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あのグレッグ・ノーマンが新コミッショナー!「PGAツアーVS新ツアー」の戦いが、ついに本格化!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

ついに「新勢力」が動きを本格化させる気配を見せ始めた。

世界一のプロゴルフツアーを展開するPGAツアーの向こうを張って、新たな世界的ツアーが莫大なサウジマネーによって創設されようとしていることは、ここ数年、たびたび報じられてきたが、それが本当に現実になるのかどうかは誰もが半信半疑だった。

しかし、10月27日、新たなツアー関係者は米メディア数名をニューヨークに集めて秘密会談を開いた。出席したメディアたちは、週明けまで会談の内容・詳細を口外しないよう口止めされているという。

この問題に常に批判的な意見を掲載してきた米ゴルフウィーク誌の記者は招待されなかったというところに、新ツアー側の強い意志や意図が滲み出ている。

とはいえ、密約はすでに破られた様子で、秘密会談が行なわれたことも、出席者が口止めされたことも、結局、すぐに露呈している。

そして、漏れ出した情報の中で最大の驚きは、新ツアーのコミッショナーに「シャーク」と呼ばれたゴルフ界のレジェンド、グレッグ・ノーマンが就任する予定であるということだった。

ノーマンには、1994年にワールドゴルフツアーなる新ツアー構想を自ら打ち出し、頓挫した過去がある。その想いをサウジマネーとともに実現させようとしているのなら、それはそれで納得がいくが、いつの間にノーマンが新ツアーとともに歩むようになったのかは不明だ。

新ツアー構想は、PGL(プレミア・ゴルフ・リーグ)、あるいはSGL(スーパー・ゴルフ・リーグ)などと呼ばれており、は年間18試合を開催予定。そのうちの10試合は米国が戦いの舞台になると言われている。

各試合とも1試合の賞金総額は10ミリオン(約11億円)という超高額。日本で開催されたZOZOチャンピオンシップと同等規模の高額大会が年間を通じて開催されることになる。

試合形式は個人戦とチーム戦の双方があり、個人戦は3日間大会で予選カットは行なわず、世界のトッププレーヤーばかり48人が腕を競い合う。チーム戦は4人1組、合計12組が世界一を競い合うという構想。2022年からの開始が予定されている。

きわめて具体的な上、米ツアーと日程的に重なり、ふんだんな「サウジ・マネー」が資金源と言われている高額賞金の魅力は米ツアーに勝るとも劣らない。

すでに米ツアーの人気選手たちに総額30~50ミリオンダラー(約32~54億円)の大金を積んで熱烈なオファーを送っており、その中には世界ナンバー1のダスティン・ジョンソンや話題が尽きないブライソン・デシャンボー、メジャーに強いブルックス・ケプカ、長年の人気を誇るアダム・スコットやリッキー・ファウラー、ジャスティン・ローズらが含まれている。

新ツアーとなれば、当然ながら歴史や伝統、実績はまったくない。だが、莫大な財力は持ち合わせているため、そこが既存ツアーであるPGAツアーにとって脅威となる可能性が高い。

すぐさま対抗策を講じ始めたPGAツアーは、「新ツアーに出たら、即刻、PGAツアーのメンバーシップを失うことになる」と強硬姿勢を取った。一方で、新たなボーナス制度を次々に創設するなどして、「マネーにはマネー」で張り合う姿勢を見せている。さらにPGAツアーは欧州ツアーと部分的な提携を結ぶなどして、体制固めにも努めている。

今後、新ツアーがどの程度のスピード感で動きを見せるのかは、まだ不明だが、最終的に選手たちが「PGAツアーか、新ツアーか」の二者択一を迫られるのだとすれば、それは難しい選択となり、ファンは複雑な気持ちで見守ることになる。

これは、プロゴルフツアー創設、運営というビジネス上の戦いだが、それがゴルフを愛する子どもたちやファンの夢を奪うことにだけは、なってほしくない。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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