原油先物価格が再び上昇、節目を超えられるか
7月6日に原油価格のベンチマートともいえるWTI先物は76ドル95セントまで上昇した。減産についてOPECプラスが合意に至らず、5日に再開を予定していた閣僚級会合を中止したことなどが影響した。
しかし、ここがいったん高値となった。チャートでみると直近の高値が2018年につけた77ドル41セントであり、ここを抜けると2014年につけた100ドル台が次の節目となる。
ところが77ドルは抜けず、むしろここからいったんWTI先物は調整局面に入る。8月20日に61ドル台に下落したが、このあたりが目先の底になって、反発してきた。
9月28日には76ドル65セントまで上昇し、再び77ドル台をうかがう小動きとなったものの、今回も77ドル台をつけることはなかった。
ここにきての原油先物価格の上昇の背景としては、米国南部に上陸したハリケーンで被害が出た石油関連施設の復旧に時間がかかっていることに加え、主な産油国が8月以降に予定していた増産が、設備の整備不足などで進んでいないとの見方によるものである。
天然ガスがロシアを巡る地政学的リスクもあって1年前の6倍に高騰するなどしたことも原油価格の押し上げ要因となっていたようだ。
チャート上ではひとまず、WTIが78ドルを突破してくるのかを確認したい。100ドルまで上昇するにはコロナ禍が一段落し、世界的な経済活動の再開による原油需要の急回復といったものがないと難しいかもしれない。
10月1日付ブルームバーグによると、中国当局が国有エネルギー大手に対し供給確保の取り組みを厳命したと伝わった。サキ米大統領報道官はその後、原油相場の上昇は「米国にとって懸念だ」と述べ、米政府が石油輸出国機構(OPEC)と話し合いを持っていることを会見で明らかにしたとか。