高校2年生で「国や地域の政治や選挙に関心あり」は35.0%…子供達の政治や選挙への関心度合いをさぐる
「政治や選挙に関心あり」は3割台~4割台
若年層の政治への無関心が問題視される昨今だが、子供達は国や地域の政治や選挙にどの程度関心を持っているのだろうか。国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から、その実情を確認する。
次に示すのは直近となる2016年度において回答者が国や地域の政治や選挙にどれほど関心を抱いているかを示したもの。青系統色が肯定派、赤系統色が否定派となっているが、ぱっと見で分かる通り赤系統色の面積が大きい。つまり政治や選挙に関心が無い子供が多いことになる。
小学6年生でややイレギュラーな値が出ているが、学年別の傾向的な差異は見られず、強い関心派が1割台、弱い関心派が2割台、弱い非関心派が3割台、強い非関心派が3割足らずぐらいといったところ。小学生はまだしも、中高生に至るまで関心派が少数なのには少々驚かされる。
特に高校2年生は、今後の選挙においては翌年にでも選挙権を得る可能性がある。この低さでは投票率の低迷につながりかねず、問題視する必要がある。
男女別に区分したのが次のグラフ。
小学生では女子の方がやや高めの関心度を示すが、中学生以降になると明らかに男子の方が高い関心度を計上するようになる。表現を変えれば、中学生以降は女子の方が醒めている。特に選挙権を間もなく得る高校2年生で男女間に10%ポイント程度の関心派の差異が出ている状況は、今後未成年者などに向けた投票アピール・啓蒙活動の際に、関係方面は色々と頭を悩ませるに違いない。
経年推移をたどる
これを調査回別に見たのが次のグラフ。
強い関心派が若干増えているようにも見えるが、その分強い非関心派も増えている。少なくとも2006年度以降、子供の政治に対する関心度合いは一定、あるいはほんのわずかだが二極化の動きを示していると解釈すべきだろう。ただし直近の2016年度では明らかに関心派が増え、非関心派が減っている。まだ一度だけの動きのためイレギュラーな可能性があるが、18歳にまで選挙権の年齢が下げられたことが影響しているのかもしれない。
政治や選挙に関心を持つ子供は1/3割強に過ぎないとの結果は、若年層における投票率の低さに頭を抱えている各方面にとっては、由々しき問題に違いない。一層の啓蒙活動が必要だが、同時に子供にも分かりやすい(当然「正しい」が大前提)、そして関心を持たれる、嫌悪感を抱かれない、大人が見ても納得のいくような政治の履行や選挙活動が求められよう。
■関連記事:
地元面、社会面、政治面、経済面…それらより読者が満足している新聞の記事は
※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。