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堀井新太、共演者が魅了される“バカ”がつくほどの正直さ

中西正男芸能記者
話題のドラマで活躍中の堀井新太

NHK連続テレビ小説「マッサン」で森野一馬役を演じ、大河ドラマ「花燃ゆ」では騎兵隊の中原復亮を熱演するなど、話題作に立て続けに出演している俳優・堀井新太(ほりい・あらた)さん(23)。17日スタートのTBS系ドラマ「表参道高校合唱部!」(金曜・後10時)では合唱にもチャレンジしていますが、もともとは野球でならしたバリバリの体育会系でした。小池栄子さん、荒川良々さんらのハートをわしづかみにする素直さが“武器”ともなっていますが、「いや、自分はバカなんで、ウソがつけないだけなんです」と屈託のない笑顔で話します。

何と言っても、私の弟なんだから…

注目作品に出演させていただくのは、もちろん、ありがたいこと。でも、僕はどのお仕事でも、全力投球するしかないですからね。だから、どの作品でも向かい合い方はすべて同じ。ただ、たくさんの方が関わっている作品に出してもらって、特にありがたいと思うのは、いろいろな先輩方にお会いできることですね。そして、皆さんに、本当に、本当に、これでもかと可愛がってもらっていること。それが、ただただありがたいです。

最近で言いますと、まず小池栄子さん。「マッサン」で、小池さんの弟役が僕だったんですけど、上っ面の話じゃなく、心底、可愛がってもらいました。

初めての朝ドラで、まず皆さんと仲良くならないといけないと思ったんです。なので、収録の合間に皆さんがしゃべっている休憩所で、まずは話をしようと。ちょうど、風間杜夫さんが映画監督の話をされているところだったんですけど、そこに僕が入っていって「そうですよね、今、そういう監督っていないですもんね…」と(苦笑)。

…今から考えると、本当にすみません。悪気は全然なかったんですけど、周りから見たら「いきなり来て、キミは誰目線でしゃべっているんだ?」となりますよね…。そこにいらした皆さん、ポカンとしたり、ドキッとしたり…。その休憩所での出来事の後、栄子さんがこちらに来てくれたんです。

「キミは何年やってんの?風間さんは何年やってる?これって、みんなが思うことでしょ。先輩に対して、きちんとしなきゃいけない。なぜこんなことを言うのか分かる?それは、キミが皆さんに可愛がってもらってほしいから。何と言っても、私の弟なんだから」と言ってくださったんです。

別に、それを僕に言わなくても栄子さんは何も困らない。むしろ、使わなくてもいい力を使う。それなのに、僕にすごく心を込めて言ってくださったんです。

また、栄子さんの普段からの振る舞いを見ていると、気遣いがすごい。見学に来られた一般の方へのあいさつもすごく朗らかで丁寧だし、撮影が続いてスタッフさんが疲れていたら、さりげなく「これ、おすすめのイチゴなんです」と差し入れをされていたり。たくさん、勉強させてもらいました。

事務所の先輩からも!

今回の「表参道…」のドラマでは、同じ事務所の城田優さんとご一緒しています。合唱部を舞台にした作品なので、クランクイン1ヵ月ほど前からみっちりと歌の練習もしてきたんですけど、合唱って、本当に難しいんです。まず声を安定して出すだけでも難しいし、それをみんなで合わせるとなると、さらに何倍も難しくなる。そこで城田さんが言ってくださったんです。

「まず技術云々の前に、聞いていて楽しくない。気持ちも乗ってこない。役者が歌うんだから、歌詞の意味に思いを巡らせて、どう聞いてもらいたいのかを考えないといけない。それが固まった時に、自分だけのオリジナルソングができるはずだ」。

ミュージカルであれだけ活躍してらっしゃる城田さんの言葉だけに、とても重みがありました。直接的なヒントというか答えというか、それをズバッと教わることはなかなかないことですし、本当にありがたいことだなと。今回、城田さんは合唱部顧問の先生役なんですけど、リアルに先生としてアドバイスをいただきました(笑)。

野球部の経験が役立っている

ドラマでは合唱部ですけど、何かしら、クラブ活動で頑張るということは性に合っているのかもしれないですね。というのも、中学、高校は軟式野球部で、高校の時には都大会で準優勝もできました。

もちろん練習はきつかったですけど、うちの野球部で常に言われていたのが“心技体”に“生(せい)”を加えた4つを鍛えろということだったんです。“心技体”はいわずもがなですけど“生”というのは生活の生。グラウンドに来た時からきちんとバッグを並べるとか、打球音が鳴ったりする中、朝早くから夜遅くまで練習をさせてもらっているのだから、せめて地域の清掃をさせてもらうだとか、誰にでもしっかりとあいさつをするだとか…。当たり前のことなんですけど、生きていく上で大切な心構えみたいなものを学ばせてもらいました。そこでガムシャラにやってきたことが、今の俳優というグラウンドでも役に立っているとしたら、こんなにうれしいことはないですけどね。

その姿勢が先輩から可愛がられることにつながっている?いや、それは自分では分からないですけど、よく言っていただくのは「それだけ、いろいろな人に可愛がってもらって、お前、いいよなぁ」とは言われます。

現場で荒川良々さんと一緒になった時にも、僕が「俺、取り柄が何もないんです…」とポツリと言ったら、すぐさま「いや、なくないよ!!聞いたけど『マッサン』の現場でも可愛がられてたんでしょ。それ聞いたら、俺も、うらやましいもん。それにさ、俺も、キミのこと可愛いと思うもの。…あ、いや、ヘンな意味じゃなく…」と(笑)。

ウソだけはつきたくない

自分では素直に、全力でやっているだけなんですけど、周りの方が「ホント、バカだよなぁ(笑)」と言いながら、すごく目をかけてくださるというか…。本当に、本当に、こんなにありがたいことはないと思います。

恥ずかしながら、自分でもバカだということは分かってます(笑)。ものを知らないですし、スコンと抜けちゃうところもあるし。これからは先輩方に「ちょっとは分かるようになったじゃないか」という方向ででも、存在を意識してもらえるように頑張らなきゃなと思っています。少しずつでも、成長していって。ただ、これからも変わらず、ウソだけはつかずにいこうと思っています。

■堀井新太(ほりい・あらた)

1992年6月26日生まれ。東京都出身。2010年、ワタナベエンターテイメントの俳優集団「D-BOYS」のオーディションで、約3万人の中からグランプリを獲得。高校時代は軟式野球部で、都大会準優勝。7月スタートのTBS系ドラマ「表参道高校合唱部!」は転校生(芳根京子)が廃部寸前の合唱部を立て直していく物語。堀井は甲子園出場を目指す高校球児・桜庭大輔役を演じている。身長176センチ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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