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サラリーマンの昼食時間の推移をさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 昼食時間やランチタイム。その長さに変化はあるのか。(写真:アフロ)

・サラリーマンの昼食時間は平均で21.6分。年齢階層別の差はあまり無い(2018年)。

・サラリーマンの昼食時間は大よそ2012年までは減少、2013年にやや増えた後は横ばい。20代はここ数年で再び減少しているようにも見える。

・昼食時間やランチタイムが10分以下の人は少なからずいる。2018年では13.7%。昼食を食べない人も約2%。

昼食時間・ランチタイムは短くなる傾向

一日の多くを職場で過ごすことになるサラリーマンにとって、数少ない憩いのひとときが、お昼休みの間に取る食事の時間こと昼食時間。それでは昼食時間は、昔も今もその長さに変化は無いのだろうか。新生銀行発表の「サラリーマンのお小遣い調査」(※)から確認する。

今調査において昼食時間の具体的値(平均値)を調査・公開した年は都合8回、1983年・1993年・2012年・2014年・2015年・2016年・2017年・2018年。加えて2013年は全体値のみが明らかにされている。また1983年は10分以下の選択肢、1993年は「食べない」の選択肢が無いなど多少条件が異なるものの、大勢を推し量ることはできる(見方を変えれば前世紀では「昼食無し」「10分以下で食べ終える」との状況は想定しにくかったものと考えられる)。さらに2016年以降は一部項目において昼食時間も含めたお昼の休憩時間を「ランチタイム」と定義し公開している(ランチタイム=昼食時間+昼食以外の自由時間)。

まずは年齢階層別の昼食時間の変遷。20代を除けば2012年ではすべて20分以下となっていた事実に、あらためて驚かされる。30年以上前の1983年と比べ、実に約40%も時間が短縮されている計算となる。また全体値のみでの動向だが、その2012年がもっとも短い値となり、以降は少し伸びた後、横ばいの気配を覚えさせる。ただし20代に限れば直近の2018年は、その一番短い値と同じ21.2分を計上しているのが気になるところ。

↑ サラリーマンの昼食時間(空欄は未調査・未公開、年齢階層別、分)
↑ サラリーマンの昼食時間(空欄は未調査・未公開、年齢階層別、分)

昼食時間の年齢階層別差異はあまり無い。中年層がやや長いようにも見られるが、誤差の範囲。

時代による変遷度合いは、どの年齢階層も大よそ2012年までは減少、2013年に戻した後、あとはほぼ横ばいで推移している(2013年は全体値のみの公開だったので、年齢階層別でどのような動きをしたかは分からないが)。ただし20代に限ると2015年を天井に、ほんのわずかずつだが時間が短くなっている動きを示しているようにも見える。

2012年に発表された報告書では「近年、サラリーマンは昼食も惜しんで働いているのでしょうか」との推測コメントがあった。それを裏付ける資料は無いものの、前世紀のような長い時間に戻っていない現状を見るに、あながち間違っていないものと思われる。あるいは昼休みの時間(ランチタイム。昼食時間も含めた昼間の休憩時間)において、昼食をできるだけ早めに済まし、男性ならばインターネット閲覧や休息、女性ならば同僚とのおしゃべりに費やす方向性にあるのかもしれない。

10分以内に昼食を食べ終える人の動向

「早食い」への動きを顕著に確認できるのが、回答項目の具体的区分による動向。次のグラフは回答項目のうち「食べない」「10分以下」の区分に計算をし直したもの。今項目は現時点では1993年・2012年と2015年以降の動向を精査可能だが、それらを比べると2012年は1993年と比べて10%ポイント強も「10分以下」の層が増えている、見方を変えると「それ以上(=11分以上かけて昼食を取る)」人が減ったのが分かる。

なお2016年以降は昼食の時間だけで無く、その他の余暇時間・自由時間も含めたランチタイム全体における時間区分の結果しか公開されていないため(グラフにもその値を反映している)、必然的に「10分以下」の回答値はこれまでと比べて短くなっている。ただし「食べない」はランチタイムがどれだけあろうと昼食時間がゼロには違いないため、そのまま過去の様式を踏襲した形。

↑ サラリーマンの昼食時間(短時間派の動向、出勤日、2016年以降は昼食時間に加えて休憩時間も加えたランチタイムの動向)
↑ サラリーマンの昼食時間(短時間派の動向、出勤日、2016年以降は昼食時間に加えて休憩時間も加えたランチタイムの動向)

1993年回答時には「食べない」項目が設定に無かったのも一因だが、それを差し引いても1993年から2012年にかけて、明らかに「早食い」派が増加していた。2012年当時の白書では「ランチのお店の選び方も味やお店のきれいさよりも、安くて近いところを好む傾向がある」「ランチタイムはせわしくなっている」との説明がある。

他方2015年では「10分以下」、つまり早食いの割合は50代以外のすべての層で減っており、時間にある程度余裕ができてきたことがうかがえる。ただし「食べない」の回答率は増加しており、10分を超えた食事時間を取っている人の割合は逆に減る現象が起きている。この「食べない」が健康的な理由によるものか、多忙ゆえの問題か、それとも金銭面での事情かまでは判断できないものの、昼食時間の長短以外の点でも気になる話ではある。

2016年以降は上記説明の通り、昼食時間では無くランチタイムの動向のため、2015年と比べて10分以下の回答値が少なくなっているのも当然の話。とはいえ、昼食を取らない人が数%おり、さらに昼食時間も含めたお昼の休憩時間が10分以下しかない人が1割前後いることは、個人的・健康的な事情によるもののみの数字とは考えにくい。直近の2018年では前年比で全年齢階層において10分以下の回答率が増加しているのも併せ、早食いが増えていると考えられる状況に違いは無い。

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※サラリーマンのお小遣い調査

直近年分となる2018年分は2018年4月12日から16日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2713人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性791人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.0対60.0、女性は59.9対40.1。パート・アルバイトに属する人達は、男性412人、女性258人。年齢階層比は男女ともに10歳区切りでほぼ均等割り当て。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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