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44歳。一橋大学卒。元ひきこもり。20代のほぼすべてが黒歴史です~おみおじリポート169~

大宮冬洋フリーライター
30歳からは「安アパート」で一人暮らし。元気になり婚活を始めました。(本人提供)

大学で友だちができず、就職活動にも失敗し、留年。アルバイトも辞めてしまい……

※2024年4月18日追記。本田さんは半年間の受けオネット期間を終了し、自動退会日を迎えました。残念ながら結婚につながるような出会いはオネットではご紹介できませんでしたが、彼の幸せを祈りつつ見送りたいと思います。

 こんにちは。大宮です。自分の周囲にいる独身男女の婚活を前のめりで支援する「お見合いおじさん活動(略称:おみおじ)」を婚活パーソナルトレーナーのマチコ先生と一緒に推進しています。僕の読者(この記事を読んでいるあなたも該当します)で「そろそろ結婚したい」という人をオネット(大宮ネットワーク)にお迎えし、良縁を結ぶことをお手伝い中です。本連載ではその活動の一端をレポートしています。オネット会員の種類(受けor攻め)と募集についてはこちらをご覧ください。

 僕は哀愁があるけれど自立している人に心惹かれます。挫折やコンプレックスを自分なりに克服して前を向いている姿に人間としての共感を覚えるからかもしれません。都内で生まれ育ち、都立の進学校ではサッカーに打ち込んでいたという本田裕之さん(仮名、44歳)もそんな一人です。彼には大学に進学したあたりから長い内省の期間に入った過去があります。

「浪人して合格した一橋大学は第一志望だったものの、サークルなどには入りませんでした。いろんなことから解放されたかったのかもしれません。好きな小説などを読んで過ごせたのは良かったのですが、大学で友だちができず、就職活動にも失敗し、留年もしました。ようやく卒業してからアルバイトをしたものの合わずに辞めてしまい、実家にひきこもりがちになってしまいました」

 30歳頃に知人に背中を押してもらって実家を出て、「安アパート」で一人暮らしを始めたという本田さん。都内の勤務先に通勤している今は心身ともに元気になり、毎週末に8キロほどランニングをして体を鍛えているそうです。

ランニングコースにて。「土日のどちらかは家事をして過ごし、もう1日は体を動かすようにしています」(本人提供)
ランニングコースにて。「土日のどちらかは家事をして過ごし、もう1日は体を動かすようにしています」(本人提供)

ひきこもっていた頃は返事すらできなかった。でも、声をかけてもらった

「実家から物理的な距離を置いたのが功を奏して親との仲は以前よりも良好です。高校時代のサッカー部の仲間とは今でも付き合いがありますし、年に1、2回は会う幼稚園時代からの幼馴染もいます。ひきこもっていた頃は返事すらできないこともあった自分が声をかけてもらえるのは本当にありがたいことだなと感じているところです」

 大人は基本的には自分で自分を律しなければなりません。でも、周囲の人の温かい目線があると、律するためのエネルギーと良い意味でのプレッシャーをもらえる気がします。今の本田さんはそのことを強く実感しています。

「体を動かす習慣がついたのは今の勤め先に半ば強制されたおかげです。運動するなんて20年以上ぶりだったので最初は500メートルも走れませんでした。少しずつ距離を伸ばして、今は走って汗をかくことが気持ち良く感じるようになっています」

 鍛えたおかげで身長172センチ・体重54キロという細身をキープ。運動だけでなく、日光を浴びることも本田さんの心身を健康にしているはずです。

ある日の晩酌。マグロのカマの煮付、チクワの大根詰め、茹でトウモロコシだそうです。「週に2日は休肝日を設けるようにしています」(本人提供)
ある日の晩酌。マグロのカマの煮付、チクワの大根詰め、茹でトウモロコシだそうです。「週に2日は休肝日を設けるようにしています」(本人提供)

40代になって残りの人生を意識。このまま一人で老いて死ぬことに寂しさを感じた

 好きな酒場に週1ペースで通っているけれど、家事は苦ではないという本田さん。ウーロンハイなどに合う料理をいろいろ作って楽しんでいます。一人の生活が充実すると、そのささやかな喜びを共有できるパートナーが欲しくなってくるのは自然な流れですね。

「ひきこもっていたことがある私が結婚できるはずはないと思い込んでいました。でも、40代になって残りの人生を意識するようになり、このまま一人で老いて死ぬことに不安と寂しさを感じています。日常の楽しさを分かち合えるような相手が欲しい、話し相手が欲しいという焦りのような気持ちが高まりました。人が変わるのは難しいことですが、私は変わりたいし成長したいと常に思っています」

 婚活は初めてだという本田さん。身だしなみは整っていて、緊張気味だけど礼儀正しさも伝わってきます。今の時点で特にアドバイスはないというマチコ先生ですが、本田さんの人柄をより知るために「友だちの中ではどんなキャラクターなのか」を質問しました。

「実はしゃべり好きなので、ワーッとしゃべり過ぎないように自重しているつもりです。友だちと一緒にいるときも、話の流れに乗るようにして話すタイプです。それが習慣のようになってしまい、初対面の人とは相手の話を聞いているだけで時間が終わることも少なくありません」

 この回答にマチコ先生は爆笑。本田さんの独特な哀愁がツボにはまったようです。マチコ先生のような明るい女性に合っている男性なのかもしれません。

都内の酒場にて。メガネ店で働いていたとき、先輩スタッフから「お前はメガネが似合わない」と言われました(笑)。現在の事務職よりも販売職のほうが向いていると感じ、転職を考えているそうです。(本人提供)
都内の酒場にて。メガネ店で働いていたとき、先輩スタッフから「お前はメガネが似合わない」と言われました(笑)。現在の事務職よりも販売職のほうが向いていると感じ、転職を考えているそうです。(本人提供)

自分が持っていないような感性の人と、気を遣いすぎない関係を築きたい

 働くことは嫌いではないという本田さんですが、これといったキャリアはありません。マチコ先生は「男気もあるキャリアウーマンタイプ」と助け合うような結婚をおすすめしました。

「婚活の場には、男性に経済的な頼りがいを期待する女性が少なくありません。本田さんの場合、そういう人とは話は弾んだとしても最終的にはうまくいかないかもしれません」

 言われるまでもなく、本田さんは対等な関係でいられる女性との結婚を望んでいるそうです。仕事が忙しい相手であれば、自分が家事を多めに担うことで「対等」でいられますよね。子どもは好きだけれど、自分の子どもを持つことは必須ではなく、年上のシングルマザーとの縁談も「相手がよければぜひ」とのこと。

「自分が持っていないような感性の人から気づきをもらいつつ、気を遣いすぎない関係を築けたらいいなと思っています」

 20代は真っ暗だったという本田さん。30代で光が差し始め、40代になって穏やかな明るさの中にいます。人生の後半戦を一緒に楽しめるような女性とのご縁を探してあげたいと思いました。

酒や酒場に関する読み物が好きだという本田さん。「以前は女性のファッション誌もよく読んでいて、リニューアル前の『GINZA』のファンでした」(本人提供)
酒や酒場に関する読み物が好きだという本田さん。「以前は女性のファッション誌もよく読んでいて、リニューアル前の『GINZA』のファンでした」(本人提供)

※文中の受けオネット会員は仮名です。本田裕之さんの詳細プロフィールやマチコ先生と大宮による超実践的婚活アドバイス(ヤフーの有料記事です)を読みたい方(=攻めオネット会員になりたい方)はこちらをご覧ください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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