KNNポール神田です!
ミュージシャンのASKA容疑者の再逮捕にはまったく関心がないのだが、タクシー映像の公開には非常に興味を持った。
まずはこの映像は誰が提供したものなのか?
個人タクシーであっても問題だと思うが、大手のタクシー会社だとすると、まだ起訴も裁判も行われていない容疑者の段階で、このような完全なプライベートな映像が全国キー局のテレビ局経由で配信されている。
しかも、タクシー会社からの謝罪文に関してはネットメディアだとたくさん掲示されるが、地上波テレビの報道ではタクシー会社からの謝罪に関しての報道としてのスタンスの説明は皆無に等しい。
都内最大級のタクシーキャブの映像提供への謝罪
「この度のチェッカーキャブ加盟会社の車内映像がテレビ等マスコミ各局にて放送されている事態につきまして」
2016年11月30日、チェッカーキャブの社長名義での謝罪文だが、マスコミへの提供を謝罪するが、ASKA容疑者への配慮は感じられない。放送された映像の関係者へも謝罪という飯櫃な謝罪だ。まともに考えれば、テレビ局の「報道」は、容疑者である人の事前の行動を確定する情報であり、重要な参考情報ともいえる秘匿映像であったのかもしれない。それが公共の放送電波で、各局でスクープ映像として紹介される。それが各局、グループ会社の記者などが、スクープとして取材されたものだがありだが、ドライブレコーダーというメディアの公開だ。
ドライブレコーダーの提供社側からの謝罪があったが、報道した各テレビ局側は、この情報に関しては、スルーしている状況に近い。これは、今後とも、何か事件があるたびに、事前に利用したタクシーの「ドライブレコーダー」の存在が、注目を浴びることを意味している。
国交省も誠に遺憾 2016年12月1日
タクシー事業を管轄する、国交省も同様に、今回のドライブレコーダー映像の放送には遺憾ということで事業団体に通達をおこなっている。
放送事業を管理する総務省はノーコメント
では、放送事業を管轄する、総務省は、今回のドライブレコーダー映像の放送事案についてどう考えているのかを伺った。
総務省の放送局の担当者によると「今回の個別の放送事案についてですが、各放送事業社様の独自の判断でおこなわれているものであり、放送法の特殊性を鑑み、コメントは差し控えさせていただきたい」であった。
しかし、普通に考えてみても、容疑がかけられただけで、タクシー内の過去映像が電波に乗ってしまうのは異常ではないだろうか?との問いに関しても、個別の番組については、一切ノーコメントということであった。
警察発表は本当に真実なのか?
基本的に警察発表があれば、報道はそれを報道するのが大きな役目だ。しかし、警察発表が本当に常に真実かといえば、そうではないと筆者は思う。筆者は、2004年06月にとある未来の乗り物の交通違反で「書類送検」されたことがある。その時の警察発表で、一瞬だけだが、マスコミにもみくちゃにされたことがある。
交通法違反で嫌疑をかけられ、調書を検察に送られたという「書類送検」だけで、一般の人は身柄の「送検」と勘違いし、簡易起訴裁判で罰金を認め、その罰金分を労役で支払う為に東京拘置所で労役をしたら、「逮捕」と誤認される。
近代法の基本原則である、「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という「推定無罪」というコトバの意味を確認するべきだろう。フリップまで用意して克明にASKA事件のタクシー映像を報道した放送局は、タクシーキャブや国交省のコメントについても言及しなければ、真の「報道」とは言えないのではないだろうか?