シニアの休日メディアライフ、新聞30分にテレビは5時間、それではネットは!?
就業を終え24時間プライベートな時と向かい合うシニア層では、テレビの視聴時間や新聞の購読時間が長いと言われている。一方でインターネットへの挑戦にも積極的との話もある。その実態を総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の結果から確認していく。
次に示すのは60代に限定した主要メディア、具体的には生放送のテレビ、録画して再生視聴したテレビ、インターネット(利用端末は問わず)、新聞、ラジオの行為者率。1日単位で該当メディアを利用したか否かを示している。例えばテレビ(生)の平日における値は93.7%なので、60代の93.7%は平日においてテレビの生放送を10分以上連続して視聴したことになる。
平日と休日では大きな差が出ていない。つまりメディア周りでは平日も休日も同じように接していることになる。これは同世代の多くが定年退職を迎え、就業や修学をしておらず、プライベートな時間を過ごす機会が多いことを意味する。
多くの人はテレビを視聴し、録画の視聴も1割強に達している(録画は世代別差異があまりなく、全世代でこの程度の比率)。インターネットの利用率はパソコン・携帯電話合わせても4割程度に留まり、残りの6割はインターネットを常用していないことになる。一方で新聞の購読率は約6割。時間の取れる休日は、より多くの人が目を通す。
利用時間そのものを見ると、シニア層のメディアライフがより一層透けて見える。
平日よりも休日の方がテレビ視聴時間は長いが、平日でも4時間強はテレビを観ている。「ながら視聴」が多分にあるのでは、との推測もできるが、併行利用されうるネットや新聞の利用時間を考慮しても、テレビの時間が長いことに変わりはない。休日に至ると5時間はテレビを観ている計算になる。録画も合わせれば5時間半。
インターネットは1日30分強。新聞もほぼ同時間。今件は利用者・非利用者も合わせた平均利用時間で、新聞の行為者率はインターネットの大よそ1.5倍であることから、逆にインターネット利用者の利用時間は新聞の1.5倍程度であることが推測できる。実際、内部の集計表で確認すると、例えば平日では行為者平均利用時間はインターネットが79.6分、新聞が52.6分となっている。
興味深いのはラジオの時間。趣味娯楽で聴取するのなら休日の方が長くなりそうなものだが、逆に休日の方が短い。行為者率も減少しているところを見ると、ラジオが単独で聴取されているのではなく、家事など他の非メディア接触行動と共に「ながら聴取」の状態で利用されており、休日はその機会そのものが少なくなる結果だと考えられる。
ながら視聴の時間が短く、注力視聴時間が長いことを合わせて考えても、シニア層がテレビを大いに楽しんでいること自体は間違いが無い。内容に没頭し、浸透し、盲信してしまうのも無理はない。メディアの利用目的を尋ねた項目でも、高齢者ほど「いち早く世の中の出来事や動きを知る」「趣味・娯楽に関する情報を得る」の点でテレビを大いに用いるようになる。
シニア層の人数が(絶対人数、全人口に対するシェアの観点で)増えることは、テレビに釘付けな人が増えることをも意味する。人の数そのものだけでなく、形成世論の観点でも、色々と変化が生じそうだ。
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