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過去最低を記録した日本の中韓への親近感

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 日本国民の主要国への対外感情は……!?

対米親近感83%、対中14%、対韓32%

内閣府はほぼ毎年1回、日本国内における外交に関する世論調査(外交に関する世論調査)を行っている。先日発表された2014年分の結果によれば、中国と韓国に対する親近感は同一基準で調査結果が確認できる1978年以降の分では、最低の値が確認されている。

直近2014年の調査結果は次の通り。諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かで、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示、その中から回答者の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらっている。

↑ 諸外国との親近感(2014年)
↑ 諸外国との親近感(2014年)

赤系統色の回答部分には留意が必要。「(どちらかというと)親しみを感じない」は回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「分からない」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる。赤系統の回答率が多い国・地域は、日本が「憎んでいる」との解釈には必ずしもたどり着かない。

結果を見るとアメリカへの親近感の高さが目に留まる。親しみを覚えない人は1割強でしかなく、今回の提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、2011年3月の東日本大地震・震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。同作戦から3年が経過し、やや印象が薄れてきた感もあり、親近度も昨年からは落ち込みを見せたが、高水準を維持していることに違いはない。

他方、ロシアや中国など、いわゆる(元)共産圏諸国との親近感は薄め。そしてここ数年大きな下落傾向にある中国・韓国だが、今年は前年からさらに減少を示している。中国は今回例示された主要諸外国の間で、親近感を持たれる率がもっとも低い。

中国では「親しみを感じない」との強い非親近感の項目では他の国を抜きんでて52.6%との高い値を示しているのも印象的。またロシアと比べて「親しみを感じる」派で大きくリードしている韓国が、この項目でもロシアを抜いていることから、韓国に対する日本の親近感は多分に、そして極端に二分されていることがうかがえる。

経年変化をたどると……

「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を合わせた値を「親近感」と位置付け、過去の調査結果もあわせ、その移り変わりを示したのが次のグラフ。なおインドは1991年から2007年は「南西アジア諸国(インド、パキスタンなど)」と尋ねているため、厳密には連続性は無い。

↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)
↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)

アメリカ合衆国への好感度は一様に高く、ここ数年では一段高の状態にある。一方中国は全体的に右下がりで、この30年ほどの間に1/2から1/3ほどまでに減少しているのが一目瞭然。

韓国やインドは基準値こそ違えども同じようなカーブを描いて上昇中。ただしここ数年韓国は頭打ち、そして2011年から2012年にかけて大幅な下落を記録し、直近の2014年もさらなる急落を示している。中国の下落とあわせ、中国は尖閣諸島と反日暴動、ガス田、さらに直近では小笠原諸島のサンゴ違法搾取、韓国は竹島、そして双方の国とも強圧的・理不尽的な外交姿勢・対日経済施策が大きく影響しているものと考えれば納得はいく。

2013年に見られた一時的な状況の改善は単年のイレギュラー的なもので、概して低い値が継続していることが、今回のグラフから改めて実感できる。2013年から最新値となる2014年への変移を見ても、両国は下げ方でツートップの関係にある。

↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の、2014年におけ前回調査との差異)
↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の、2014年におけ前回調査との差異)

今件はあくまでも不特定多数の母体による世論調査の結果であり、それがそのまま日本国全体としての各国へ向け親近感、さらには政策につながるわけではない。一方で、主要国への印象を推し量るとの視点では、十分に役立つ値ではある。今後各国との関係(善し悪しの他に単純な密接度)に変化があれば、調査結果にも確実な動きが見られるはずだ。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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