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今夏初の日本代表戦 指揮官ジェイミー・ジョセフの「あなた」と違う視点とは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
オンラインで会見するジョセフ(スクリーンショットは筆者撮影)

 ラグビー日本代表は6月18日、東京・秩父宮ラグビー場で今季初のテストマッチ(代表戦)をおこなう。

 メンバーは以下の通り。

1,三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ)…180・113・1995/6/8・7 ○□△※

2,堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)…175・100・1995/6/2・4 ○□△

3,淺岡俊亮(トヨタヴェルブリッツ)…186・121・1996/6/24・— □△

4,ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)…188・112・1989/1/6・18 ◎□△

5,大戸裕矢(静岡ブルーレヴズ)…187・104・1990/3/9・4 ○□

6,飯野晃司(東京サントリーサンゴリアス)…190・110・1994/10/12・- ★※

7,山本浩輝(東芝ブレイブルーパス東京)…187・95・1992/11/17・5 ★▲

8,テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)…183・124・1996/1/2・9 □△

9,小川高廣(東芝ブレイブルーパス東京)…170・77・1991/3/18・2 ○▲

10,田村優(横浜キヤノンイーグルス/68) …181・92・1989/1/9・68 ◎□△<主将> 

11,根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…173・82・1998/9/15・- ★△

12,ラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ)…186・96・1991/8/19・27 ◎□△

13.シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)…183・95・1992/9/27・1 ○□▲

14,竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…175・84・1996/9/25・- ★△

15,尾﨑晟也(東京サントリーサンゴリアス)…175・85・1995/7/11・3 ○□△

16,日野剛志(静岡ブルーレヴズ)…172・100・1990/1/20・4 〇▲※

17,海士広大(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…172・102・1994/10/7・-

18,竹内柊平(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)…183・115・1997/12/9・- ★※

19,秋山大地(トヨタヴェルブリッツ)…192・110・1996/11/14・- □

20,シオネ・ラベマイ(東芝ブレイブルーパス東京)…189・120・1994/5/8・- △※

21,茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)…170・75・1990/11/21・13 ◎□△

22,立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…180・93・1989/12/2・55 ○△

23,メイン平(リコーブラックラムズ東京)…178・89・2000/9/5・- ★※

以上、「背番号,選手名(所属先)…身長・体重・生年月日・キャップ数・記号」

<記号について>

◎=2019年ワールドカップ日本大会出場選手(下記○の該当者含む)

○=2019年までのジェイミー・ジョセフ体制下の代表関連活動、および2017~19年のサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦。ちなみに2016年は現体制発足前)に参加経験(練習生を含む)がある選手。

□=2021年春、秋いずれか(もしくは両方)の代表ツアーに参加した選手

★=ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ就任後の代表関連活動(前述のサンウルブズ含む)への参加経験がない選手

△=11日親善試合の先発

▲=今ツアー初のメンバー入り

※=5月9日付公表日本代表候補外からの選出

 世界ランクで9つ下回るウルグアイ代表との2連戦1試合目にあたり、16日、出場メンバーを発表。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチがオンラインで会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――まず、基本的なことを伺います。この日はジョセフさんが指揮を執られるのでしょうか。

「当日、ゲームの場には行かせていただきます。選手たちをその場で観察したい。ただ実際の現場は、チームを準備してきた堀川ヘッドコーチ(後述)、アランド・ソアカイ、斉藤展士両アシスタントコーチに任せたい。選手のセレクト(試合メンバー選考についてか)には、私が責任を持ちました。そこにいて、観察をするのが私の役割だと思います」

 来年のワールドカップフランス大会に向け選手層拡大を目指す日本代表は、6月3日以降、候補選手を2つのチームにわけて活動してきた。

 ジョセフが率いる本隊の日本代表は宮崎で活動し、25日にミクニワールドスタジアム北九州であるウルグアイ代表戦、2、9日のフランス代表戦(それぞれ愛知・豊田スタジアム、東京・国立競技場)を見据える。

 一方、代表の予備軍もしくは再調整が必要な常連組は、ナショナル・ディベロップメント・スコッド(NDS)に配属された。ジョセフは振り返る。

「スターティングポイントは、(日本大会以降)昨年まででテストマッチを6試合しかできなかったということです。それで選手を育成するのは難しい部分がありました。ここから育成を加速させるうえでは、今回の取り組みは日本ラグビーフットボール協会にとってもよかったと思っています。2019年まではサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーへ派遣した日本チーム)、NDSを同時に動かし、私自身も責任を持って選手を選考していました。最高の準備がワールドカップの結果(初の8強入り)に繋がったと思っています。パンデミックによって簡単ではない部分もありますが、今回の選手には自信を持っていますし、堀川ヘッドコーチもいい仕事をしてくれたと感じます」

 NDSは、平時静岡ブルーレヴズを率いる堀川隆延ヘッドコーチのもと大分で活動。NDSからなる「エマージングブロッサムズ」は、6月11日、秩父宮で「トンガサムライフィフティーン(トンガ出身選手らによる連合軍)」と慈善試合を実施。31―12で勝利している。今度の対ウルグアイ代表1回戦の内容を受け、数名が宮崎組へ合流の見込みだ。

