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【泉佐野市】前代未聞?! 100年の時を超え地元で愛された『銭湯』が『シアタールーム』に!近日開業

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

1995年の阪神淡路大震災によって湯を供給できなくなったことをきっかけに閉業した「朝日湯」(泉佐野市元町)。

この銭湯について多くの情報はないけれど、おそらく明治末頃からあったのではないかという話も。

昨年11月、同市 文化財保護課のオフィスが旧朝日湯内(男湯側)に移転したという話題は記憶に新しいと思いますが、女湯スペースも100年の時を超え、新たな息吹が吹き込まれようとしています。

スポット名は「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」

COZY”とは、「居心地の良さ」を意味する言葉で、その昔「朝日湯」が、地域住民たちの疲れを癒す空間として親しまれていたことから、「訪れた人に心身の疲れを癒してほしい」「心を落ち着かせる空間として利用していただきたい」そんなコンセプトのもと、3つのレンタルスペースを展開。地元で愛された歴史ある『銭湯』がどのように生まれ変わったのか、 12月8日(金)オープンを控えた「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」に一足早く訪れた様子をご紹介します。

旧「朝日湯」の正面に立ち、近代和風建築を思わせる建物を見つめていると、親しまれていた時代に吸い込まれそうになります。この場所は、かつて「さの町場」として栄えたエリア。どれほどの人が、疲れを癒しにこの入り口を行き来したのでしょう。懐かしさや、奥ゆかしさ、荘厳な美しさも感じ、遺してくれたことに感謝の想いがあふれます。

早速、中に入ってみましょう。

向かって右手(男湯)が、「文化財保護課」のオフィス、左手(女湯)が「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」の入り口です。

*「男湯」=旧男湯、「女湯」=旧女湯

見てください、この素敵なプレートを! こういう一つ一つのアイテムが可愛いのも昔ながらの銭湯の魅力ですよね。今、時代は空前の「レトロブーム」ですが、ここはレトロもレトロ、正真正銘の「ガチレトロ」です。ちなみに男湯側のプレートはこんな感じ。

黄色もシブい
黄色もシブい

掲示物や靴箱などもおそらく当時のまま。“レトロ好き”なわたしは、いちいちグッときてしまい、なかなか前に進めません。ここで靴を脱いで入ります。

素敵すぎます! この空間、最高…。 

単にレトロなだけでなく、モダンな雰囲気もあります。ここは、当時「脱衣室」だった場所ですね。おそらく家具以外は、元の姿のままなのではないでしょうか。ほんわりと辺りを照らす灯りすらも当時を物語っているかのようです。

「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」には、「ワーキングルーム」「シェアスペース」「アミューズスペース(シアタールーム)」の3つのスペースがあり、各スペースを時間制で借りることができます。

こちらは「シェアスペース」。打ち合わせや商談、もちろん女子会にも◎。

写真撮影にもいいなぁと感じました(間違いなく映えます!)。

すべてのスペースは「食べもの」「飲みもの」「お酒」の持ち込みがOKなので、アイデア次第でいろんな『集まり』を企画できそうです。

ナンバリングされた鍵付きの木のロッカー、めちゃくちゃ可愛くないですか?

グリーンのソファも良い感じです。

木のロッカーは、荷物を入れるだけならOKとのこと(鍵を閉めるのはNG)。

一つ一つのアイテムは “国宝級レベル” といっても過言ではないほど貴重なもの。何一つ欠けることなく後世に受け継いでいきたいですね。

そして、こちらはハイスペックPCが3台設置された「ワークスペース」

銭湯の前室の面影がのこるスペースは、一般的な “シェアオフィス” と違ってどこかほっこりとした雰囲気。この写真から“湯上りのせっけんの香り”を感じるのはわたしだけでしょうか。ですが、設備は本格的。「eスポーツ」さながらの椅子やWi-Fi完備もうれしい。

今はまだ準備中とのことですが、ゆくゆくは「個室スペース」もできる予定なのだとか。

「個室スペース」 (ただいま準備中)
「個室スペース」 (ただいま準備中)

消えかけた「女湯」の文字、お客様への注意事項などが書かれた「掲示物」、今はもうほとんど見かけることのない「番台」など、昭和世代の方にはおそらく懐かしく、若者には「オシャレ」「かっこいい」と感じてもらえそうな魅力が満載です。

“古き良き時代のガラス”にも注目
“古き良き時代のガラス”にも注目

「お客様え」…「へ」を使うと「屁」を連想させるため、お客様に失礼にあたると江戸時代より「江(え)」が使われるようになったという説も
「お客様え」…「へ」を使うと「屁」を連想させるため、お客様に失礼にあたると江戸時代より「江(え)」が使われるようになったという説も

年季の入った「番台」のカッコよさよ…。子どもたちにも見せてあげたい
年季の入った「番台」のカッコよさよ…。子どもたちにも見せてあげたい

そして注目の「アミューズスペース(シアタールーム)」がこちら。

おー! ちょっとびっくりしませんか? ここ、元『銭湯』ですよ?

