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回転寿司店を選ぶ時に重視している点は何だろうか(2024年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ネタの新鮮さを重視する人も(VRChat まで寿司で筆者撮影)

居住地域や通勤環境次第では複数チェーン店の回転寿司店へ足を運ぶことができる幸運な人もいる。その場合、どの店を訪れるべきか、色々と考えをめぐらすことになる。最終的に決断し、店の選択をする際に、どのような観点を判断基準にするのだろうか。マルハニチロが2023年4月に発表した「回転寿司に関する消費者実態調査2024」(※)を基に確認する。

該当調査対象母集団(月一以上で回転寿司に行く人)に対し、回転寿司店を選ぶ基準、重視している点を尋ねた結果が次のグラフ。これらは見方を変えると、回転寿司店がお客やお客になるかもしれない人から求められているポイントでもある。

↑ 回転寿司店を選ぶ際に重視している点(複数回答、上位陣、月一以上回転寿司店利用者限定)(2024年)
↑ 回転寿司店を選ぶ際に重視している点(複数回答、上位陣、月一以上回転寿司店利用者限定)(2024年)

最多回答項目は「値段が安い」で42.4%。回転寿司と対で表現される、カウンター越しに注文する、ちょっと高めの寿司屋での寿司を「回らない寿司」と表現することがあるが、そこでの寿司は何より値段が高いのが特徴。それと比較すれば回転寿司はまさに値段の安さが魅力でありセールスポイントであることから、この点が最上位に来るのも納得はできる。一方で「ネタが新鮮」は第3位で29.1%。単に安いだけではなく、新鮮で美味しいものであることも問われている。

なお2017年調査までは選択肢に「美味い」がありトップの回答値を示していたが、2018年以降の調査では除かれている。寿司の多くは新鮮味と美味さが密接にかかわるため(何しろ生ものばかりである)、「ネタが新鮮」とほぼ同義と判断し、選択肢からは除外されたのだろう。

「家や外出先などの近所」は第2位で30.8%。手間暇をできるだけかけたくないからか、あるいは単に遠出してまで回転寿司を選ぶ必要がないとの認識なのか。似たような選択肢としては「駐車場」で24.0%。家族で来店する場合が多々あること、そして回転寿司店は駅前などの公共交通機関を使って容易に足を運べる場所にあるとは限らないことから、納得がいく(この事情はファミリーレストランも変わらない)。

「ネタの種類が豊富」は第4位で26.4%。値段が安くネタが新鮮でも、多様な種類のネタが楽しめなければ、回転寿司店に来た意義は半減してしまう。今調査の平均値では一度の回転寿司店利用による平均利用皿数は9.9皿(寿司のみでサイドメニューは含まず)。全種類を網羅するわけではないのだから、それほど多種類でなくともと考える人もいるだろう。しかし実際に繰り返し利用していく、利用しやすい回転寿司店の条件を考えると、選択肢は多い方がよい。前回来店時はマグロ中心に攻めたので、今回はえびやイクラを中心に選んでみようと思っても、肝心の種類そのものが少なければ、その選ぶ楽しさも半減してしまう。「たくさんの種類から好みを選べる」のもまた、回転寿司店の魅力の一つに他ならない。

「タッチパネルで注文」「店内に清潔感」「テーブル席」など店舗内環境の整備を求める声も多い。一人回転寿司をするにしても、家族で憩いのひとときを楽しむにしても、単に料理そのものの味を手頃な価格で堪能するだけでなく、雰囲気をも満喫したい、逆にわずらわされたくないとする需要が大きいのが分かる。

なお上位陣の選択肢を見返すと、「値段が安い」以外は直接サイドメニューと関係がありそうなものが見当たらない。回転寿司店の選択の際には、サイドメニューの充実は大きな問題ではないと解釈できるのかもしれない。

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※回転寿司に関する消費者実態調査2024

2024年2月20日から2月22日にかけて、15~59歳の男女に対しインターネット経由で実施したもので、予備調査時点では12323人が調査対象母集団。本調査ではそのうち、月1回以上回転寿司店を利用している人3000人を対象としている。本調査の男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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