日銀の金融政策決定会合の主な意見への違和感
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kubotahiroyuki/00361332/title-1691542012837.jpeg?exp=10800)
2023年7月27、28日に開催された日銀の金融政策決定会合が公表された。この会合では大方の予想に反して、イールドカーブコントロールの修正が行われた。長期金利コントロールのレンジを0.5%を目途として残しつつ、1.0%まで引き上げたのである。
主な意見の物価について下記の意見があった。
「足もとの企業の賃上げや価格転嫁は、30年近く抑制されていたペントアップ的な側面を持つ現象であり、賃金や販売価格がこれまでにないペースで上昇を続ける可能性もある。」
この委員は、極端な金融緩和を止めるべきとの反対票を投じるべきではなかろうか。
「短期間で物価見通しが大幅に上振れるなど、経済・物価の不確実性がきわめて高い中」との表現があったが、物価を巡る状況が一変しているにもかかわらず、YCCの調整だけで済まそうとしていることにも問題はないのか。
「必要な期間にわたって円滑に金融緩和を続けられるようにするためには、混乱なく対応できる間にあらかじめイールドカーブ・コントロールの柔軟性を一定程度高めておくことが望ましい」
すでに物価が3%となっているなか、ここからさらに異次元緩和を続け、ハイパーインフレの芽を大事に育てようとしているのであろうか。足元物価に応じた適切な金融政策に戻さないと、金融緩和に応じた物価が今後形成されかねない。そのリスクはどうするというのであろうか。
「必要な期間にわたって円滑に金融緩和を続けられるようにするためには、混乱なく対応できる間にあらかじめイールドカーブ・コントロールの柔軟性を一定程度高めておくことが望ましい」
必要な期間にわたって円滑に金融緩和を続ける必要性の意味がわからない。日本にとって2%の物価水準そのものが非常に高いものであり、それが数値上達成されている意味をもっと真剣に議論すべきであり、それは少なくとも金融政策を中立に戻してから行うべきものではないのか。
「イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化にあたっては、市場に金利形成を極力委ねること、市場の流動性の確保・回復を図ること、金利の急激な変動を避けることが重要であり、それを踏まえたオペレーションが必要である。」
本当にそう思っているのであれば、中途半端な修正などに賛成するのではなく、イールドカーブ・コントロールの撤廃を議事提案すべきであろう。