「週一以上で外出する」女性75歳以上では87.5%…高齢者の生活の実情をさぐる
外出、買い物、食事の準備…高齢者の行動様式
外出や買い物、食事の準備など、高齢者は普段どのような日常生活を過ごしているのか。その実情を厚生労働省から2018年9月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2017年分における概要報告書などの公開値から確認する。
まずはじめに示すのは、高齢者(65歳以上)に普段の行動様式を答えてもらったもの。設問の内容に自分が当てはまる人の割合が示されている。なお今調査では「在宅患者で疾病などの理由により、流動状の食品や薬剤のみを摂取しているまたは投与されている場合など通常の食事をしない者」「単身赴任者、季節労働者、長期出張者(おおむね3か月以上)、遊学中の者、社会福祉施設(介護保険施設含む)の入所者、長期入院者、預けた里子、収監中の者、その他別居中の者」は調査対象には当たらないため、老人ホームや病院などにいる人は該当しない。
まずは男性。
まず男性。週一以上で外出する人は9割以上。しかし椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がれる人は65~74歳では91.3%だが、75歳以上では81.3%にまで減ってしまう。立ち上がれないわけでは無いが、難儀している人が2割近くいることがうかがえる。
さらに日用品の買い物をしている人は65~74歳で84.8%、75歳以上では72.4%。行動範囲内に買い物ができる店が無いのか、それとも身体能力の衰えで近場の店にも足を運べなくなっているのかまでは今設問では判断できないが、日用品の調達に苦労しているに違いない。
食事の準備をしている人は4割強。ただしこれは後述する女性の値と比較すると、元々同居している配偶者に作ってもらう人が多く、自炊をしている人は多くない状態だったのが、高齢者となっても継続していることが推測できる。
続いて女性。
男性と比べると75歳以上の属性で、身体方面の値が低めに出ている。これは75歳以上の区切りの中で、より高齢の人の割合が、男性より女性の方が多いことによるもの。75歳でも80歳でも90歳でも、すべて75歳以上の区切りに該当するのに違いは無い。
他方、「日用品の買い物をしている」「食事の準備をしている」など家事方面の行動は、男性よりも高い値を示している。高齢に至る以前から従事しており、配偶者と同居しているにしても一人暮らしにしても、それを継続していることが想像できる。
同居者のある無しで生活様式は大きく変わる
次に、いくつかの生活様式について、同居者がいるか否かで区分した結果。この同居者に関しては特に指定は無い。配偶者の可能性が一番高いが、子供などそれ以外の人の可能性もありうる。
まず男性。
外出頻度はほとんど同じだが、日用品の買い物では19.2%ポイント、食事の準備では52.4%もの差をつけて、同居者がいない人の方が高い値を示している。同居者がいればその人に任せているからする必要が無いのか、これらの行動を単独で行えないから同居者がいるのか、そこまでは判断がし難いが、高齢の男性は同居人の有無で生活様式が大きく違ってくることに違いは無い。本人がこれらの行動を十分に行うことができても、同居者に任せている事例も多々あるのだろう。
続いて女性。
一様に同居者無しの方が高めの値だが、大きな違いは無い。同居者がいない場合はほぼ必然的に、自分自身のために日用品の買い物や食事の準備をする必要があるが、同居者がいても自分で買い物をしたり食事の準備をしている人がほとんどとなり、同居者に任せている事例は少数となっている。高齢になっても夫婦世帯における家事の分担が、女性に任せきりとなっている実情が想像できる。
今回の調査項目は特別調査項目のため、経年データは無く、次年以降も行われる可能性は低い。とはいえ、高齢者の日常生活の実情を推し量れる調査はあまり多くないのも事実に違いなく、何らかの形で継続を願いたいところではある。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。2017年調査分における調査時期は2017年11月中、調査実施世帯数は5149世帯で、調査方法は調査票方式。
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