【京都市左京区】今しか味わえない新漬け。大原で昭和20年から続く《志ば久》でしば漬けの漬け込み始まる
京都の三大漬物のひとつ「しば漬け」の産地である左京区の大原で、しば漬けの漬け込みが始まりました。
しば漬けには旬があり、7月〜8月にかけて、一年分をすべて漬け込みます。
この度、昭和20年創業の老舗「志ば久」に特別にお許しをいただいて、しば漬けの漬け込みを見学してきました。
早速、漬け込み工程が行われている漬け蔵に。
爽やかな紫蘇の香りで満たされています。
まずは、自家農園から刈り取られ、綺麗に洗った紫蘇を手で摘んでいきます。古くて色味の悪い葉は選別されますが、極力無駄なく漬け物に使えるよう、大切に扱われています。
そして、スライスされた茄子と紫蘇に塩をふり、混ぜ合わせます。これも手作業です。
どっさりとした紫蘇の量に驚きました!
「志ば久では、かなり贅沢に紫蘇を使っています。」と、四代目の久保さんは仰います。
これは自家栽培の強みなんですね。
混ぜ合わせた茄子と紫蘇が入った漬け樽に重石を乗せると、まるで蛇口を捻ったかのように、水分が抜け始めました。
茄子は水分が多い野菜だと分かっていましたが、こんなに勢いよく水分が抜けていくとは驚きました。
しばらくすると半分ほどにかさが減るので、二つの漬け樽の中身を一つにまとめ、熟成蔵で乳酸発酵をさせていきます。
こちらが熟成蔵です。
ここに一年分の漬け樽が並んでいくのです。
特別に、新漬けの樽出し直後のしば漬けを試食させていただきました。
まだ紫蘇の風味が強めに残り、ストレートな酸味を感じました!
樽出しする時期によって、味が全く異なるのも、しば漬けの奥深さだと知りました。
今回、取材に快く応じていただいた「志ば久」の久保統さんに、お話を伺いました。
漬物製造業の家に生まれた久保統さんですが、20代半ばまでは会社員をされていたそうです。
しかし次第に「モノづくりを通じて、何かを生み出し、遺すこと」に惹かれるようになり、退職されたのち今に繋がります。
「厳しくも豊かな自然と向き合いながら、モノづくりは楽しい」と語られた時の笑顔が印象的でした。
なぜ大原は、昔からしば漬けが盛んなのかをうかがいました。
「寒暖の差が激しい大原では、農作物が美味しく育ち、紫蘇にとっても適した気候です。また、盆地であるが故に、飛来してくる花粉も少なく、紫蘇の原品種を保ちやすいというのもあります。」
やはり美味しい紫蘇を作る事が、しば漬けには欠かす事のできない要素であると知りました。
「志ば久」のしば漬けは「志ば漬」と呼ばれています。
それはおもてなしの心と、古くからの伝統製法を守り、手造りにこだわって毎年漬け込みを行なうというこころざしから命名されています。
それを間近で感じる事ができました。
今の時期しか味わえない、新漬けのしば漬けは、もちろん店舗で購入できます。
旬の味を、是非お試しください。
《志ば久》
住所 京都府京都市左京区大原勝林院町58
TEL 075-744-4893
アクセス
地下鉄烏丸線 国際会館 下車
京都バス国際会館 → 大原 下車
→ 三千院参道徒歩7分
駐車…店舗駐車場あり