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債券先物オプションの刻み変更で売買高は増加

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 次期デリバティブ売買システム(J-GATE3.0)が9月21日に稼働した。この稼働に合わせて、大阪取引所及び東京商品取引所の取引制度の見直しが行われた。債券市場絡みでは、債券先物オプションの権利行使価格の刻みが変更された。

 債券先物オプション取引の権利行使価格の刻みについて、それまでの「50銭刻み」から「25銭刻み」に変更された。

 債券先物の値幅は限られ、水準も151円台から152円台の非常に狭いレンジ内で動いており、50銭刻みの権利行使価格の刻みでは商いそのものも限られてしまう。これが25銭刻みとなればよりオプション取引の取引機会も増えることは確かであろう。

 では実際に「50銭刻み」から「25銭刻み」に変更されてどうなったのか。

 大阪取引所のデータによると、長期国債先物オプションの月間取引高は9月が12434枚、10月が18306枚となり、明らかに増加していた。

 さらに50銭刻みの売買高は、9月が11055枚、10月が9957枚となっていたのに対し、25銭刻みの売買高は9月の1379枚から10月は8349枚となっており、25銭刻みにしたことで売買高が増加したことがわかる。

 債券先物に絡んだ制度変更は過去何回かあった。長期先物だけでなく、中期や超長期の先物、さらにミニ長期国債先物など新設されるなどしたが、なかなか取引高が伸びることはなかった。

 今回の制度変更はオプションの刻み幅の変更ではあったものの、うまく機能した制度変更となった。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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