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自公が改選過半数有力、比例で維新に勢い=JX通信社 参院選中盤情勢調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
(写真:イメージマート)

JX通信社は、今月10日投開票の参院選について、今月1〜3日に中盤の情勢を探る独自の調査を実施した。電話情勢調査に予測モデルを適用して分析した結果に加えて、自社アプリNewsDigestを通じた「スマホ出口調査」の補正結果も加味して情勢を探った。

その結果、自民、公明両党は、改選124議席に加えて神奈川選挙区の欠員補充1を加えた計125議席のうち過半数の63を上回る勢いだ。32ある一人区では、少なくとも18選挙区で議席獲得が有力となった。一方、野党第一党の立憲民主党は、候補を擁立した一人区の多くや複数人区の一部で苦戦しており、改選前の議席を下回りそうだ。日本維新の会は比例の得票数で野党第一党となる可能性があるほか、近畿圏以外でも議席を獲得し、改選前の議席数から大きく上積みしそうだ。

当選確率シミュレータ

2週間前に行った公示前の情勢調査と比べると、一人区では野党系候補の追い上げにより、福井や三重などの選挙区で新たに接戦となっている。一方で、野党候補が大きく先行している選挙区はなく、激戦が続いている。

なお、電話調査では各選挙区で概ね2割ほどが投票先を決めておらず、情勢は流動的だ。

注目選挙区と比例の情勢

【北海道=定数3】

自民現職の長谷川岳氏、立憲現職の徳永エリ氏、自民新人の船橋利実氏、立憲新人の石川知裕氏が当選圏内入りをめぐって激しく争っている。約7割が態度を決めた無党派層では、徳永氏が2割、石川氏が2割弱、長谷川氏が1割強、船橋氏が1割弱を固めた。

【青森】

立憲現職の田名部匡代氏と自民新人の斉藤直飛人氏が小差で激しく争う。田名部氏は無党派層の約6割を固めたほか、自民支持層の約2割を取り込む。

【岩手】

立憲現職の木戸口英司氏と自民新人の広瀬めぐみ氏が横一線で激しく争う。木戸口氏は自民支持層の2割を取り込んでいるが、無党派層で広瀬氏に肉薄されている。

【山形】

国民現職の舟山康江氏がややリードし、自民新人の大内理加氏が追い上げている。態度未決定者の割合が2週間前の前回調査から変わっていない。

【福島】

自民新人の星北斗氏と無所属新人で立憲、国民、社民が推薦する小野寺彰子氏が競り合っている。星氏は大票田の中通りで先行し、自民や公明支持層の約8割を固めたが、無党派層では小野寺氏にリードを許している。

【茨城=定数2】

自民新人の加藤明良氏が先行する。無所属新人で立憲と国民が推薦する堂込麻紀子氏が続き、維新新人の佐々木里加氏が当選圏内入りを目指して追っている。

【埼玉=定数4】

自民現職の関口昌一氏が先行し、立憲新人の高木真理氏、無所属現職で国民が推薦する上田清司氏が続く。それを追う形で、公明現職の西田実仁氏と共産新人の梅村早江子氏が4議席目をめぐって争っている。無党派層では上田氏が先行し、高木氏と関口氏が横一線で続く。

【東京=定数6】

自民現職の朝日健太郎氏、立憲現職の蓮舫氏、公明現職の竹谷とし子氏が先行し、共産現職の山添拓氏、自民新人の生稲晃子氏、れいわ元職の山本太郎氏、維新新人の海老沢由紀氏、立憲新人の松尾明弘氏が当選圏内入りをめぐり激しく争っている。ファーストの会新人で国民が推薦する荒木千陽氏、無所属の乙武洋匡氏が追っている。

【神奈川=定数4+補充1】

自民現職の三原じゅん子氏と自民元職の浅尾慶一郎氏が先行し、維新元職の松沢成文氏、公明現職の三浦信祐氏、立憲新人の水野素子氏、共産新人の浅賀由香氏が当選圏内入りをめぐって争っている。立憲新人の寺崎雄介氏、国民新人の深作ヘスス氏は支持が広がっていない。

