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ニューヨーク、無償マスクに長蛇の列 数十分並んでもらえたのは… 宅配する国はどこ?新型コロナウイルス

南龍太記者
(写真:YUTAKA/アフロ)

 新型コロナウイルス感染拡大を受けてニューヨーク州に非常事態宣言が出てから7日で2カ月、多くの物事が様変わりした。最大の変化の1つにマスクの着用がある。

 以前は「健康ならマスクをしない」というのが社会通念としてあり、着けていると「何かの病気?」と好奇の目を向けられた。それが一転、症状に気付かないコロナウイルス感染者がいることを踏まえ、着用が義務付けられるなどし、「健康でもマスクをしないととがめられる」というパラダイムシフトを経て現在に至った。

 高まる需要を背景にマスクが手に入りづらいこともあり、ニューヨーク市は5月からマスクの無償配布を市内各地で始めた。徒歩圏内の場所でマスクが配られるというので買い物がてら行ってみると、そこには長蛇の列ができていた。もらえるのは数枚の布マスク。

 州レベルでも今後、生活に困っている世帯などを中心に布マスクが配られる見込み。日本では各世帯に2枚の布マスクが郵送されたが、宅配は世界的に少数派のようで、オンラインで申請して指定場所に取りに行くなど、ITを活用した方法も目立った。マスク配布をめぐる各国の取り組みもまとめた。

市内各所で配布

 ニューヨーク市は当初10万枚を5月2~5日にかけて各所で配るとしていた。このほど配布数を750万枚に増やし、配布期間も延ばした。7日以降も引き続き市内各所で配布される。

配布する場所と日時を知らせるニューヨーク市のサイト、https://maps.nyc.gov/face-coverings
配布する場所と日時を知らせるニューヨーク市のサイト、https://maps.nyc.gov/face-coverings

 場所や日時、天候にもよるだろうが、筆者が歩いて近くの配布場所に行った際は、歩道上にずらりと100メートルを超える行列ができていた。みな2メートルのソーシャルディスタンス(社会的距離)を保ってじっと待っていた。歩道沿いには、どこから来たか、自家用車も相当数止まっていた。

マスクを求めて並ぶ市民ら。顔など一部加工
マスクを求めて並ぶ市民ら。顔など一部加工
無償配布されたマスク
無償配布されたマスク

 手に入れた人から「受け取るまで数十分かかるわよ」と言われ、他の都合上、並ぶのは断念した。どのようなマスクがもらえるのか見せてもらった。

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 ビニールに入った白い布マスク数枚。人々は受け取ったマスクをまじまじと眺めつつ、それぞれ帰路へとついていった。

 5月5日になって市も実際に配っている様子をツイッターに投稿していた。「フェイスカバリング(顔を覆うもの)、要りますか?」

無償配布は全世界で

 日本では1世帯に2枚ずつ布マスクが郵送されているが、世界の国々の対応は駅で配ったり、各人が近くに取りに行ったりとさまざまだ。そもそも全国民、全世帯に配っているという国・地域の方が少ない。主なものをまとめると以下のようになる(発表時点の内容)。

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・フランス(パリ)

・モナコ

・スペイン

・シンガポール

・タイ

・香港

・韓国

(※ 特に注記のない写真は筆者撮影)

記者

執筆テーマはAIやBMIのICT、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、今年度刊行予定『未来学の世界(仮)』、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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