 いわば今度の一戦は、ツアー終盤戦の編成にも影響を及ぼしうる。かような報道陣の見立てに、「あなたは次の試合を考えているかもしれないが…」とジョセフ。チームをふたつにわけた真意を強調する。

――まず、11日の慈善試合での選手の働きには納得していますか。

「最初の試合として難しい部分があった。勝つことはできましたが、短い期間でトンガの力のこもった試合に向かうのは難しかった。今週戦うウルグアイ代表もセットプレーが強く情熱のこもったチーム。それに対し、いい試合をしなければいけない。メンバーではけが人も戻り、去年のツアーであまり試合に出ていなかった選手にもゲームタイムを与えられる。今後の未来にもつながる選手選考ができたと思っています」

――そこで活躍したロックの辻雄康選手は宮崎へ合流しています。これは、25日以降を見据えたメンバーに「昇格」したと見てよいのでしょうか。

「私はこのふたつのチームをワンファミリーと捉えています。ウルグアイ代表戦で選手を使うことで育成もできますし、いい経験を与えられるとも思っています。辻は、別府でスタートし、こちら(宮崎)のほうに怪我人が出ていて、かつ彼のパフォーマンスを見て、彼に機会を与えようと宮崎に呼びました。彼とはともに仕事をしたことがありませんが、興味を持ちました。ちなみに北川(賢吾=もともとはNDSで招集も序盤から宮崎合宿へ合流)にも、(宮崎組の)怪我、彼自身のパフォーマンスにより、このチームでチャンスを与えています」

――日本大会で活躍した田村選手にNDSの主将を任せた理由は。また、同選手の11日のパフォーマンスはどうだったか。

「田村に関しては彼の所属先でも主将だった。堀川さんと話して、(主将を任せるのが)いいと話した。彼はオフフィールドではチーム内のプレゼンテーションをリードしてくれていて、オンフィールドでも10番としていまのチームをコントロールし、前にドライブしてくれています。彼には一貫性を持ったパフォーマンスを期待しています。彼も未来につながる選手だと思っていますし、これからもそういう活躍を望んでいます」

――ツアー後半戦を踏まえ、次戦で注目したい選手やポジションは。

「選手ひとりひとり、全員を見ています。ひとりひとりがテストマッチのプレッシャーに耐えられるかを見ている。また彼らは国内の違うチームから代表チーム(NDS)に集まり、違う形で準備をしなくてはいけなかった。そうしたなかでもしっかり準備ができているかという点も見ていきたい。準備期間が(始動から次戦まで)2週間しかなかったなか、彼らがどう対応していくのかは大きなチャレンジ。楽しみにしています」

――NDSの堀川ヘッドコーチは「トンガ人選手らとの慈善試合の先発が、日本代表に近い」という旨で話していました。今回、先発とリザーブが入れ替わっている箇所がありますが。

「様々な理由がありますが、私のチームでも『スタートでインパクトを出してくれる選手』『ベンチから出てきて、接戦でもいい仕事をして勝ち切れる選手』とバラエティに富んだ選手を探しています。それを踏まえて今度の選出になっています」

――対ウルグアイ代表1戦目の出来を受け、メンバーはどうなるか。

「何人かの選手は宮崎に来ることになりそう。人数は分からない。宮崎にも(約)40人の選手がいるので、そこまでサポートは必要だとは思っていません。(メンバーの)行き来はあると思っています。今回のメンバーでは、経験のある選手が多い。田村優、シェーン・ゲイツ、ラファエレ ティモシー、ヴィンピー・ファンデルヴァルトのパフォーマンスは楽しみ。フランス代表戦後、選手には2か月ほどの休みを与えたい。9月には大人数を招集し、次のキャンペーン(イングランド代表、フランス代表などと戦う秋のツアー)を迎えたいです」

――大分組から宮崎組に引き上げられる条件は。

「スタンダードの高いパフォーマンスを見たい。あなたは次の試合を考えているかもしれないが、私は次の数か月間(談話では「18か月」と聞こえるが、ワールドカップフランス大会までは約15か月)を見ています。

これまでは6試合しかできず、後れを取っている。その解決策として、(今回の策がある)。若い選手を使っていき、テストマッチのプレッシャー下で耐えられるパフォーマンスをしてもらう。また経験者には、彼らのベストではない部分を間違いだったと自ら証明してもらう。最終的には自分たちのブランドのラグビーを証明する」

 今度の23名では、トンガとのゲームで好ターンオーバーを連発したテビタ・タタフが2試合連続でナンバーエイトとして出場。辻が宮崎へ移った影響で空いた背番号5には、大戸裕矢が入った。ジョセフの言う「去年のツアーであまり試合に出ていなかった選手」には、アウトサイドセンターで先発のシェーン・ゲイツが挙げられよう。

 かたや、本来アウトサイドセンターのラファエレ ティモシーは、今回インサイドセンターで先発する。目下、本隊でプレーする梶村祐介、今回怪我で辞退したレギュラーの中村亮土の位置で可能性を探る。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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