【新潟】

自民新人の小林一大氏と立憲現職の森ゆうこ氏が横一線で激しく争っている。森氏は無党派層の約半数を取り込み、2週間前の前回調査より小林氏に迫っている。大票田の下越地方では横一線。上越地方では森氏に分がある。

【福井】

無所属新人で立憲が支援する斉木武志氏と自民現職の山崎正昭氏が横一線のデッドヒートを繰り広げている。斉木氏は地盤とする嶺南地方のみならず、福井市を含む嶺北地方でも急速に支持を拡大しつつある。山崎氏は自民、公明支持層の約半数しか固められておらず、公明支持層の約4割は未だ態度を決めかねている。

【長野】

立憲現職の杉尾秀哉氏と自民新人の松山三四六氏が激しく競り合っている。杉尾氏が無党派層の約半数を取り込み支持を広げている。松山氏は自民支持層の8割近く、公明支持層の9割近くを固めている。

【愛知=定数4】

自民現職の藤川政人氏、立憲現職の斎藤嘉隆氏が先行し、公明現職の里見隆治氏が続く。4議席目をめぐって、国民現職の伊藤孝恵氏と維新新人の広沢一郎氏、共産新人の須山初美氏がデッドヒートを繰り広げている。

伊藤氏、広沢氏は2週間前の前回調査から支持を広げている。両者とも無党派層から約1割ずつの支持を集めており、伊藤氏は自民・立憲支持層の一部からも支持を受ける。

【三重】

自民新人の山本佐知子氏と無所属新人で立憲、国民が推薦する芳野正英氏が横一線で激しく争う。2週間前の前回調査と比べると、芳野氏が無党派層の約3割を取り込むなど急速に追い上げている。山本氏は伊賀地方や伊勢志摩地方で先行するが、大票田の北勢地方では芳野氏にリードを許している。

【京都=定数2】

自民新人の吉井章氏、立憲現職の福山哲郎氏、維新新人の楠井祐子氏による混戦になっている。無党派層では福山氏がリードし、吉井氏と楠井氏が横一線で追っている。大票田の京都市では福山氏、吉井氏、楠井氏の順。楠井氏は中丹地域や南丹地域で支持が厚い。

【兵庫=定数3】

維新現職の片山大介氏、自民現職の末松信介氏が先行し、公明現職の伊藤孝江氏が続く。片山氏が2週間前の前回調査から支持を伸ばしている。

【大分】

自民新人の古庄玄知氏が一歩リードし、国民現職の足立信也氏が激しく追う展開。有権者の約4割を占める無党派層や大票田の中部では足立氏と古庄氏がまったくの互角となっている。

【沖縄】

無所属現職の伊波洋一氏と自民新人の古謝玄太氏が激しく競り合っている。伊波氏は社民・立憲・共産各党の支持層をほぼ固めたほか、無党派層の4割以上から支持を受ける。古謝氏は自民支持層の8割、公明支持層の5割から支持を受けるほか、無党派層の2割以上からも支持を集めている。

【比例】

自民党は16議席を固め、最大で20議席に近づく可能性がある。立憲は7議席以上の獲得が有力で、さらなる上積みを目指すが10議席には届かない見通しだ。維新は8議席を固めており、比例で立憲と並ぶか上回る可能性が高い。公明は7議席前後を獲得する見通しで、共産は3議席の獲得が有力だ。国民、れいわはそれぞれ2議席の獲得が有力となっている。N党、社民は議席の獲得が微妙な情勢だ。この他、政治団体の参政党は初めての議席獲得が有力で、2議席目を射程に入れている。

最終盤(9日)の情勢調査を踏まえて、全国比例の情勢分析を更新しています。

激戦区の終盤情勢③ 全国比例=JX通信社 参院選終盤情勢調査

※初出時、比例代表の議席予測の図表の一部に誤りがあったため、訂正して差し替えます(7月5日0時)

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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