1月会合では日銀は動かず。しかし総裁会見などで正常化に前向き姿勢が示される
1月22、23日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を全員一致で決定した。「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」といったフォワードガイダンスの文面の修正もなかった。
ただし、これは大方の市場参加者の予想通りであった。そして多くの市場参加者は4月の金融政策決定会合での、マイナス金利政策の解除を予想している。
この可能性については、決定会合後に発表された展望レポートや、植田日銀総裁の会見内容からみて、その可能性を強めさせるものとなっていた。
実際に会見時間中に、ナイトセッションの債券先物が下落するとともに、ドル円が148円台から一時、147円割れとなるなどの動きとなっていた。
展望レポートでは、消費者物価指数(除く生鮮食品)の2024年度の予測を10月見通しのプラス2.8%からプラス2.4%に引き下げた。そして2025年度の予測については、10月見通しのプラス1.7%からプラス1.8%に引き上げた。
そして、展望レポートの文面で、「先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている。」との表現が加わった。
「見通しが実現する確度」というのも日銀文学と呼ばれるような曖昧かつ具体性のない表現ながら、とにかくもこれまでよりも正常化の可能性は前進していることを示すものであろう。
植田総裁の会見では、今後マイナス金利を解除しても、極めて緩和的な金融環境が当面続くと述べるなど、解除などは絶対にありえないといった姿勢ではなく、マイナス金利解除を前提としたコメントとなっていた点にも注意したい。
ここまで長らく待たせれており、何をいまさら感もなくはないが、とにかくも、3月か4月に正常化に向けた一歩を踏み出す可能性が出てきたことはたしかであろう。
総裁も会見で述べていたが、能登半島地震による日本経済への影響はさほど大きなものではない。このため今回、マイナス金利解除が見送られたのは、地震の影響ではなく、日銀の想定通りであったと思われる。
賃上げ動向を大きな正常化の理由にしている以上、それを数値で確認した上で、マイナス金利解除を行うというのが前提となっているように思われる。
イールドカーブコントロールの解除などについては、そのときの経済情勢等次第と総裁は会見で発言していたが、本格的なYCCの解除は先送りしてくるであろうことも容易に想像される。
ETFについては買い入れそのものを中止することはあっても、それを売却することは考えていないことを総裁は示していた。それはそれで問題ではある。せっかく株価は上昇しているので、さっと売却して実現益を得た方が良いのではなかろうか。市場へのインパクトはさておき。