小学校低学年では4.0%が経験済み…幼い子供達における配信実情
インターネットに関連する各種技術の高度化と一般化が進み、誰もが気軽に動画や音楽を撮り、不特定多数に向けて提供することが可能となった。そしてそれらの技術を組み合わせ、テレビのように不特定多数に向けた動画や音楽の(リアルタイム、あるいは非リアルタイムでの)提供、つまり配信をすることのハードルも低いものとなっている。配信は行う側からも見る側からも、社会の有り様を大きく変えるものとして注目を集めている。今回は内閣府が2024年3月付で報告書を発表した「令和5年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容を基に、9歳以下の子供達における配信実情を確認していく。
次に示すのは、調査対象母集団における配信経験がある人の割合。設問では「撮影や制作、記録をする(動画撮影や音楽制作、編集を含む)」とあり、これに該当する人に対し「配信したことがある」か否かを尋ねた結果となっている。つまり今件における「配信」の意味について具体的な説明はないが、前段階で主に動画や音楽を対象としているものとなっており、「リアルタイムでの動画や音声による不特定多数に向けた提供」以外に、動画や音楽をオンライン上にアップロードして不特定多数に提供するもの(非リアルタイム)も該当するものとする。なお元データには「通園・通学前(0~6歳)」の区分もあるが、該当者が2人のみで、かつ値が50.0%というイレギュラーな結果となっているため、省略している。
9歳以下の子供全体では2.8%が経験ありとしている。具体的な内容は一切問われていないが、雑談や料理などの紹介、そしてゲームプレイの実況などが行われているものと思われる。あるいはネタ話を自分なりの解釈で創作したり、インターネット上で流行っている物事や経験談を紹介したりしているのかもしれない。
通園中の0~6歳では1.3%、小学校低学年(6~9歳)では4.0%。小学校低学年に該当する年齢階層を1歳ごとに見たが法則性のようなものは見当たらなかった。ソーシャルメディア上に動画をアップロードしただけでも「配信」と解釈することも可能なので(一般的にはユーチューブなどの動画共有サイトへのアップロードを意味するが、広義ではオンライン上にアップロードすれば該当する)、この値が出ているのかもしれない。
興味深いことに、男女別では女子の方が高い値を示している。男子よりも女子の方が、配信に対する意欲は高いのだろう。
配信されている動画やリアルタイムの映像がより多くの人に見られるようになるに連れ、配信行為への注目も一層集まるようになる。そしてスマートフォンがあれば、あとはやり方を学ぶだけで誰もが配信をすることができる。今後子供の間でも、より多くの人が配信をするようになるに違いない。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2023年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月1日から12月7日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2160人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ309人、93人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
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