ほら
ほら

ほら(笑)
ほら(笑)

湯船はこんなことになっています。

びっしりとマットが敷き詰められ、自由に使える「ヨギボー」も。

よくこんなピッタリなマットを見つけたものだと感心します(特注かも)。なんと、ここで寝転がりながら、なんなら“おやつ”や“ごはん”を食べながら「映画鑑賞」や「動画視聴」ができるのです。この斬新でユニークな着想に、「さすが関西やなぁ」とまたまた感心。全国的にもこんな「シアタールーム」は珍しいのではないかな?

追い「ヨギボー」も!!
追い「ヨギボー」も!!

アールデコ様式を感じさせる浴室には、今はあまり見ることのできない魅力的な装飾もたくさん施されています。

ライオン…
ライオン…

水牛?!
水牛?!

こんな鏡、映画「テルマエ・ロマエ」でしか見たことないわ…
こんな鏡、映画「テルマエ・ロマエ」でしか見たことないわ…

ヴォールト天井も素敵!
ヴォールト天井も素敵!

壁際に合わせて7脚の椅子と、左手前にもソファや椅子が備えられていて、前代未聞の『(元)銭湯でパーティー』も叶いそうです。すべてのスペースは「冷暖房完備」なので、冬でも「浴室」っぽいぬくもりを体感できますよ。

高性能プロジェクターで映し出される映像(150インチ相当)は圧巻の迫力。両脇には大型スピーカーも備わり 契約中の動画配信サービスを利用して好きな「映画」や「動画」を臨場感あふれる映像とサウンドでお楽しみいただけます

スマホでテレビを観ることができる環境にある方は「テレビ視聴」も可能とのこと。

照明を落とすと広々とした空間に巨大な映像がぽっかりと浮かび上がり、“非日常感” もマックスに。

当時の人々の “日常” の中にあった『銭湯』が、100年の時を超え “非日常” を楽しむ空間として生まれ変わりました。

「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」の利用料金はこちら。

「ワークスペース(PC①~③)」 月曜~日曜・祝日 10:00~18:00
1100円(税込) / 3時間

「シェアスペース」 月曜~日曜・祝日
10:00~18:00
5500円(税込) / 6時間

「アミューズスペース(シアタールーム)」
月曜~金曜
・ロングタイム(ブランチ・6時間) 9:00~15:00
/ 5500円(税込)
・アーリータイム(午前・3時間) 10:00~13:00
/ 3300円(税込)
・ブランチタイム(午後・3時間) 14:00~17:00
/ 3300円(税込)
・ロングタイム(イブニング・6時間) 16:00~22:00
/ 5500円(税込)
・ナイトタイム(夕方・3時間) 18:00~21:00
/ 3300円(税込)

土曜・日曜・祝日
・ロングタイム(ブランチ・6時間) 9:00~15:00
/ 6820円(税込)
・アーリータイム(午前・3時間) 10:00~13:00
/ 3960円(税込)
・ブランチタイム(午後・3時間) 14:00~17:00
/ 3960円(税込)
・ロングタイム(イブニング・6時間) 16:00~22:00
/ 6820円(税込)
・ナイトタイム(夕方・3時間) 18:00~21:00
/ 3960円(税込)

*機材(高性能プロジェクター)を使用する場合は、上記金額にプラス2200円(税込)必要
*予約受付締め切り ご利用日5日前の18時まで
*キャンセル締め切り ご利用日8日前の20時まで
*7日前~当日 のキャンセルは、予約代金の100%をいただきます。

たとえば、仲良し6人グループで日曜日に「映画鑑賞」をする場合の一人あたりの利用料金は…

例.「アミューズスペース(シアタールーム)」のロングタイム(ブランチ・6時間) 9:00~15:00

6820円(税込)+機材(高性能プロジェクター)利用料金2200円(税込)=9020円(税込)

9020円(税込)÷6人=1503円(税込)*小数点以下切り捨て

一人あたり1503円(税込)ですよ!

