働く女性の3割近くは「本当は専業主婦になりたい」(2020年公開版)
今や1000万世帯を超えた共働き世帯だが、女性は就業以外に家事のほとんどに従事する場合が多く、必然的に個人に課せられる負担が大きくなる。今回はソニー生命保険が2020年10月に発表した「女性の活躍に関する調査2020」(※)から、働く女性における就業そのものや世帯への思いについて確認する。
今調査対象母集団のうち有職者(未既婚を問わず。よって兼業主婦以外に独身者の有職者も含む)に対し、生活や仕事に関する問いを行い、その内容に対し「非常にそう思う」「ややそう思う」(以上肯定派)「どちらともいえない」(以上中庸・意見留保派)「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」(以上否定派)のいずれかの選択肢で回答してもらい、そのうち肯定派の値を累積した結果が次のグラフ。
有職女性の2/3強が「女性が社会で働くには不利な点が多い」と実感している。これが自分の経験によるものか、それとも周辺で見聞きしたものを起因としているかまでは問われていないが、多分に実体験によるものと考えた方がよさそうだ。一方、「現在の生活に満足している」との回答も5割近くいて、不平不満に満ちあふれた日々を迎えているわけではないことが分かる(ちなみに否定派は18.1%)。
また、2/3強が不利な点が多いとする状況下でも、1/3強の人は「今後もキャリアを積み、高みを目指したい」としている。さらに2割近くは管理職への機会があればチャレンジしたいとし、意気盛んであることがうかがえる。
不遇な環境下におかれていることを自覚しながらも、現状に満足し、さらにステップアップしたいとの意向も少なくない有職女性だが、同時に専業主婦になりたい人も3割近く存在する。今件は独身有職者も回答に含まれており、その場合は仕事を辞しても専業主婦になるわけではないので、今項目では「どちらともいえない」としか選択しようがないことから、数字上にぶれが生じている可能性もあるものの(あるいはその場合回答者の認識として、「結婚した上で」も自動的に加わるのかもしれない)、少なからぬ有職女性が専業主婦への憧れを抱いていることになる。
この「本当は専業主婦になりたいか」への回答を年齢階層別に区分したのが次のグラフ。
特段法則性のようなものは見られない。20代に多いのは会社に入社して早くも兼業主婦の難しさを知ったからなのだろうか。
これらはあくまでも調査対象母集団の対象属性の平均値ではあるが、働く女性の心境の一端をかいま見れるとの観点では、色々と考えさせられる結果に違いない。
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※女性の活躍に関する調査2020
2020年9月28日から30日にかけて20歳から69歳の女性に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。20代から10歳区切りで均等割り当て。調査協力会社はネットエイジア。
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