常使用における損耗は、自然に生じるものとして、その責は利用者には無いとするのが一般的。
全国平均では「礼金」は家賃の1.02か月分と1か月強、敷金は1.38か月分と約1か月半近くとの結果が出ている。
関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べてかなり高い結果が出ている。
今件値は業者側の調査に基づいた結果。地域、周辺環境の違いも多分に影響するが、この値を覚えておけば、無駄な探索をしたり、怪しげな物件に惑わされる心配はずいぶんと減る。
入居時の条件交渉は!?
各賃貸住宅管理会社が管理している賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機など)について、居住希望者との間での交渉度合はどのような変化を示しているのか。借り手・貸し手の力関係を推し量れるデータともいえるが、それぞれについてその移り変わり(前年同期比)を尋ねたところ、全国では回答企業の6割強が入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も6割に達している。
地域別では賃料、礼金・敷金共に関西圏の方が交渉増加傾向が強い(賃料では「増加」の割合こそ首都圏の方が上だが、「減少」まで考慮すると関西圏の方が強い動きとなる)。金銭周りの話は関西圏が他地域より敏感との話は良く知られることではあるが、これが賃貸住宅の折衝でも反映されているようだ。
また設備設置交渉傾向は首都圏・関西圏「以外」のエリアが強い。「以外」エリアでは増加したとの意見が37.6%にも達している。交通機関や商店、公共施設などの周辺環境が首都圏・関西圏と比べれば物足りない面があることから、その分内部設備の充実を欲しているものと考えられる。
ともあれ、全国、首都圏・関西圏共に、賃料・礼金など金銭面において、6割前後が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるのだろうが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との状況に、大きな変化はないと考えて良かろう。
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