何年でテレビは買い替えされるのだろう?
カラーテレビの買い替え年数は約9年!?
インターネット機能なども備えたスマートテレビも普及しつつあるが、テレビは今なお一方向メディアの代表的な家電である。そして幼少児や中堅層以降、中でもシニア層にとって欠かすことの出来ない情報取得メディアであり、最大の娯楽機器にも違いない。そのテレビにおいてここ数年、地デジ放送への切り替え(2011年7月)と消費税率改定(2014年4月)という、買い替えを促進する2つの大きな事象が発生している。そこでそれら事象の影響も合わせ、カラーテレビの買い替えが何年程度で行われているのか、内閣府の消費動向調査を基に確認していく。
消費動向調査において世帯区分は「単身世帯」と「一般世帯(二人以上世帯)」、そして双方を合算した「総世帯」の3つが用意されている。まずは長期時期系列値が取得可能な「一般世帯」について、買い替え年数推移を長期期間の範囲でグラフ化する。
中期的な動向ではテレビの買い替え年数は、9年前後で安定。しかしこの数年は毎年少しずつ、確実に年数が短縮されている。2011年7月の地デジ化に伴い、チューナーで地デジ対応化したテレビを使っていても、故障などで「安くなっていることもあるし、この際修理をせずに対応機種に買い替えよう」とする動きが起きた結果。
そして2014年では取得可能なデータ中ではもっとも短い6.3年という値を示している。これは一つに地デジ化による移行の名残、そして主要因として2014年4月からの消費税率改定に伴い、それに先駆けて駆け込み的に、従来の買い替え期間よりも前倒しでテレビを新規調達した、いわゆる「駆け込み需要」によるもの。家電商品の多くはこの「駆け込み需要」の影響で買い替え年数の短縮現象が発生しているが、ここまで明確な値を示したものは今件カラーテレビぐらい。
これを2008年以降調査を開始した「単身世帯」の動向と重ね、グラフ化したのが次の図。
2010年にややイレギュラーな動きがあり、それまでの「一般世帯」>>「単身世帯」との流れが消え、それ以降は双方世帯でほぼ同じ値を示している。地デジ化におけるテレビ買い替えへの圧力は、世帯構成で違いを見せなかったようだ。また「地デジ化に伴うテレビ買い替え年数の短縮化」そして「消費税率改定に伴う駆け込み需要による短縮化」は、世帯構成によらずに起きているのも分かる。
買い替えをした人の、その理由
カラーテレビを買い替えした人に、その「買い替え理由」を「一般世帯」「単身世帯」それぞれ別途に算出したグラフは次の通り。いくつかの年で特殊事情による変移が確認でき、興味深い。
双方世帯とも「その他」項目の増加のピークは2012年(3月)。これは回答時の該当期日である2011年4月~2012年3月の間に、2011年7月の地デジ切り替えに伴い対応型のテレビへと買い替える人が、大量に現れたことを意味する。翌年の2013年(対象期間は2012年4月~2013年3月)では、地デジ化ラッシュも過ぎ、従来の比率に戻る動きを見せた。しかし2014年では2014年4月からの消費税率改定に伴う駆け込み需要が発生し、回答中「その他」の回答率が単身世帯では増加する結果となっている。
地デジ化、そして消費税率引上げ。数年で2度にも渡る特需要素を受け、大きく変化したこの数年に渡るテレビ買い替え状況。直近5年間に限れば、平均買い替え年数は8.4年となり、統計データが取得可能な全期間(18年間)の平均値9.2年と比べて1年近い短縮を示している。当然、前倒し的、先取り的なテレビ買い替えの需要拡大は、その後の需要縮小につながることとなる。
地デジ化に伴うテレビ買い替えの促進による反動は、薄型テレビの出荷動向を見る限り(「薄型テレビ出荷動向最新データ」)、ようやく終えんを迎えたように見える。消費税率改定の反動もそれなりに大きなものがあるが、地デジ化の時のような長期間化は無いものと考えられる。すでに地デジ化の際に、相応の数が買い替えられていたからだ。
来年以降は大きな買い替え要因となるイベントも無い。2015年は小さからぬ買い替え年数の反動、伸長化が見られるに違いない。
■関連記事: