ウクライナ軍のFPV神風ドローン、ロシア軍の戦車を破壊「ダビデVSゴリアテ。いつの時代も結果は同じ」
「時代は違いますが、結果は同じです」
2023年11月にウクライナ軍は公式SNSで、ウクライナ軍のFPV(ファースト・パーソン・ビュー)神風ドローンがロシア軍の戦車に突っ込んでいき破壊するショート動画を公開していた。そして「ダビデ VS ゴリアテ、ウクライナ軍のFPVドローン VS ロシア軍の戦車。時代は違いますが、結果は同じです」と投稿していた。
「ダビデとゴリアテ」は旧約聖書に登場し、美少年で小さなイスラエル人のダビデが、巨人で敵のペリシテ人のゴリアテに立ち向かっていき、ダビデが袋に石を入れてゴリアテに投げつけると、ゴリアテに命中して倒れて死亡し、それを見たペリシテ人は一目散に逃げていき、イスラエル人が戦いに勝つというストーリー。ミケランジェロの作品になったり、現在でもダビデがゴリアテを倒すシーンは映画やドラマなどになっており欧米ではよく報じられている。そのため日本人にとっての「桃太郎」のように、ほとんど誰もが知っているストーリーの1つである。
ウクライナ軍は自らのFPV神風ドローンを「ダビデ」に、ロシア軍の戦車を「ゴリアテ」に例えて、小型の安価なFPV神風ドローンが大型で高額な戦車に突っ込んでいき爆発させるシーンを紹介して、いつの時代でも結果は同じであると伝えていた。
▼自らのFPVドローンを「ダビデ」にロシア軍の戦車を「ゴリアテ」に例えるウクライナ軍の公式SNS
「ダビデ」神風ドローンでの攻撃はロシア軍も
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では監視・偵察目的で導入した民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の上空から落下させてダメージを与えている。小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいく、いわゆる神風ドローンによる攻撃もよく行われている。
FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。標的に突っ込んでいき爆発するシーンをFPVで撮影することも多い。実際にウクライナでは多くの安価な民生品ドローン、FPVドローンに爆弾を搭載して、ロシア軍の高額な戦車など軍事設備に爆弾を投下したり、突っ込んだりして破壊しておりコストパフォーマンスは高い。しかも戦車やミサイルと違ってドローンの操縦は簡単である。
ウクライナ軍は自らのFPV神風ドローンを「ダビデ」に、ロシア軍の戦車を「ゴリアテ」に例えていた。物語の中ではダビデにゴリアテは倒されてペリシテ人は退散していった。実際のウクライナ紛争ではFPV神風ドローンで攻撃をしかけているのはウクライナ軍だけでなく、ロシア軍も小型で安価なイラン製軍事ドローン「シャハド」やロシア製の攻撃ドローンなどでウクライナの大型で高額の軍事設備や民間インフラなどに攻撃を行っている。FPV神風ドローンはウクライナ軍だけの特別な兵器ではない。簡単に誰もが操縦できるドローンなので、ロシア軍も多く使用している。
▼ダビデ VS ゴリアテの映画やドラマの1シーン