日曜日に少し早起きして「アミューズスペース(シアタールーム)」のアーリータイム(午前・3時間) 10:00~13:00 を利用すれば… 

3960円(税込) +機材(高性能プロジェクター)利用料金2200円(税込)=6160円(税込)

6160円(税込)÷6人=1026円(税込)*小数点以下切り捨て

一人あたり 1026円(税込)です!

もちろん、写真でお伝えした通り、6人どころか10人以上でも利用できるほどの広々空間ですから、ちょっと贅沢にごちそうを持ち込んでも低予算で楽しめそう。

活用アイデアは様々で、先日開催された「リノベーション実践塾」(遊休不動産活用のワークショップ)では、プレゼンに利用。ほかにも、東京の大学生がローカルインターンシップ(泉佐野市)の地域商品企画の発表会に活用するなど、企業のみなさんや学生さんも有意義な時間を過ごされたようです。

無限のポテンシャルを秘めた「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」。「こんなことできるの?」などのお問い合わせ、その他詳細は、「一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの」(072-477-7365) まで。

ご予約は、「一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの」公式ホームページ(外部リンク)「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」予約サイトor 公式インスタグラム(外部リンク)のプロフィール欄にある「lit.link/vrsano」にて受付中。

12月23日のクリスマスイブは、既に予約済みとのことですので(時間帯によっては空きがあるかも?) 年内に利用を検討される方は急いでくださいね。ところで、「男湯」もどんな感じになっているのか気になりませんか?

もちろん「男湯」側は「文化財保護課」のみなさんがお仕事をされている場所なので、遊びや観光目的で訪れるのはNGです。

ですが、素敵な “壁画” があると聞いて、今回は特別に撮影させていただきました。

わ、すごっ!

銭湯といえば、壁いっぱいに描かれた「富士山」をイメージしますが、やはりここは“泉佐野”。市のイメージキャラクター「イヌナキン」「関西国際空港」「泉州の水茄子」などのイラストで「銭湯らしさ」「泉佐野らしさ」の両方を表現しています。

イラストを手掛けたのは、アーティストの加藤 文子さん。泉佐野駅前にある複合施設 “つむぎや” (一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの 運営)のウォールアートも加藤さんの作品だそうですよ。

家にお風呂がないのが当たり前の時代、人々は『銭湯』を利用して一日の疲れを癒していました。時代は流れ、様々な要因でその存在すらも消えていく『銭湯』が多い中、できる限り元の姿のままで、目的は違うけれど「人々を癒す場所」として生まれ変わった「朝日湯」に感動しました。歴史ある建物をどう維持し、後世に残すのか、このことを真剣に考えるオトナたちは、本当にかっこいい。

実は、今回取材するにあたって、「銭湯×シアタールーム」でいろいろ調べてみたのですが、比較的新しい温泉施設にシアタールームが併設されているところはあるものの、100年以上もの歴史ある『銭湯』がシアタールームに生まれ変わったという情報は見当たらず、ましてや『銭湯』を「庁舎」に利用している街などどこにも見当たりませんでした。これは総じて “前代未聞” といえるのではないでしょうか。

「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」オープンは12月8日(金)です。新たに生まれ変わった歴史ある『銭湯』を、みなさんがどのように活用するのか、とても楽しみです。

(photo by 中村 晃)
(photo by 中村 晃)

【基本情報】

スポット名:「COZY ROOM“ASAHI”遊(コージールームアサヒユー)」
住所:泉佐野市元町4-5(旧朝日湯)(Googleマップ参照)
アクセス:南海「泉佐野」駅 海側へ徒歩7分
利用時間:9:00~22:00(要相談)
定休日:なし
駐車場:なし(近隣のコインパーキングをご利用ください)
*駐車場は現在調整中とのこと。横のコインパーキング「ダイワパーク泉佐野市元町」の利用が便利です。

【ご予約・お問い合わせ】
「一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの」
072-477-7365
公式ホームページ(外部リンク)
公式インスタグラム(外部リンク)
取材協力 「一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの」マネージャー石井 博子様、泉佐野市文化財保護課 課長 中岡 勝様
*記事は取材当時のものです。詳細は、上記ホームページ or インスタグラムよりご確認ください。

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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