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新入学応援のために わたしたちができること

赤石千衣子しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 

そろそろ入学準備の季節となってきた。

スーパーなどで色とりどりのランドセルが売られている。

子どもたちが成長し、新たなステージで勉強をすることになる…親にとっても晴れがましいことだ。

だが、そういう気持ちと同時に、多くの親たちが入学準備費用を工面することに追われている。

 

高校生の入学準備は20万円~30万円

先日のしんぐるまざあず・ふぉーらむのご相談では、小学校の入学説明会に行ったところ、入学後に5万円はかかるので用意しておいてくれと言われたという人がいた。

ランドセルはもう買ってあるが、これからは、プログラミングなどを教えるのでipadを全員に用意してほしいと言われたそうだ。

義務教育でなぜ?と思う気持ちは分かる。

中学になるともっと大変だ。子どもは大きくなり、制服代、体操着、上履き、カバン、学校で使う教材などがかかり、10万円~15万円ほどかかる。

高校に入学するときはさらに大変で、制服、体操着、上履きなどのほかに、教科書代(義務教育ではなくなるから)、通学交通費、通学用自転車などがかかり、特別のコースであれば、その実習服などもかかり、20万円~30万円かかっている。

しかも、小学校中学校に入学するときには就学援助の中で入学準備金があり、最近は過半数の自治体で、入学前の前倒し支給を実施するようになってきた。ありがたい。(ただ、生活が苦しくても、就学援助を知らない世帯もあるので、告知を十分にし、申込みのハードルを下げるなどの取組みが必要だ)。

貯蓄ゼロも多いひとり親家庭

貯蓄が十分にあるご家庭であれば、それほど困らないのかもしれない。

しかし、子育て中の家庭は、特にひとり親家庭はそういうわけにはいかない。全国ひとり親世帯等調査によると、貯蓄が50万円以下の家庭は、40%くらいにも上る。たぶん、この多くは貯蓄がゼロ、あるいは、残念だけど借金のある家庭であろう。

平均年間就労収入が200万円の家庭で、20万円、30万円の費用を捻出するのは本当に大変なことなのだ。

しんぐるまざあず・ふぉーらむは入学お祝い金事業を行っている。

これは小学校、中学校、高校、大学等に進学する子どもたちへ、入学おめでとう!の気持ちを込めて、入学お祝い金を3万円送るというとりくみである。(今年から高校には4万円とする)。

昨年は351人のお子さんに送った。

今年は500人を目標に現在寄付を集めている。

入学お祝い金をお渡しして

 先日、入学お祝金を3年前に受け取ってくれた女の子の母と再会した。

 お母さんが病気で働けない時期が長く、当時は食べるものにも困るほど困窮しておられた。中学入学の準備をどうしたらいいのかと悩んでいた時期に出会い、この入学お祝金を申し込んでいただき、制服その他を準備し無事にお子さんは中学に入学したのだ。

 「奇跡のようだ」と母は言った。

 その後も折に触れて、食品支援の品物を送りながら、ほんの少しずつ支えてきた親子である。いやいや、ほんとうにしっかりした母と子なのだ。

 地方都市に住む彼女に、2年ぶりにお会いした。お子さんは、負けず嫌いなのか、成績がよい子らしく塾に行かなくても地域ではナンバー1かその次の学校の受験を準備しているという。びっくりした。

 お母さんも前より元気になっていてうれしかった。

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 お子さんは将来は助産師さんか看護師になりたいのだという。

 もしも、あの入学お祝金がなかたら、この親子はどうされていたのだろう。

 お母さんもほんとうにがんばっている。大病と暑い夏をのりきって、母は少し具合がよくなり働けるようになった。

 でも今度は高校の受験があるのだ。半端ないお金がかかる。制服もある。交通費もかかる。教科書代もある。

すべての子どもたちにおめでとうを

 新入学お祝い金は、入学するすべての子どもたちに「おめでとう」と言いたいということでつくった。

 そして、3万円あるいは4万円をお渡しすることで、「この世の中は捨てたものじゃない」「わたしたちを見ている人もいるんだ」「わたしももう少しがんばろう」と思って元気になる効果もある。

 そして、この時期、子どもたちに必ず使うお金でもある。

 あなたのお子さんたちは今何歳だろう。

 もう子どもは大きくなったという方も、そしてまだ小さいという方も、あなたのお子さんだけでなく、すべての子どもたちにおめでとうを言うためにご寄付にご協力ください。

 

 【入学お祝い金のためのご寄付のお願い】https://www.single-mama.com/introduce/kampa-onegai/

しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長。当事者としてシングルマザーと子どもたちが生き生きくらせる社会をめざして活動中。社会保障審議会児童部会ひとり親家庭の支援の在り方専門委員会参考人。社会福祉士。国家資格キャリアコンサルタント。東京都ひとり親家庭の自立支援計画策定委員。全国の講演多数。著書に『ひとり親家庭』(岩波新書)、共著に『災害支援に女性の視点を』、編著に『母子家庭にカンパイ!』(現代書館)、『シングルマザー365日サポートブック』ほかがある。

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