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車ほどの大きさ?大型ドローンが多数NJ上空を飛来。敵?スパイ?市民に広がる不安

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
「いずれも確認できていない」とホワイトハウス国家安全保障通信顧問のカービー氏。(写真:ロイター/アフロ)

アメリカ北東部地域でここ数週間、連日のように「大型ドローン」が上空を飛行しているのが目撃され、市民に不安が広がっている。

初めて目撃されたのは11月中旬。以降正体不明のドローンが飛んでいるのが頻繁に目撃されるようになった。しかも場所によっては1機、2機の話ではない。一度に8機など複数のドローンが飛び、まるで群れをなしているように見えるものもある。

最初の目撃情報はニュージャージー州だけで、それほど話題になっていなかった。しかし数週間かけて次第にニューヨーク、ペンシルベニア、コネチカットなど広範囲で目撃されるようになり、各主要メディアやSNSでも大きな話題となってきた。

  • ドローンはニュージャージー州にあるトランプ氏が経営すゴルフクラブや海軍の武器関連施設の上空でも目撃されている。
  • ドローンは赤や緑の光を放ち飛行している。ヘリコプターで近づくと、ライトが消えるという目撃情報もある。

気持ち悪いのは、「誰が」「何のために」飛ばしているのか、米政府の見解が発表されていないことだ。

ミステリアスなポイント

  • 異常な多さ:ニュージャージー州上空では12月だけで約3000件の目撃情報がある。場所によっては数機が群れをなしているように見えるものも。
  • 異常な大きさ:一つ一つのドローンは大きく、明らかに趣味用のものではないようだ。米メディア英メディアによると「最大1.8メートル」「車ほどの大きさ」などという情報も。
  • 米政府が未確認:連邦政府、国土安全保障省、FBI、シークレットサービスも含めいずれも未確認だという。ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障通信顧問(White House National Security Communications Advisor)はこのドローン騒動について「報告された目撃情報はいずれも確認できていない」と記者会見で述べている。
  • これだけ多くのドローンが目撃されているのに着陸&離陸している目撃情報は一切ない。

「外国からのものではないか?」「スパイでは?」など市民の間には不安が広がり憶測が飛び交っている。

ニューヨークではホークル州知事が会見を開き「公共の安全性や国家安全保障を脅かすものであるとする証拠はない」と発表した。

国防総省はドローンが外国の資産であるとは考えていないと発表した。詳細を確認できていないのにどうして外国の資産でないとわかるのだろうか?

この騒動は現在進行形だが、12日に動きがあった。1機のドローンがニュージャージー州の一般住宅の裏庭に墜落したことが確認されたのだ。

しかしこの墜落したドローンは趣味用の小型機で、大型ドローンではないという。地元警察では、騒動に便乗した「模倣犯」の可能性が指摘されている。

また連日の大型ドローン騒動についてさまざまな情報ソースを調べると、米軍もしくは防衛関連団体が関与した米政府による動きである可能性を指摘している専門家もいる。

いずれにしても、ミステリアスで非常に気持ち悪い出来事が未解決のまま今も続いているというわけだ。ドローンは戦争の兵器として使われる無人航空システムでもある。このような大型ドローンが正体不明でこれだけ多く、数週間にわたって上空で目撃されているのに、アメリカ政府は誰が何の目的で飛ばしているのか未だ特定して(明かして)いないという。世界最強とも言われる軍事力を持つ国家において特定できていないなんてことは筆者には到底考えられないのだが...。なぜ国民に発表しないのだろうか。市民の不安は続いていく。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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